生き残るのは大きなものでも強いものでもない。変化していくものだ。|『成熟スイッチ』
「ふぇー、林真理子が日大の理事長?!」
いつだって、林真理子は世の中をあっと驚かすことをする。
『ルンルンを買っておうちに帰ろう』からのバラエティ番組出演期は存じ上げないのだが、その後の『不機嫌な果実』のヒット、ananで連載したエッセイの『美女入門』、大河ドラマの原作になった『西郷どん!』。
直木賞作家だと思っていたら直木賞の選考委員になっていたし、紫綬褒章を受賞していたし。
大御所の作家になった……と、思っていたらの、日大の理事長である。
相変わらずパワフル。
この本は、『美女入門』で女性の美とは何かを説き、『野心のすすめ』で夢との向き合い方を説いた林真理子が、老いとの向き合い方を説いた本である。
説明、いる?
著者は 林真理子
説明、いる? ってレベルの方である(笑)。
本書も発売と同時に話題になっていたし。
一応、本書にあるプロフィールを抜粋しておくと
これでもか、という話題作と経歴。
彼女のエッセイが面白いとされるのは、この立ち位置ならではの華やかな交友関係も一因だと思う。
容姿や本人のキャラクターで見落とされがちかもしれないが、いわゆる“リア充”な女性なのである。
出版社は 講談社
掲載誌・レーベルは 講談社現代新書
発売は 2022年11月
少し説教臭くも感じる本作
大ヒットした前作、『野心のすすめ』はパワフルな内容だったのに比べ、本作はやや説教臭くも感じる。
元々のキャピキャピ(死語?)した性格に加えて、富も地位もあるんだから、さもありなん、か。
そして、作家ですからね。
アクが強いのは当たり前。
しかも相手は小説家という職業の方々が出ては消え、という中で定期的にヒット作を出し、生き残ってきた方である。
本書では“どう歳を重ねていくか”、“どう振る舞うべきか”ということが中心に書かれている。
その一方で、林真理子のエッセイの楽しみである華やかな交友関係の話もしっかりある。
出た!私の大好きな新潮社出版部部長、中瀬ゆかりさん。
ひろみの前で裸になる機会はそうないと思うんですけど、やっぱり面白い。
色んな方の本に中瀬さんの話が出てくるけど、この方が書いたものもいずれ読んでみたい。
秋元康さんは、こういうところからも歌詞の種を拾っているのだろうか。
以前、何かで“マーケティングはしない”というのを聞いたことがある。
それでいて、ドキッとするような歌詞を書くのは、人の機微に敏感なんだろう。
林センセイ……朝井リョウさんのことお好きなんですね。
少し前に週刊文春『夜ふけのなわとび』でも朝井リョウさんの事、書いてましたよね。
朝井リョウさんの著作を読んだことはないのですが、お写真を見たらシュッとしていらっしゃる……。
ただ、そんな楽しい話だけではなく。
“瀬戸内寂聴さん「お別れの会」での献杯の挨拶”では
瀬戸内寂聴さんのこざっぱり、というか、諦めの良い、というか割り切った感じの言葉と、林真理子さんのスパイスというか、ちょっとした意地の悪さを含みながら綺麗にまとめあげる手腕は、やっぱり素晴らしい。
今回は随分と長くなってしまいましたが、おそらく私と同じ40代から上の方には、自分の体験と重なって見えるもの、これからの漠然とした不安をちょっと軽くしてくれるものが見つかるのではないでしょうか。
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