フランスの歴史人口学者・家族人類学者であるエマニュエル・トッドと、池上彰のウクライナ戦争を起点にした、それを取り巻く各国、主に現在のアメリカについての対談集。
ウクライナを支えている、アメリカは昔のアメリカではない、かつてのアメリカ一強状態ではないのではないかと分析する。
1番は、アメリカの兵器の生産力だ。
アメリカ自身の生産力は低く、日本やドイツに頼ることになるのではないか、とドット氏は語る。
そして、ロシアは本当に孤立しているのか?
家族人類学的な見地から分析している。
家族構造が違えば、社会のあり方が違う。
アメリカ一強の世界が終わったら、世界はどこへ向かうのか。
フランス人の歴史人口学者・家族人類学者、エマニュエル・ドット
著者は エマニュエル・ドット
池上彰
出版社は 朝日新聞出版
掲載誌・レーベルは 朝日新書
発売 2023年06月
戦争以外の話の方が興味深かった
今回、出版社が朝日新聞出版ってことで、その辺は少し解釈に加味した方が良いのかな、と思いますが。
元々読もうと思ったのは『ウクライナ戦争の嘘-米露中北の打算・野望・本音』を読んだ時に、エマニュエル・ドット氏の『第三次世界大戦はもう始まっている』の話題が出ていたから。
で、『第三次世界大戦はもう始まっている』を読めば良いのに、池上彰さんと対談しているものだから「池上彰、抜け目ないな!」と思いながら今回この本に飛びついてしまったわけです。
タイトルや、内容もほぼウクライナ戦争を中心に語られているのですが。
エマニュエル・ドット氏本人が歴史人口学者・家族人類学者で故に政治的や軍事的に語られるというよりは(語ってはいるけど、あまり信用し過ぎてくれるなという空気を感じる)、アメリカを中心とした世界の社会のあり方を分析しているように感じます。
特に興味深かったのは、出生率の話題。
日本の出生率ばかり気にしていたけど、先進国はどこもそんなに出生率高くなかったのね!
将来的に日本の人口が少なくなったら、日本人は海外へ出稼ぎに行ったりするのかしら…と思ったけど、安直な考えだったのかも。
あとは、白人種の人をどこか一括りに考えていたけど、アメリカやイギリス等のアングロサクソン系とロシア等のスラブ系は民族としてかなり違う、というのも(聞いたことはあったけど)今回の本ではっきり見えたかも。
やっぱり文化や戦争を“分析する”となると、どこかドライだったり、偏ったり見える部分もあるかもしれませんが。
歴史人口学者・家族人類学者であるエマニュエル・トッド氏のポロッと出てくる情報が興味深かった本でした。