見出し画像

自作詩をいくつか、そのなな。『永遠』

以前とある投稿サイトにて書いた詩を、noteに投稿しようと思います。なんともやりきれない気持ちになるこの頃。


『永遠』

岬の色に包まれて これが永遠
生きてる心地がしない
死に近い感覚 でもそれこそ永遠

手にさわれないもの これが永遠
実感が無けりゃ寿命もない
どっかで尽きていても 気付かなければ
君はそれをずっと心の中で描ける

そうさ、それが永遠

永遠は君の中に
永遠は僕の中に
神でもなく、空でもなく、海でもなく、
永遠はそこに


『眠くなんかない』

だって嫌だよ

眠ったら今日が終わってしまう
明日は来る
変わらない明日は来る
でも狂おしいほど愛しい今日は二度と来ない
もう二度と今日は来ないんだ

だから僕は眠くなんかない
明日の君も好きだけど
どんな時も今の君だけを愛してる
今の君だけに会いに行けるんだ
やっぱり僕は眠りたくない

せめてロマンチックな朝日に包まれたい
ああ おはようもおやすみも言わないで
今という永遠だけを見つめていたい
それはまるである砂漠の町のオアシスのよう
それはまるで平安で命果てたお姫さまのよう
そんな永遠に会いたかった
いつまでもそんな永遠を抱きしめたかった
だから僕は
だから君は
眠くなんかない


『もう少し待っていよう』

限りなく時間を引き延ばしたら世界はどう移り変わるのかな、なんて思いながら。

今日も僕はバス停で待っていた。

ただ、バスを待っているわけじゃなく、ここは集合場所にしか過ぎなくて、僕はあの人を待っていた。

隣に座る子供に話しかけてみた。

君は何を、誰を、待っているの?

そしたら大切な人を待っている、と答えるから、僕と同じだねと言った。

でも結局誰も来なくて彼は一人で道を辿っていった。それも、なんとも不思議なことに、通り雨が降り出した辺りから。

僕はまた一人になった。

仕方ないから想い出に縋ってみることにする。文章に綴りながらでもいい。

こう見ると、縋ると綴る、漢字が似てるような、そうでもないような。

って脱線してるよ。

昔、君と歩いた道はどんな様子だったかな、季節が変わり風景が変わる。それはさも当然なことなんだけど、それを何十回も繰り返すと、ある日気付く。

同じ春でも風景が変わることに。
あそこにあんな建物はあったっけ、いつも通りかかるメガネの似合うお方は来ないのかな、いつのまにか大きな木が伐採されてしまった。なんて風に。

これから僕は何度永遠を愛すだろう。
これから僕は何度永遠を憎むだろう。
これまで僕は何度永遠を愛したんだ。
これまで僕は何度永遠を憎んだんだ。

隣に座る日傘を持っている女性に話しかけた。

君は何を、誰を、いつから待っているの?

そしたら笑って答える、分からない、でも待っているの。

少し怖くなったけれど、怖いもの見たさと、自分もいつかこうなることを予期してたから、彼女の話を聞いた。

それはまるで童話。
それはよくあるストーリー。
都合のいいハッピーエンドがないのだけは、ありきたりじゃなくて良かった。

彼女は僕が待っているあの人に近い魅力を感じたけれど、結局他人だから、結局彼女に心の穴埋めを任せてしまうだけだから、お互いのためにも手を振ってさよならした。

真夏のような日差しの中、なぜか彼女は日傘を使わなかった。大切なものなのかな、使うべき瞬間を決めてるのかも、どこかで倒れてたりしないでほしい。

僕はまた一人になった。

そもそも人は一人になる時間を欲するものだった。そうは言われてるけど、にしても寂しいものだから、思い出そうとする。

しかし、気付くんだ。いつのまにか、君と過ごした時間より遥かに待っている時間の方が長いことに。

悲しいなぁ、と思いつつだからって慣性を変えるつもりはない。

今日も僕は静かなバス停で待っている。
正確にはもうバス停として機能していない。
でももう少し待っている。
もう少し待っていよう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?