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服をつくるってどうやるの? 〜衣服のカテゴリを知る〜

いわゆるファッションのジャンルではなく、衣服には種類があります。
実はこの違い、衣服生産をする人以外は知らないことが多いのです。

どうカテゴリを分けているかというと
1:布帛
2:カットソー
3:ニット
大きく分けてこの3つに分かれます。
全て使うミシン・機械が違うので、よっぽど設備がたくさんある大規模工場でない限り、同じ工場で生産することは出来ません。


1:布帛

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そもそもなんと読むのか。布帛=ふはくと読みます。
シャツやデニムに代表される織物の生地のことを言います。
鶴の恩返しに出てくる鶴は機織り機へタテに糸を何本も並べ、ヨコ糸をスーッと通してトントン、スーットントンっと生地を織っていましたよね。この方法で出来てる生地が布帛です。

今でこそポリウレタン(ゴムのような繊維)を使ったりしてストレッチ性のある織物も増えましたが、基本的にはタテヨコナナメに糸を組み合わせて作られた伸びない生地です。
家庭科の授業で使った家庭用ミシンのような直線縫いのミシンを使って伸びないように縫製をします。

ミシンの設定は生地の厚さや滑り具合などにも大きく左右されるため、シフォンのブラウスを得意としている工場さんが肉厚メルトンのコートを縫おうとすると全く勝手が違ってくるのです。もちろん、デニムに太い糸のステッチがたくさん入ってるパンツを縫おうというのも全然ミシンの種類が違ってくるのです。


2:カットソー

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なんでカットソーって呼ぶかと言うと、cut(裁断)してsew(縫製)するからカットソーです。主に丸編みニットの生地を裁断して縫製します。
丸編みを例えるならリリアンです。まーるく針がついている機械に糸を引っ掛けてぐるぐる編んでいくと下からにゅーんと筒状の生地が出てきます。これをざーっとタテに切って平たくして端をほつれないように処理したのがカットソーの生地です。

丸編みの名の通り、編み地なので伸びます。Tシャツもスウェットもこの仲間です。生地に伸縮性がもともと備わっているので、組成(どんな材質で出来ているか)に関係なく伸びるように縫わないと、着用した時に糸がブチブチ切れてしまうんです。

カットソーは直線縫いのミシンではなく、ロックミシンを使って縫っていきます。ちゃんと伸びるように、でも見た目がデコボコしないように、バランスよく縫製する必要があります。
カットソーと布帛が組み合わさったアイテムが近年増えていますが、工場さんの設備によって出来たり出来なかったりするので、作りたい場合は事前に相談することをオススメします。


3:ニット

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布帛・カットソーが生地・資材を選んで、パターンに合わせて切って縫って形にするのに対して、ニットは生地の元になる糸を選んでどんな生地にするか決め、パターンの代わりにプログラミングをし、編み上がったものを縫製して出来上がります。もちろんカットソーと同じで、伸びるように縫います。

2本の棒に糸がかかっていて、編み物をしているのをTVや絵本などで見たことがあるかもしれません。出来上がるのはセーターを思い浮かべますね。これを機械で1パーツずつ作って組み立てるのがニットです。縫製の他にそれぞれのパーツの目を一目ずつ拾い、チェーンステッチでつなぎ合わせていくリンキングという接ぎ方で形を作ることもできますが、非常に細かい作業で熟練した職人さんしか作ることが出来ません。

最近はパーツごとに編み立てを行うのではなく、全体を接ぎ目なく立体的なものとして編み立てるホールガーメントという手法も出てきました。


こうして分類してみると同じミシンでは縫製出来ないのがわかるのではないでしょうか?違うジャンルのものを組み合わせて作ったり、形は布帛で作られるようなものをカットソーの生地で作るというのは難しいことなんです。
いとも簡単に作っているかのように感じられると思いますが、縫製だけでなく扱い方が違うため、工場さんが時代ごとに変わる素材に対し、努力して得てきた技術です。

設備や技術の違いを理解して依頼をできるようになると、スムーズでお互い気持ちよく取引が出来るようになります。
ぜひこの違いを身につけて、良いコミュニケーションを取り、素敵なアイテムを作り上げてください。

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