それは食ってもいいもんなのか?|漫画『ダンジョン飯』
腹が減っては戦はできぬ。
どんなに強い者でも、空腹では戦えない。
獅子身中の虫、というが、腹の虫ほど手強い相手はいない。
兵站をおろそかにして、勝てた戦などないのだ。
そして。
『ダンジョン飯』の主人公・ライオスたちのパーティーも、今、その危機に直面していた。
ダンジョンの最深部。
ドラゴンと交戦中。
負ける要素はない。だが――
しかし、その油断が仇となった。
ライオスたちは、あっという間に全滅の危機に。
ライオスの実妹である魔術師・ファリンはドラゴンから兄を庇い、その腹の中におさめられる瞬間、ダンジョン脱出の魔法をかけた。
次の瞬間。
目覚めたライオスはダンジョンの外だった。
財産の入った荷物はダンジョンの中に置いてきてしまって一文無し。
6人いたメンバーのうち2人は、ライオスの意識が戻る前に抜けてしまっていた。
そして、妹・ファリンの姿がない。
あるのは、身に着けていた装備のみ。
しかし、ライオスはファリンを助ける為に、すぐにダンジョン内に戻る決意をする。
モタモタしていたら、ドラゴンの腹の中でファリンが消化されてしまうからだ。
残ったメンバー、魔法使いのマルシルと鍵の解錠役のチルチャックも同行することになったが……
ライオスの言う “どんなこと” があるのかは、ダンジョンに戻ってすぐ知ることになる。
お金も食料もない。
もちろん、お昼ご飯もない。
ライオスは、ダンジョンに出た“歩き茸”を倒して、こう言った。
魔物を食べるのは、地上に戻れない犯罪者とかばかり。
その犯罪者ですら、食中毒をよく起こしている。
それより何より見た目がイヤ!!
だが、他に選択肢はない。
魔物を食べながらダンジョンの最深部へ向かうしかない――。
いや、“仕方なく”は建前だ。
ライオスは以前から『迷宮グルメガイド』という本を熟読するほど魔物の味に興味があった。
ファリンを助ける為。――そして、ずっと気になっていた魔物を味わうため。
そこへダンジョンで10年以上魔物食の研究をしているドワーフ・センシが加わって、4人はドラゴンを倒し(ついでにドラゴンも食べたい)ファリンを救うため、最深部へと歩き出した――。
各賞総なめの人気作品。
作者は九井諒子。
BookLiveのプロフィールには
と、ある。
Wikipediaによると、元は同人活動をされていて、2011年に商業誌デビュー。
文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した『ひきだしにテラリウム』は女性向けコミックだが、その他は全て青年コミックになっている。
ただ、『ひきだしにテラリウム』ともう1作はイースト・プレス(※ 光文社のカッパ・ブックス編集部の小林茂が独立して設立。)、『ダンジョン飯』ともう1作はKADOKAWAのHARTA COMIX。どちらも対象の性別がはっきりした漫画を発表している印象がないので、あくまで便宜上の仕分けなのかもしれない。
出版社はKADOKAWA。
掲載誌・レーベルは HARTA COMIX。
2015年度コミックナタリー大賞、第1位
このマンガがすごい!2016(宝島社)・オトコ編1位THE BEST MANGA 2016 このマンガを読め!・第1位
全国書店員が選んだおすすめコミック2016年度・第1位
Amazon ランキング大賞2016 Kindle本コミック 1位(第3巻)
放送時期は発表されていないがアニメ化も決定している。
制作会社はTRIGGER。
ガイナックスから独立した方が設立したのね。
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の制作協力とかしてる。
既刊12巻。連載中。
最新刊の12巻は最近発売したばかり。
とどのつまり、何の漫画なのか。
バトル、グルメ、ファンタジー……色々なタグが付いている作品ではあるが、どれも当たっているものの、違和感もある。
バトル、と言っても、別にライオスたちはどんどん強くなって……とかでもない。
ダンジョンを進めば魔物が出てきて、まあ、それを倒して食べて、また最深部を目指す。
グルメ……まあ、確かにそうではあるのだが、魔物だからね。
「今夜、晩ごはんに試してみようかしら?」みたいな内容ではない。
ファンタジーはあってる。
ファンタジーだよ。ファンタジーだけども。
最終的に言えば、1〜3話くらいで完結のコメディ漫画なんだと思う。
個人的なお気に入りはハーフフットのチルチャック。
見た目は子ども、頭脳は大人(笑)!
短命種(50年くらいらしい)だから成人が早いってのもあるけど。
エピソードは9巻のサキュバスのお話が好きです。
対象の好みの姿に擬態し、蚊みたいに人の精気を吸う魔物なんだけど、そこでチルチャック(金髪好き)と、マルシル(ビジュアル系? 厨ニ的? な外見)のお互いの趣味がバレてしまうという恥ずかしい戦闘が面白かった。
緊張感のない、ゆかいなパーティーが、仲間を助けに行く……そんなお話です。
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