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【詩】つまらないね



わたし、よのなかの全てを知っているから、こころが震えることなんてあんまりなくて、でもひとりぼっちになるのが苦手だから、よのなかのことはぜんぜん知らないのって顔でひとと仲良くするのが得意でね、きみのその話もこれから始まる話も、知っているから、なんでそんなにしあわせになれるのだろうとふしぎに思いながら聞いているよ、あのキスもあのキスもその先も、告白も、本当の初めてを教えてほしかった、教えてほしかった相手もいるし、そのひとへの好きも愛もほんものを持っているのに、そのひとの隙も哀もわかるから、ちっともこころが感動できなくて、どんな虚しさよりも、こう、悲しいというか悔しいというか、たまにね、いてもたってもいられなくて、急に声をあげて泣いてしまうときがあったり、そのひとのことを夢にみたり、どうしたら伝わるかなって悩んでしまったり、ね、わたしに知らない景色があるとしたら、それをみつけるときはそのひとと一緒だとうれしいなと、望んだり、ね、手に入るはずなのに、どうしてひとりで葛藤しているのだろう、葛藤、葛藤って、わたし初めて知ったよ、初めてがあった、あったよ、どうしてそれがよりにもよって葛藤なんだろう、このきもちの対処法は誰が教えてくれるの、そっかこれがこころの震えなんだね、きっと震えはほかのなによりも確かな原動力になる、会いにいく、好きを渡しに行く、好きがもらえたらいいな、はじめての震えが恋でよかった、抉られる心地を辞書以外で知ることはこんなにもしあわせだ、汚い夢をたくさんみたいよ、おやすみなさい

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