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私の人生はどこへ行っちゃったの?|漫画『戦争は女の顔をしていない』第5巻


ソビエト連邦は、第二次大戦時、ナチスドイツと戦っていた。第二次世界大戦中の1941年から1945年にかけての期間、“独ソ戦”や“東部戦線”と呼ばれる戦いである。

その戦いには、女性も従軍していた。

「地獄だった」

『戦争は女の顔をしていない』第5巻

パルチザン(※他国の軍隊または反乱軍等による占領支配に抵抗するために結成された非正規軍の構成員である。英語ではレジスタンス運動の一部にも適用される。)の連絡係をしていた女性・ワーリャは、戦争が終わり、昼も夜もなく働きながら息子を育てていた。

そこへ。

戦争へ行っていた夫が帰ってきた。

前線から戻ってきたのよ 生きて

『戦争は女の顔をしていない』第5巻

しかし、喜びも束の間。
家に帰ってきた夫は、翌朝、連行されていった。

理由は、夫が元捕虜だったから。

「ソ連の将校は降伏しない わが国で捕虜になった者はいない」
「生き残った者は裏切り者だ」
同志スターリンはそう言って捕虜になっていた自分の息子を拒絶したほど

『戦争は女の顔をしていない』第5巻

再び夫が帰ってきたのは7年後だった。
夫は強制収容所に入れられていたのだ。

夫が元捕虜であることは彼女自身にも大きな影響を及ぼした。
それは、どんな身上調書にもある質問。

「身内に捕虜だった人はいますか?」

「学校の用務員として採用してもらえなかったわ 私がその欄に記入したから 床掃除もさせてもらえなかった」

『戦争は女の顔をしていない』第5巻

裏切り者の妻になった彼女は、戦前は高等教育学校を卒業して学校の教師をしていたのに、戦後は建築現場で瓦礫を運ぶ仕事をしていた。

全てが、変わってしまった。

「訊きたい… もう訊けるわ 私の人生はどこへ行っちゃったの? 私たちの人生は?」

『戦争は女の顔をしていない』第5巻

男女の“平等”をどこかで間違えているのかもしれない

戦争中 脚を傷つけられたらどうしようということばかり心配していました

『戦争は女の顔をしていない』第5巻

男性なら、もし脚を失っても英雄だし、結婚も出来る。

でも女が不具になったら もう将来は決まってしまうんです

『戦争は女の顔をしていない』第5巻

この他にも、戦場でのこととか、服にシラミがわいても男性のように脱いで処理することさえままならない。

戦争の体験と、現代の生活に落とし込んで考えること自体間違ってるのかもしれないけど。

女性が兵士として戦争へ行く、ってある意味“男女平等”じゃないですか。
することは戦争なんだけど、男女が同じ環境で戦っている。

でも、状況は平等には見えないんですよね。
男性にとっても楽な場所では決してないんですけど。

そして、女性の方が大変だった、ってのも少し違うんですけど。

社会的な立ち位置とか、価値観とか、男女って、得られるもの、失うものが違うというか。

そう考えると、今で言う“男女平等”って“男女が同じようにする”ってことだとすると。

同じように学んで、同じように働いて、同じように評価されて。

そのこと自体を、今、間違ってると思っているわけじゃないんだけども。

何か、大事なことを見落としているような気がする。

それが何かは、まだわからないんだけども。


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