「かいねこきぶん If I Could be a Housecat」全編公開
「かいねこきぶん If I Could be a Housecat」
だんだん日が暮れていく街を一匹の子猫が歩いていました。
子猫はママと離ればなれになってひとりぼっち。
帰る場所がありません。
そんなとき、子猫は窓が開いている家を見つけます。
人の家の中に入ったことのない子猫は、おそるおそる窓から入ってみることに。
家の中に入った子猫は驚きました。
暖かくて、柔らかくて、子猫は家の中をとても気に入りました。
その時、「ドタドタドタ」子猫がいる部屋に向かって足音が聞こえてきました!
「この家に住んでる人が帰ってきたんだ!」
子猫は見つかるのがこわくなって、とっさにぬいぐるみにまぎれて隠れました。
帰って来たのはこの家に住む女の子でした。
子猫に気づかず通りすぎます。
人に見つかるのがこわくなった子猫は、隙をみて窓から外へ出てしまいました。
「ふ〜危なかった。もう少しで見つかるところだった」
次の日も、窓は開いていたので子猫は家に入ります。
人に見つかるのはこわいけど、暖かい家の中をすっかり気に入ったようです。
それから子猫は、家に人がいない時間だけ窓から入って、人が帰ってきたら窓から出ていくことを繰り返していました。
子猫は暖かい家の中で、離ればなれになったママのぬくもりを思い出していました。
「ママ…ぼくずっとママとこうしていたい」
「それはだめよ。あなたには飼い猫になってほしいの」
「かいねこって何?」
「暖かい家の中で安全に暮らしていけるのよ」
「ふ〜ん、ぼくはママとずっと一緒にいたいんだけどなぁ…」
「ママ…」
それは雪がふる朝のことでした。
寒くてたまらない子猫はいつもの家に向かいます。
「早く暖かい家の中に入らなきゃ」
しかし、いつも開いていた家の窓は閉まっていました。
子猫は落ち込んだ様子でつぶやきました。
「窓…閉めちゃったのかな…」
子猫は雪の中、どこか暖かい場所を探して歩き続けますが見つかりません。
寒さと疲れで子猫の体は限界でした。
「ああ…なんだか眠くなってきちゃった」
子猫が眠ってしまいそうになったその時
「眠ってはだめよ!起きなさい」
子猫の前に現れたのはママでした。
子猫は泣きながらいいました。
「ママ!ぼくずっとママをさがしていたんだよ」
ママは子猫をくわえると、力いっぱい地面を蹴りました。
「わぁ!」
「ママ!空を飛んでるよ!これは夢!?」
ママは笑顔で言いました。
「暖かい場所へ行きましょう」
ママと暖かい光に包まれた子猫は眠ってしまいました。
子猫が目を覚ますと、女の子が介抱してくれていました。
そこはいつも子猫が入っていた家の中。
子猫は周りを見回しますがママの姿はありません。
女の子は言いました。
「最近、勝手に窓が開いている時があったけど、子猫ちゃんが開けて入ってたのかな?ずっとここにいていいんだよ」
子猫は、昔ママが言っていた言葉を思い出しました。
あなたには飼い猫になってほしいの…
子猫は気づきました。
「いつも開いていた窓は…」
「ママが開けてくれていたんだね」
「ママ、ぼく飼い猫になれたよ」
THE END
あとがき
この物語は、私たちがsnsを初めたばかりの頃、保護猫団体の方より絵のご依頼を頂いたのがきっかけでした。
そこで私たちは、野良猫の厳しい現状を知り
「私たちに何かできることはないのか」
このことが様々な社会課題を考えるきっかけになりました。
小さな命を大切にする優しい社会になってほしい。
そして、子どもを見守る親の愛情を表現し、子どもたちに安心して育ってほしい。
様々思いを込めて「かいねこきぶん」は
生まれました。
この作品を世界中の人々に届け、優しい社会をつくることが私たちの夢であり目標です。
あなたの大切な方へ優しい物語を
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