irOdoriスタッフインタビューvol. 3 ひっしー
こんにちは、irOdori〜彩り×踊り〜(イロドリ)バレエスタッフの川野涼佳です🌈
今月6月は、LGBTQ+などの性的マイノリティの方々の権利向上を促すプライド月間です🏳️⚧️🏳️🌈
Happy Pride‼️
今年のプライド月間は、ジェンダー問わず誰もが自分の思いを実現できる世界を創るために活動しているirOdoriのスタッフをご紹介します!
今回は、仙台支部のひっしーさんです🎋
irOdoriは2023年11月、irOdoriは仙台支部を発足しました!ひっしーさんは発足直後から仙台支部で買い物同行スタッフ兼バレエスタッフとして活動しています。
今回、私はひっしーさんのインタビュアーを務めました。同じirOdoriスタッフとして活動をしていますが、実はひっしーさんのことをほとんど知らない状態でのインタビューとなりました。
今回はひっしーさんの幼少期から現在まで、そしてirOdoriへの想いなど深掘りしてみたので、ぜひお読みください。
社会に出てノンバイナリーという言葉に出会えた
涼佳:まず自己紹介をお願いします。
ひっしー:仙台支部で活動しているひっしーです。バレエを3年ほど習っていて、今までの経験を活かして活動していきたいと思っています。
幼少期はどのように過ごしていましたか。
自分の中では普通に育っているつもりではあったんですが、小さい頃から女の子の服が着たいなという感覚はありました。でも性自認を考えるということ自体ありませんでした。大人になれば、男性として割り当てられた役割を担っていくのだろうなという漠然とした想いを持ちながら育ちました。
そうだったんですね。ちなみに学生時代は「違和感」を感じながら学生生活を過ごしていたのですか。
私は違和感というより社会的に求められるふるまいの部分と自分の持っている性が異なるだけだなと思っています。
学生生活も違和感を持ちつつ、そこはうまくやっていけたらいいかなと軽い気持ちでいました。
お仕事を始めてからはどのような生活でしたか。
まず一人暮らしができるようになりました。そして自分のお金で好きな服装を着ることができて、自分を自由に表現できるようになってから徐々に変わってきたと思います。
そして社会に出たことで視野も広がり、知らなかった言葉「ノンバイナリー」にも出会うことができました。
私自身、今はノンバイナリーが一番しっくりきます。男性として生まれてきたことを否定はしないけれど、社会的に求められる男性のふるまいをするのは違和感があって難しいのでぴったりフィットしています。
もっとその言葉を早く知っていればな、時代が違ったらなあ、というのが今の正直な気持ちです。
irOdoriで活動を始めたきっかけ
そこからirOdoriという団体を知ったきっかけは何でしたか。
知った時期は、irOdoriという団体ができた初期の頃だと思います。
きっかけは、小さい頃からずっとバレエをやってみたいという想いを持っていて、ふと調べたらirOdoriがヒットしました。
その当時irOdoriでアンケートを集めていて試しに回答をしたら、代表の彩夏さんから「是非インタビューをさせてください」というものすごい熱量でレスポンスが返ってきました。それを引き受けてお話したことからirOdoriと深く関わるようになりました。
その後、私は仙台に住んでいることもあり、irOdoriのイベントに参加することができませんでした。でも情報は定期的にみていて、仙台支部ができることを知りました。
たまたまnoteにいいねをしたところ、彩夏さんから久しぶりに連絡をもらい、仙台支部の立ち上げをするのが花恵さんという方だと知りました。そこで花恵さんのことをインスタで調べたら、私がirOdoriと出会ってから宮城で習い始めたバレエの先生と花恵さんが実は知り合いだったということがわかりました。
世間は狭いなというのを感じ、またご縁を大切にしたいなというのもあり、昨年の12月からirOdoriの仙台支部のスタッフになりました。
そんなつながりがあったなんて知りませんでした。彩夏さんから受けたインタビューは具体的にどのような内容だったのですか。
irOdoriの買い物同行サービスを始めるにあたっての聞き取り調査だったと思います。私自身がネットで服を購入することはあったけれど、実際の店舗に行って購入するのはハードルが高かった。このようなサービスは画期的だし、興味ある方も沢山いらっしゃると思うということを伝えました。
このような聞き取り調査があって、今の買い物同行サービスができあがったのですね。ちなみに他のirOdoriのイベントには参加したことはありましたか。
去年の12月から仙台支部で活動を始めるにあたり、irOdoriのバレエレッスンに参加したのが初めてです。
今年4月に開催した春トレンド&ビューティーツアーにも参加しました。
ではirOdoriのスタッフとして関わるようになってからイベントに参加するようになったのですね。これまでのお話からirOdoriのことは知りつつも、あまり関わっていなかったひっしーさんがいきなりスタッフとして活動するというのは、大きなターニングポイントだったと思うのですが、スタッフになるにあたって覚悟などはありましたか。
そこまで覚悟をしてスタッフになった感じではないですね。
活動を楽しめると思ったし、自分の好きなバレエを通した活動という点に共感できたし、自分と同じような思いを持っている人が参加者の中にもいることも分かりました。参加者側ではなく最初からスタッフ側からのアプローチではありましたが、徐々に知っていくことができたので飛び込んでみたというような感じではなかったです。
表現したい性でバレエを習う2つのハードル
これまでのお話の中でずっとバレエをやりたかったという想いが伝わってきたのですが、ひっしーさんとバレエの出会いを教えてください。
小さい頃の記憶だと、女の子はかわいいレオタードや衣装を着れて私も着たいけど着れないんだと思ったような気がします。
もうちょっと大きくなってからの記憶だと、バレエを習っている同級生がトウシューズで回る遊びをやっていました。それを見て「あ、かっこいいな」と思ったのがバレエをやってみたいと思うきっかけでした。
でもバレエを習うのって色んな意味でハードルが高いですよね。年齢が高くなるともっと難しいだろうなと思っていました。
社会人になり、お金は稼げるけど時間がないという状況で、やってみたいという想いはあるけど夜遅くにやっているクラスがなく、なかなかバレエを始められませんでした。
でも夜8時からのレッスンがある教室を見つけることができて、時間を作って行けるかもしれないと思って約3年前に習い始めました。
バレエを習い始めるというひとつのハードルはクリアしました。
でも自分の表現したい性で習えるかといったらまた別問題。もうひとつのハードルが出現しました。
上手くなりたくて一生懸命バレエやっていたら、もしかしたら認めてくれるんじゃないかなと思って、1年ぐらいひっそりとやっていました。
あるとき先生に「女性の恰好をして習いたいです」と伝えたら、案外あっさりOKが出ました。
先生も私が1年間真面目に練習を続けているのを見ていた。そして一緒に習っている周りの人との関係も良く、おさらい会を通じて子どもたちや親御さんとの関係も作りました。そのような環境の中で先生が認めてくれたんです。そこから女性の恰好に切り替えていきました。
困難な壁を乗り越えていったのですね。1つ目のハードルであるバレエを習い始めることは、バレエへの強い想いをもっていたから行動できたことですか。
習いたいという想いが他の習い事よりも強かったですね。
正直、私飽き性なんです。好きなことじゃないと続かないと思っていたので、バレエだったら続けられるなと思いました。
もう1つのハードルである自分の表現したい性で習いたいという想いを先生に伝えるときの葛藤はありましたか。
実は先生に言う前に、一緒にバレエを習っている方に相談をしていて、その方が「先生に言ったらいいんじゃない」と背中を押してくれたのが大きかったです。
いきなり先生に伝えるのではなく、徐々に言えるような環境を自分で作っていったような感じでした。
また、その教室が自分を受け入れてくれるような温かい雰囲気で、多分この人たちならわかってくれるだろうなと1年関わっていて感じました。
信頼関係を構築してから言い出せたという感じなんですね。
そうですね。ただ、本当は信頼関係を作らずとも言い出せるのが一番いいですね。信頼関係を作るのには時間がかかりますし、努力をしても受け入れてもらえないケースも残念ながらあるので、努力をしなくてもいい社会だったらなと思います。
これが私の夢にもつながりますが、最初からハードルが取り除けるようなレッスンが開催できればなと思っています。
バレエは中身の美しさも磨いていける
飽き性だとおっしゃっていたひっしーさんがバレエを続けることができているのはバレエに惹かれる何かがあるからだと思うのですが、ひっしーさんが思うバレエの魅力とは何ですか。
習う前のイメージは、華やかで、メイクも衣装も素敵だなと思っていました。習い始めてからは、優雅に踊るためには柔軟性、筋力、持久力が必要なことを身にしみて感じています。
でもバレエは身体だけではなく中身の美しさも磨いていけるところが魅力だと思います。
バレエを始めてみてからのギャップはありましたか。
ギャップはそれほどありませんでした。大変だろうなというイメージはずっと持っていたので、自分が実際に始めてみてイメージ通りの大変さはありました。なのでギャップよりも「よりすごいな」という想いをもっています。
男性体型の人のバレエ用品購入をサポートしたい
ひっしーさんの今後irOdoriでやりたいことや夢を教えてください。
同じようになかなかバレエを習うことができなかった人が何歳からでも自分の望むスタイルで始められる体制を作っていくサポートがしたいと考えています。
サポートに関して具体的に思いついているものはありますか。
バレエ用品の購入も躊躇してしまいますし、加えて元々女性の体型に合わせて作られたものを男性として生まれてきた身体で着なければいけない。そのサイズ感がとっても難しいんです。
私も数多くの失敗をしてきているので、その経験を活かして伝えていきたいです。
私はバレエを教えられる立場ではないから、習い始める前段階の部分で私ができるサポートをしたいと考えています。
素敵です。私は小さい頃からバレエを習っていたので、習い始める前に必要なバレエ用品の購入などの準備には目を向けておらず、そこにもハードルがあることに気が付きませんでした。バレエを習い始める方に向けたサポート、ひっしーさんなら実現できると思います!
最後に、irOdoriでの活動を通して学んだことや伝えたいことがあれば教えてください。
まだ学び途中ではありますが、同じような想いを持っている人がいると知ることができたことが一番の学びではあります。
逆にirOdoriという存在を知らずに、自分の秘めたる想いを持ちながら生活している人はいると思います。そういう人にもっと伝わるようにirOdoriとして活動してきたいなと思います。
そうですね。もっとたくさんの人にirOdoriの活動を知ってもらえるように一緒に盛り上げていけたらと思います!本日はありがとうございました。
インタビュアー
川野涼佳
irOdoriバレエ都内レッスン担当
4歳からノリコクラシックバレエスタジオNEIGEにてバレエを始める。
バレエやコンテンポラリーダンスを学ぶ。
2019年横浜バレエコンクール高校生部門にて1位受賞。
2023年より学生団体アンディオールの設立メンバーとなり、バレエをもっと身近に、もっと好きになるようなコンテンツを提供している。
大学に入学してから、ジェンダーについて学ぶ機会が多くあり、バレエ界のジェンダーについて疑問を持つようになりました。
「私なんかがバレエできるのかな?」と思う必要はありません!
バレエは、身体を動かす楽しさを味わうことに加えて、自分を最大に表現できる場だと思っています。
そして、すべての人がバレエを愛する権利があります。
あなたの世界をバレエという踊りで表現してみましょう。お待ちしています!
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