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『モリコーネ 映画が恋した音楽家』~胸アツ展開!!映画音楽のマエストロ

観たい映画が沢山ですが、なかなか観れずに日々を過ごしていました。
もう、映画の成分が足りなくなりやっぱり補給しなくちゃと我が家で鑑賞( ´艸`)

公開当時に劇場で鑑賞できずにここまできてしまった
『モリコーネ 映画が恋した音楽家』を鑑賞。

映画音楽というジャンルでエンニオ・モリコーネという音楽家は本当に素晴らしい業績を築いた方だとこの映画で実感しました。
映画音楽というジャンルの中でマエストロという言葉がふさわしい方だと思います。

気が付けば大好きな映画の音楽はみんなモリコーネだった。
個人的にそのことに気づいてから、彼が手掛ける映画が楽しみでした。
『アンタッチャブル』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』『ニュー・シネマ・パラダイス』『海の上のピアニスト』など彼の音楽なくしては語れない映画ばかり。

彼の音楽には映画の登場人物や背景を音楽で語っていたり、
人間の深部までこちらに伝わってくるような
溢れるようなエモーショナルさがあって本当に大好きです♡

『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ監督がこのドキュメンタリー映画を監督しており、彼の作品の音楽もモリコーネが手掛けています。
トルナトーレ監督といえば『ニュー・シネマ・パラダイス』でほぼ新人という状態で世界に名を馳せた監督。
その裏にはモリコーネの素晴らしい音楽もあり、彼自身も新人の自分にベテランの彼が同等に接してくれたと語っていたように素晴らしい関係が生涯続いていたのだろうと感じます。

そして、モリコーネが映画音楽を手掛けるまでになった経緯やその後の活躍など、飽きないくらいの展開でした!!

トランペット奏者だった父のすすめもあり、音楽院に通いトランペットを学んでいたが、作曲の才能を評価され作曲家の道へ。

有名な作曲家の門下生となるが、映画音楽の仕事を引き受けたことで師や仲間から疎外されることにもなる。
当時の映画音楽は音楽を学ぶ人たちには正統的なものではなく、評価の低いものだったらしく、その仕事で成功したことで彼は妬みの対象にもなったようです。

当の本人も晩年までは映画音楽の仕事を辞めたかったみたいです( ´艸`)
でも、彼の音楽が名高る映画監督の心をとらえて、ひっきりなしにオファーが舞い込んできたのも事実。

凄い直感力があったようで監督以上に映画のビジョンが見えるらしく、
ビジョンに合う音楽を監督の希望以上のクオリティで作っていたそう。
そして、様々な音楽技法や民族音楽、楽器の組み合わせも映画や監督に合わせてひらめいて作曲できたそうです。
そして、映画音楽で様々な実験を試みて独自の映画音楽手法を創造していった話など全てが凄すぎる~~~。
もはや神レベル!!

とはいえアカデミー賞とはなかなかご縁がなく、
何度もノミネートされてはいましたが、受賞はできずに功労賞を受賞する形に。
ところがどっこい我らのオタク監督?!クエンティン・タランティーノ監督が依頼した『ヘイトフル・エイト』の作曲で見事に受賞!!
胸熱すぎる展開に当時の授賞式の感動が蘇りました。

普段は既成曲を組み合わせて映画作りをするタランティーノ監督。
『ヘイトフル・エイト』は西部劇ということもあり、
大好きなマカロニウエスタンのセルジオ・レオーネ監督とタッグを組んでいたモリコーネに音楽を依頼。
マカロニウエスタン風の音楽になるのかと思いきや期待を上ゆく芸術的ですばらしい音楽を作曲したモリコーネ。
これだけで胸アツすぎるっ!!
もう、面白すぎて悶えました~。

お元気なうちにモリコーネご本人のインタビューや名高る映画監督のインタビューを撮影したトルナトーレ監督の映画愛にも感服。
さすが、『ニュー・シネマ・パラダイス』の監督だと感じました。

イタリアの名監督タビアーニ兄弟が可愛く踊っちゃうシーンとかオリバー・ストーン監督が「ゴミみたいな作品書いてやる」とモリコーネに言われちゃったよ。てへ♪みたいな面白いシーンまであって名高る映画監督の素顔が見れるのもお楽しみ( ´艸`)

この映画を観て気づいたのが、『天国の日々』『1900年』も彼の音楽だったこと。
やはり素晴らしい映画に素晴らしい映画音楽が必要なんだと感じました。

ベルナルト・ベルトリッチ監督の『1900年』はイタリアの大河ドラマのような作品。
ベルトリッチ監督の作品群の中では評価はまずまずなのかもしれませんが、
私はこの作品がこの監督の中で1番好きな作品です。
主役はロバート・デ・ニーロとジェラール・ド・パルデューという豪華な配役。
1900年に生まれた2人の男を主役に現代まで激動の歴史を生きる市民の姿を描いている超大作。
この話を聞いてまた観たくなりました。

そして、『天国の日々』は伝説的なテレンス・マリック監督の映画。
どうやらモリコーネの話だとマリック監督とは書簡を送り合って、映画音楽を完成させたとのこと。
天才と天才。合わなくても書簡でビジョンを共有できるって凄い!!

盟友セルジオ・レオーネ監督との絆もたまらない。
レオーネ監督の遺作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』ではモリコーネの音楽が先行して作られており、その音楽をかけながら撮影をしていたという話に驚く。
たしかに素晴らしい音楽で、この音楽から映画の世界観が分かるし、それを感じながら演技するって凄い没入感で演技できそうな気がします。
絶対的信頼を得ているモリコーネのエピソード。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』もたまらなくらいの名作で、私も大好きな映画の1つ。
これもまた観たくなっちゃいました。

また観たくなるエピソードばかりで、どの映画にもモリコーネの魂が宿っているように感じます。
それは映画監督のビジョンを自身のビジョンとミックスさせて音楽という言葉で表現を追求した音楽家のドラマチックすぎる生き方。
ご本人は愛妻家で穏やかそうなのですが、その意思や確固たる信念で生きてきたということを改めて感じずにはいられない。
エンニオ・モリコーネという偉大な音楽家に触れる素晴らしい映画でした。


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