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ファッションは未来を予測するビジネス。スマホからは見えない「エコとアートへの帰結」

先月東京で行われたNEWENERGYという合同展にいってきました。



展示会のロゴポスター。かわいい!

忙しい現代社会。ちょっとした隙間の時間もSNSが浸食してくる。今はとにかく時間がない。しかしスマホからえられる情報で本当のインプットが得られるでしょうか。

インプット。世の中の潮流を感じるのは小さなスマホからは得られません。スマホの小さい画面では感情が動かない。コロナ禍でズームなど新しいテクノロジーが登場しましたが、感情を揺らすためには物理的に時間をかけて出かけていくことがとても肝心だと感じます。


装苑賞受賞作品

令和5年。今は答えがない時代。
あきらかに私が生きてきた昭和・平成の時代とは異なります。
昭和平成の時代は答えがぼんやり見えていました。そして社会全体がいっせいにその答えを追いかけていた時代。

情報の価値はGoogleの登場で希薄化しました。
つまり知っているというその知識にはさほど価値がない。知識の総量では勝負できない時代。だれだってすぐに携帯でググれば答えが見つかる。


google 本社

昭和の戦後間もない時代。うちの父の時代は英語辞典を1冊覚えたら東京大学に受かるといわれていました。どうしても覚えられない英語の単語は紙に書いて食べていたそうです笑。


こういう人。どこの予備校にも一人はいました笑。

そしてチャットGPTの登場。
グーグルの登場で情報は価値がなくなった。次はチャットGPT。
チャットGPTというAIが出してくれる平均的なレベルのアウトプットも価値をもたなくなりつつあります。誰でもできる。という事は無価値に等しいと同じ。さあどうする?


では今の時代は何の価値があるのでしょうか。

それには情報の量でもない。平均点のアウトプットでもない。
より人間らしい。ヒューマンな心。
「感じる。」「心がムーブする。」その観点がとても重要のように思います。

そしてそれは個々人で異なっていい。つまり答えが十人十色でかまわないということです。
スマホの画面をみて心がムーブしますか?やっぱり外に出て人と会うしかない!


今回のテーマ TOLERANCE(耐久性、許容範囲)


 
感じ方は人それぞれ。とても主観的なもので再現性もしずらい。しかしこれこそがAI代の新しい価値のように思います。まさに多様化の時代。マスマーケットからコミュニティマーケットへ。

今回のNEWENRGYでもとてもユニークな出会いがたくさんありました。


クラフトコーラのメーカーさん。本当のちょんまげ!けど不思議とかっこいい!

サーキュラーコットンファクトリーの渡邊代表理事。


オーガニックの第一人者のである渡邊教授の取組みは衣料の廃材から紙を精製しエコをテーマとしたアートをプリント。


再生用紙でつくられたポスター


それをポートレートを販売して地球環境にあてるという循環な世界を実現するために日々取り組まれています。


再生用紙でつくられたポスター


紙質もアラベールのような画用紙タイプでとても上質。啓蒙活動とコスト課題をどう両立するか。どうマネタイズするかの話でもりあがりました。


再生用紙でつくられたポスター

現在のアパレルには多大な環境負荷をかけています。それをアートの文脈からアプローチする。エコを机の上で議論したり法整備をしてもなかなか前に進まない。ましてや温暖化など国境を超えて取り組まない解決できない内容となるとましてやゴールが見えない。その中で関係各社が戦っておられると思います。


再生用紙でつくられたポスター

アパレルはミーハーでなければいけない。つねに新しいもの、新しものを追い続ける習性がある生き物。そして「かっこいい!」「かわいい!」は言語を超えた世界共通言語。


再生用紙でつくられたポスター


渡邊代表理事が取り組まれてる活動はここに社会課題やエコを啓蒙する文脈をつくっている。とてもユニークで面白いと感じました。


かつてアバレル従事者はとてもかっこよかった。営業の人でドレッドヘアーにスーツの人なんか展示会にいてすげ~!と思っていたもの。

しかし今は情報過多と比例するようにファッションが広く民主化してしまい楽しいもの、心がムーブするものではなくなってきているような気がします。どこでも手に入るものは価値がおちる。

むかしはこの店でしか買えない。今しか買えない。この人から買いたいという希少性の価値があった。週末アパレルショップの店員さんにあいにいっていろんな話を聞くのが楽しかった。そんな時代でした。


今回の装苑賞受賞作品

ファッションはつねに少し先の未来をお客様に届けてきた。そしてそんな未来を見せていくのもお客様との距離がより近い、地方のファッション小売の役割のようにも思います

アパレル業は未来を予測する仕事。

「来年はこのカラーがくる!」
「今年はこのデザインがいいんじゃない?」
「今年はこれがかわいい!」
「今はこっちだよね」

そんな会話がお店でもメーカーさんやデザイナーさんとも日常的に繰り返されます。見えてない未来を想定して、何が売れるかわからない。

しかしながら「売れた」「売れなかった」というビジネス視点でみるとこのアパレル産業はとても非効率で退屈。代表的な環境負荷産業。斜陽産業になってしまいます。そういうビジネスバイヤスをいったん取り外してアパレル産業を俯瞰してみてはどうでしょうか。


アパレル産業はいつの時代もマーケットの先端で日々うつろい、水のように変化する。時には熱く。時にはクールに。だからこそ面白い。そんな産業だと思います。そして小売業はそのマーケットの先端にいて直接お客様にその近未来を「届ける」仕事。こんな面白い仕事はないと思います。



今回の出張として我々がいる日常は近い将来エコとアートの融合の時代がくると感じました。

環境問題やSDGSに関する世界的課題。これについては議論の余地はなく喫緊の課題として取り組む必要性があります。

しかしながらこの社会課題を啓蒙する。実現する、人が動くようになるのはやっぱり「かっこいい!」「きれい!」「かわいい!」といった感情に重心をおいたほうが爆発力があるように感じます。

元気がないといわれているアパレル産業。
ローカルのアパレルはいわずもがな、です。
しかしCO2削減や環境負荷、ダイバーシティ問題。
こうした社会的課題をファッションやアートの文脈に乗せて解決の糸口を探るとファッション業界も次のフェーズに行けるような気がします。


そんな事をぼんやり感じた出張。いい脳みそのトレーニングになりました。

日々の日常で感じていますか?感情の揺れはありますか?
自分の心。ムーブしていますか?


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