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【詩】ナチュラルエンドロール


『 ナチュラルエンドロール 』


眠らせてくれないことに気づいたとき
またひとり主人公が私に会いに来る
上手い具合に波打ち際で足を湿らせるような
心地の好い朝焼けを過ごす
つぎの夜がくる前に 私にバレないように
私から一本の映画を取り出してほしい

隅ばかりを探さないで

特等席にあるものに目を向けて 早く盗んで

大きな劇場へ持って行ってよ
著作権を騙すための
偽ビンテージフィルターと
音声の加工をしても

あのこは同じ道を間違えるから

正しい脚本のまま保管される季節
感情の代償に名誉を煽る
記憶に白い吐息と一輪の報い花を添える

情を引き立たせる或いは彩りを誤魔化すための
主流方法のひとつがエモやレトロであるこの時代に
感謝をしながらまたひとつまたひとつと
美化されてゆく春が今日も私を愛してくれる

こころを捻らなくても春の美しさのわかるきみが
この大地の軸で勝ちぬける人生でありますように

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