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阿佐ヶ谷姉妹ののんびりした世界へようこそ|エッセイ『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』
TVでも活躍されている、阿佐ヶ谷姉妹さんのエッセイ。
阿佐ヶ谷姉妹の姉・エリコと妹・ミホが交互にエッセイを書く形で綴られています。
現在は違うようですが、この時二人は姉・エリコの六畳一間に二人暮らし。
きっと、熟年夫婦とか、いや、そもそも関係に関係なく人間が2人で暮らす、ってこんな感じなんだろうな、という内容が何とも面白い。
はっ!コタツの下のみほさんの足の指が動いています。 寝ている時にこのように指が動くのは夢でも見ているのでしょうか。 病気とかではないですよね。
エリコ「6畳1間の布団事情」
なんとなく湿った台ふきんを毛嫌いし、シンクが水でビシャビシャに なっても拭きません。 焼きそばを作っているうちにどんどん台ふきんを隅に追いやるのか、見ると台所の床 の隅に無残に台ふきんが落ちているのです。
落ちているのはあんまりだなと思うのですが、姉の気持ちもわからなくないので、ヤンバルクイナ台ふきんがちょっと汚れたら漂白して他の洗濯物と一緒に干すのですが、ふと見ると他の洗濯物は取り込まれてい るのに、ヤンバルクイナだけは、窓際に落ちているのです!
ミホ「虐げられている物達」
このような、2人の日常から、阿佐ヶ谷にいる人たちとの話。
そして、後半は遂に決意した2人の引っ越し話まで。
物語とかだと、2人の視点、とは言ってもストーリーの流れに沿って綴られるので、あまり全く違うことを考えることはありませんが。
現実って違うよね!
全く違うこと考えてる!
そんな2人の日常をこっそり覗き見るようなエッセイです。
TVでお馴染みの阿佐ヶ谷姉妹
著者は阿佐ヶ谷姉妹。
渡辺江里子(姉)と木村美穂(妹)の2人で構成される日本のお笑いコンビ。「阿佐ヶ谷姉妹」と名乗っているが、渡辺と木村に血縁関係は一切ない。ASH&Dコーポレーション所属。
今年のM-1グランプリにも出場されてました。
https://youtu.be/45fZx7DxhOI
歌がとてもお上手な芸人さんとしても知られていますよね。
出版社は幻冬舎。
掲載誌・レーベルは幻冬舎文庫。
発売は2020年2月。
人情話にホロリ。何気に小説も面白い
2人の日常だけじゃなくて。
阿佐ヶ谷に住む人のエピソードも良かったです。
中でも、「朝陽のこと」は印象に残りました。
阿佐ヶ谷にある中華屋、“朝陽”。
お二人、特に姉のエリコさんは学生の頃から通っていたそうなのですが。
そこの奥さんが亡くなった、というお話で。
もともとはご夫婦でされていたお店で、手際の良いチャキチャキな職人肌のおじさんと、マイペースでい つも笑顔な奥さんとの、ケンカしてるのかじゃれ合ってるのかわからない掛け合いが、何ともハラハラ面白く、来店の密かな楽しみでもありました。
エリコ「朝陽のこと」
阿佐ヶ谷の喫茶店でウェイトレスをしていたおばさんは、9歳年上のおじさんと出会い、18歳で結婚。34年間ずっと2人で仕事をしてきた。
「死んだ時に骨を拾ってくれるのはこの人だから、泣かせちゃだめだ、大事にしなくちゃって思ったんだよ ね。まさかこの人の骨、オレが拾う事になるとは思わなかったよ」
エリコ「朝陽のこと」
思わず、「人生って何でしょうね」と、どうしようもないことを言いたくなってしまう、このエピソード。
そりゃ、9歳も若い奥さんもらったら先に逝くなんて思わないよね。
その他、お2人が番組の企画で書いた小説とかも面白かったです。
根を詰めて読むのではなく、ふとした時にチビチビ読んで楽しい本です。
……って言いながら、一気に読んでしまって「あっ!終わっちゃった!」って声に出してしまったのは私ですが(笑)。
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