これが妻との出会いでございました|漫画『テレワァク与太話』
システムエンジニアの三橋 残は、会社から、いつ終わるかもわからない在宅勤務を命じられる。
それまで家とは寝に帰るだけの場所だった残。
スペックは良いものの、パソコンがちゃぶ台の上では、まともに仕事はできない。
彼は、長期運用も視野に入れた設備投資を決意し、まずは部屋の状況確認のために引っ越しをした一年前から置いたままになっている段ボールを開封した。
その段ボールの中身は、ファンタジー漫画。
忙しさで、自分がファンタジー漫画を好きなことすら忘れていた。
しばし、漫画を読みふける残。
そして、足りないものを買い揃え、仕事が出来る環境を整えて。
何もなかったベランダは、好きな漫画のモデルになった、憧れの国のように飾った。
ベランダで楽園を楽しむ残に、声がかけられる。
隣とのベランダを隔てる壁から、声の主である女性がこちらを覗いていた。
彼女は泉 奈津。
半年前に引っ越してきて、院で考古学を専攻していると言う。
遺跡にご興味が? と問う彼女に、興味はこれから広げます、と答える残。
『あせとせっけん』作者の作品
著者は 山田金鉄
人気作品『あせとせっけん』の著者でもあります。
※2023-11-05までKindleで3巻まで無料。全11巻完結済。こちらもおすすめです。
本作は、『あせとせっけん』後の作品。
出版社は 講談社
掲載誌・レーベルは モーニング
発売は 2023年05月
既刊1巻。完結済。
タイトルがもったいない!
この作品は、会社の同僚(同年代の男性)に勧められて読みました。
そもそも、電子書籍でちょっと良いクーポン引いたんだけど、こんな時に欲しい本ないから新規開拓したいんだよねー、という話をしていたら、「今、少しずつ読んでるんだけど面白いよ」と言われたのがこの作品でして。
タイトルも『テレワァク与太話』で、どんな話なの? と聞いたら「進撃のリヴァイ兵長みたいな人がテレワークで……」って説明で。
「リヴァイ兵長がテレワーク? どんな話だよ?!」と言いながらも、家に帰って試読したら「『あせとせっけん』の山田金鉄の作品じゃん!」ってなりまして、即買いしました。
ってゆうか。本作はガチのラブストーリーでして。
リヴァイ兵長がテレワーク、ってリヴァイ兵長に絶妙に見た目が似てるだけじゃん!ストーリーと関係ないじゃん!
説 明 下 手 か!!
ストーリーは、私は池澤夏樹の『タマリンドの木』を思い出しました。
主人公の残の決断が、似てるんだよね。
このストーリーの面白いところは、生活環境が変わったことで、2人がベランダで出会い、小さな事を積み重ねて、やがて夫婦になっていくこと。
序盤は、奈津がイニシアチブを取っているんです。
残に対して、「お顔が好み」とか言ったり、プライベートな空間に軽やかに入ってきたり。
それに対してドギマギしている残が可愛い。
しかし、後半、恋人同士になると、残の意外な一面とかが出てきて、ストーリーをひっぱるのは残になっていく。
ストーリーの最初に「妻との出会いでした」と結論を述べてしまっているんだけど、何故彼らが結婚に至ったのか、もっと言うと「なぜ“結婚”という制度が彼らには必要だったのか」ということがちゃんと盛り込まれていて、読んでいてとても気持の良い作品でした。
短編の映画とか、そんな雰囲気。
『あせとせっけん』の時よりもストーリーの展開の上手さは格段に上がっています。
個人的にはタイトルをもっと凝っても良かったんじゃ……と思いますが、内容はとても良いラブストーリーです!
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