記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

貴女以外は考えられないし 貴女が他の人間と結婚するのも耐えられないからな|漫画『嫁入りのススメ』第4巻

舞台は架空の大正時代。

蘭子は、沒落した家の元お嬢様だが、現在はカフェの女給さんとして楽しく働いている。

そんな蘭子に縁談が舞い込む。

相手は、子爵令息の耀一郎。まだ学生だ。

祖父同士が懇意にしていて、孫を結婚させる約束をしていたと言うが、蘭子の家が没落した時点で、この話は無くなったものと思われていた。

しかし、約束は健在だったらしく、嫌がっているのだろうと思っていた耀一郎も、感情が表に出ないだけで小さい頃から蘭子を慕っていたという。

紆余曲折を経て、婚約者になった2人は……

これまでの感想はこちら。

蘭子の同僚の由美は、自分を目当てに「オリオン」に通ってくる阿久津を身分の違いから受け入れられなかったが。

彼の熱意に絆されて会うようになり、次第に一緒にいることが楽しいと思い始めていた。

その一方で

「皆 玉の輿だって騒ぐけれど きっと私は認められないと思います
正直に言うと 結婚の話になるのが怖いくらい…」

『嫁入りのススメ』第4巻

そんな考えから、両親に会って欲しい、という阿久津をのらりくらりとかわしていた由美。

しかし、それも長くは続かず、結局由美は阿久津の両親と会うことになってしまう。

阿久津の両親に会う日。
待ち合わせの場所で、場違いなところに来てしまったと緊張を隠せない由美に、

「大丈夫だから 僕にまかせて」

『嫁入りのススメ』第4巻

と声をかける阿久津。
由美はその言葉を信じることにした。

しかし。

阿久津は両親の前で、嘘だらけの由美の経歴を語り始めた。
料亭の娘で、店を手伝っていて。
誰の話をしているの?

たまらなくなった由美は本当のことを口にする。

「私の家はただの豆腐屋だし 私はカフェーで働く女給です」

『嫁入りのススメ』第4巻

その言葉に今までの態度を一変し怒り出す両親。
由美はそのまま席を立ち、その場を後にした。

追ってきた阿久津に

「あなたも… 女給を恥ずかしいと思ったから 嘘をついたんでしょう」

『嫁入りのススメ』第4巻

もう会いません。お店にも二度と来ないで、と言い残して。


燿一郎の言い分もわかる。

事の顛末を由美から聞き、予想以上に悪い結果となってしまい。

「どうして好きなだけじゃダメなのかしらね…」と心を痛める蘭子に「今回は相手が悪かった」と答えた耀一郎。

その言葉に蘭子が怒り心頭。

身分に合った相手を選べということか、と怒る蘭子に耀一郎が言った言葉が印象的でした。

「嘘をついて彼女を傷つけてしまったのは残念だったが…
どうにか一緒になりたくて 必死だった気持ちは責める気になれない」
「もし あなたの家族が反対していたらどうしてた…?」
「そうだな… 同じように嘘か強引な言い訳をしていたかもな…
貴女以外は考えられないし 貴女が他の人間と結婚するのも耐えられないからな」

『嫁入りのススメ』第4巻

それまで「何だよ!結局親におもねるのかよ!」と思っていたけど、耀一郎の言葉で、私もハッとなったというか。

良い行いではなかったけども、どんな手を使ってでも阿久津は由美と一緒になりたかったんだな、と。

大体において、こういう場合って女性視点のみで語られる印象が多くて(シンデレラストーリーは大抵この困難に立ち向かうのは主人公の女性だけだし)。

男性は「結局ダメなヤツだった」と烙印を押されて退場するか、「2人で立ち向かおう」と言いつつ主人公が認められるまで脇役に押しやられるイメージでしたが。

こういう見方もあるのか。と、久々に目からウロコなセリフでした。

とはいえ、リアリストの由美は傷心ながらも「ほらね」と言う感じで、諦めモード。

由美が積極的に困難に立ち向かって…という展開はなさそうなだけに、まさかこのままフェードアウト? いやいや、そんなワケないでしょ!とヤキモキする状況です。

でもそうこうしているうちに耀一郎の方も大変になっちゃって… これからどうなるの?!ってことばかりの最新刊でした!


この記事が参加している募集

マンガ感想文

よろしければサポートをお願いします。