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大人の境目/25歳の私が見つけた、30歳への道標【前編】

「25歳は、自分にとってちょっと大人。社会人3年目になって、仕事も少しずつ責任がある立場になるなか、なんとなく30歳の自分も思い描くようになってきて。そんな『大人の境目』に、改めて20歳からの5年間を振り返ってみよう。そう思って、このインタビューをお願いすることにしました。(2024.04.14 haruna)」

大学生から社会人へ。子どもから大人へ。その境目は曖昧で、いろんな感情が目まぐるしく湧き出てくる過渡期。どんな出逢いがあったのか、どんなストーリーが生まれたのか。誕生日の節目に伺ったharunaさんのLife storyを前編・後編に渡って綴ります。

haruna kwge(25)北海道出身
幼少期から将来の夢がCAになることだったが、コロナで断念。大学4年生でやりたいことをやり切った後、新たな志を胸に人材系の会社へ就職。上京した後もさまざまな狭間に揺れ動く。個人では屋号「 」として文章や広報の活動を行っており、2024年3月自身初となるZINE「今日こんなことがあってさ、」を発行。趣味は銭湯、サウナ巡り。


「地元の北海道は、5月に桜が咲くんです。だからまさか、自分が4月に海に入るだなんて思ってもなくて」

2024年の4月。25歳の誕生日を迎えたharunaさんは、逗子の海に足を濡らしながらつぶやきました。何かあるといつも海を見に行ってたという彼女にとって、海という場所は人生の節目に立ち寄る拠り所になっているのかもしれません。

東京で暮らすharunaさんは、つい5年前までCAになることが幼い頃からの夢だったと言います。





CAになることを夢見た10代


━━harunaさんは昔、自分の将来をどんなふうにイメージしていましたか?

harunaさん(以下敬称略)学生時代は、お母さんが専業主婦だったこともあって”女性が働いているイメージ”があまりなくって。だから、当時の”理想の大人”というか、将来はCAさんになるって夢見ていましたね。”バリバリ働くかっこいい女性になりたい”って見た目の印象から(笑)

というのも、実家も通っていた学校も空港が近くって、必然的に身近な働くカッコイイ女性=CAさんだったんです。

ちゃんと人に意見を言える。リーダーとして前に出られる人。そんなふうに理想を描きつつ、でも「かっこいいってなんだろう?」って漠然と思っていたし、当時と今とではその定義も変わってきてきたと思うんですけど。その理想像が変化した最初のきっかけは、コワーキングカフェの学生団体でした。

学生団体(コワーキングカフェ)同期と

haruna:2020年のコロナが始まった頃、もともと働いていたアルバイト先のホテルも休職になって、入っていたオーケストラサークルもできなくなって。

その時、友人をきっかけにあるカフェのスタッフになったんです。そこには大学も年齢も、バックボーンもバラバラな人たちが集まっていて。それまで所属していたコミュニティとも違って、自分の好きなことをしている人が多く集まる場所だったんですよね。


━━好きなことって、例えばどんなこと?

haruna:建築学部の学生がカフェの内装を手掛けていたり、栄養学部の学生がケータリング事業をしていたり。

学生って、勉強とバイトとサークルしかできないって思っていたけど、初めて「大学生ってこうじゃなきゃいけない」という天井が外れたんですよね。それで私もなにかやってみたいと思って、もともと興味のあったジェンダーに関する団体を立ち上げることにしたんです。

立ち上げたジェンダーの団体

━━”やりたいけどやる場所がないな”。そう想い続けていたharunaさんが行動に移せたのは、応援してくれる人や実際に行動している人、環境のおかげだったのではないでしょうか?

haruna:そうかもしれないですね。カフェのオーナーさんが当時30歳のフリーランスの方で、そこから同年代の学生に限らず、北海道で面白いことをしようとしている大人との出逢いも増えていって。

どちらかというと、それまでは楽しそうに働いている大人を見てなかったから仕事って大変そうだなって思っていたけど”大人って、なんかいいな”って思うようになったんです。

今思うと、「理想の大人像」のなかにはもうひとつ「女性として」の生き方に対する周りからの視線にも影響されていたなぁと感じていて。



思い返せば、女性らしさを押し付けられているようで窮屈だった


haruna:その頃、私は女性として生まれて女性として生きてきたけれど、だからって【女性】を押し付けられる環境がすごく窮屈にも感じていて。

というのも、おばあちゃんから「料理できないとお嫁さんに行けないよ」とか、当時のパートナーからも「あぐらをかいてはいけない」だとか、その人の思う女性像を押し付けられていたような。

嫌われたくないから言う通りにしていたけれど「そのままの自分だったら受け入れてもらえないんだろうな、頑張んなきゃ」って、どこかでずっと思っていました。


━━その掛けられる言葉たちに反発したいわけでもないけれど、素直に受け入れられるものでもなく。自分の将来の姿を思い描く時、どうしても身近な人の視線が頭をよぎってしまっていたのかもしれないですね。

haruna:そう思います。その状況からコロナが始まって、CAへの就職の道も絶たれて。あんなに華やかな業種でもダメになっちゃうんだって思ったら、何か会社の看板じゃなくて自分にスキルがないと生きていけないんだって未来を考え直すタイミングがあって。

haruna:それで大学3年生の時、無形商材の人材系に行こうって舵を切ったんですけど、ちょうど就活の時期じゃないですか。私が0から考え直している間に周りは第一志望が決まっていったから焦っちゃって。

巻き返さなきゃ!って頑張り始めた就職活動だったんですけど、ギアを上げすぎて疲れちゃって、一ヶ月間就活を止めていた時期があったんです。

もともと「自己肯定感が高くはない(どちらかといえば低い)けど、人生は上がり調子だけ」って思っていたところに、自分を否定されるようなマイナスな動きが結構続いちゃって。



苦しかったコロナ禍の就活


haruna:2021年の1月かな。就活をしていたタイミングでインターン/面接ラッシュ、新しく始めたバイトが重なって「あ、やばい。パンクする」って思った時期があって。本当にしんどい時は、心細くって心臓が痛いとか、過呼吸気味になることもあったり。


━━すごく苦しい時間だったんですね…。

haruna:苦しかったです。ただ、そのどん底の時に掛けられた一言が衝撃的すぎて、逆にその言葉が今では座右の銘みたいになっているんですけど。

その人は、お世話になっていたNPO法人の就活支援団体のメンターの方で、なぐさめてもらおうと思って話をしに行ったらたら「最高じゃん!」って言われたんですよ(笑)


━━言われた瞬間「この状況のどこが最高なの!?」って衝撃が走るharunaさんの姿が思い浮かびました(笑)

haruna:そうなんです。だって私、元気ないんですよ?(笑)最初は(この人は何を言ってるんだろう…)って驚いたんですけど、その後「マイナスなこともharunaをつくる経験だと思うよ」って言ってくれて。自分が成長するチャンスというか、面白おかしく自分のために繋げようって人生全部がネタになると思えるようになったのはその頃からでしたね。

haruna:このつらかった時期は、他にも毎日違う人に会いに行って話したりもしていて。確か30人くらいだったかな?それまで自分がマイナスだと思うことを人に話せなかったし、良い影響がないことを話す必要もないと思っていたんですけど。でも、続けていくうちに段々と自分がどんな状態でも傍にいてくれる人がいることに気付けたんですよね。

私の場合、どこかひとつ、誰か一人に依存先があるというよりも、その場に留まらずにいろんな繋がりがあったから、それぞれの繋がりに救われてたなぁって思いますね。

コロナ禍の就活は、みんなのお陰で乗り越えられてきた

haruna:「心揺さぶるめぐり逢いを大切に、自分らしさを追求し続ける。」当時立てた人生MISSIONは、この時のいろんな刺激による心の揺れが、人の深みを育んでくれるものなんだと思えた時に生まれました。



楽しかった大学4年生に比例して、自分が嫌いになった社会人一年目


━━今の会社で働くまでに、長年憧れていたCAになる夢から進む道を変えたり「どんな大人になりたい?」のアップデートがあったと思いますが、実際に社会人になってみてどうでしたか?

haruna:社会人になってから、一回自分のことを嫌いになっちゃって。大学4年生の一年間は、夢がなくなった大学3年生からようやくやりたいことを見つけて内定をもらって、いつの間にか五足の草鞋を履いてたくらい忙しくって充実してたんです。


━━五足も!?

haruna:はい(笑)私自身がお世話になった就活支援団体にメンターとして携わらせて頂いたり。オーケストラサークル、ジェンダーの活動に学生生活の卒論、内定者インターン、個人の活動。

周りから見ても「ちゃんと寝てる?」って言われるくらいタイトなスケジュールだったんですけど、あの時の自分はやりたいことをやりきったな~って思えるくらい充実していて。

五足の草鞋をやりきって迎えた卒業式


haruna:だけど、就職して最初は現場を知るために家電量販店の配属になったんです。

接客はホテルでもカフェでもしてきたけれど、ここは真逆で【声は大きく、じっとするな、よく動け】みたいな感じで、初日から静かすぎるって怒られちゃって。

今までの正解が覆される環境に慣れなさすぎて、ここでもまた「これまでの自分ではダメなんだ。変わらなくちゃ認めてもらえないんだ」って。


━━今まで培ってきた世界と180度違う場所にワープした気分ですね。

haruna:本当に。一方で、内勤の同期がバリバリしている姿を見て差を感じたり、平日休みで友達とも休みが合わないし「よし、変わるぞ!」って行動した矢先に怪しい人と出会ってしまったり。

そのタイミングで北海道のカフェの定員さんが亡くなったって連絡があって、なのに家族でもないから休んで駆けつけることもできなくって。

頑張って自分を変えようと動いているのに変わらないというか、願ってないことばかり起こってしんどいなって。新卒一年目の秋は、大学の時が楽しかったな、あの時は頑張れてたのに…って、家と現場との往復でなにしてんだろってなってました。

━━やりたいことができて頑張れていた時期があったからこそ、そことのギャップや喪失感のようなものがあったんですね。

haruna:あの時は、家族から「東京でどんな仕事をしてるの?」って聞かれても答えづらかったんですよね。量販店でパソコン販売してる自分がダサいと思っていたから(苦笑)友人にも、学生の時との共通点もなくなって「この気持ちはどうせ分かってもらえない」っていう反抗期みたいな時期があって。

大学生の自分を想像しては、あのキラキラした世界と今いる世界は違うように感じて、職場の制服を着るのもイヤだったんです。会社としては必要な過程なはずだけど、自分としては想像していなかったから納得感がなかったというか。


人生全部がネタになる「最高じゃん!思考」


━━その時期をどう乗り越えたんですか?

haruna:乗り越えたのかなぁ。でも、気付いたら終わってました。私が初心者ってことを知ってるから、周りの人がいつでもサポートしてくれるようになったのは大きかったですね。ある人は娘のように「疲れたでしょ」って飴くれたり気にかけて下さって。

今思い返すと、あの経験から「どうしたら話したいと思うかな、聞いてもらえるかな」ってことを学ばせてもらったような気がします。買ってもらえなくても名刺を渡したり、販売目的ではなく雑談から話しかけられるようになったりと自分の変化もあって。

商品選びに迷いに迷って、2時間つきっきりでご案内をしたおばあちゃんがいたんです。その方は購入後にお店を出たのに、わざわざ戻ってきてくださって「忙しい時間だったのにありがとうね」ってお菓子を下さったり。

オンラインで買える時代に、自分に聞いてくれるってちゃんと役に立ちたいなって。そういうのがあって、大変なこともあるけど嬉しいなって思えたこともちゃんとありましたね。

そういえば初日に怒られた時、悔しすぎて帰りに本屋さんで「ビビらない思考」「話し方」「実演販売」の本を買ったんです!私が本を買う時って、結構自分がそれ足りてないって思うものを買うことも多くて(笑)そうやって、今は自分のこと嫌いだけど、どうしたら楽しく働けるのかなって考えて乗り越えたんだと思います。


━━harunaさんって、就活の時もそうでしたけどマイナス→0にするんじゃなくて、100にするくらいの熱量パワーがすごいですよね?

haruna:そうですね…それこそ「最高じゃん!思考」を少しづつ落とし込めるようになったからだなって思います。もともと自己肯定感が低いので、人の良いところは目につくんですけど自分の出来てないところが際立つんですよ。

だから「あれもできてない」「あの人はできてるのに」って自分を責めてたけど、その思考法で「自分だってこれできてるし」「環境は違うから」って思えるようになりましたね。

環境として、競合他社が隣にあんなにも並んでるってなかなかない環境だと思うんですけど、それも今思うと勉強になったなぁって。当時はそう思えなかったんですけどね。でも、そこで出会った人とは今でも仲良くして頂いてて、良いご縁だったなって思います。

あと、最近新しく「Bを持つ人になりたい」と考えるようにもなっていて。

━━Bですか?


後編へ続く

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