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これを託されたということは 私がお父様の意志を継がねばならない|漫画『亡国のマルグリット』


日が暮れはじめた森の中。
少女は一人で逃げ続けていた。

「マルグリット王女 逃げてください」

『亡国のマルグリット』第1巻

そう言った侍女も、もういない。
しかし、マルグリットは逃げ続けなければならない。

「血を絶やしてはなりません ルナリア王家の血を……!」

『亡国のマルグリット』第1巻

彼女が目を覚ますと。
そこはエルベ村という所の、クリストフという男の家で。

彼女を追った兵士たちが村へもやってきたが、クリストフは彼女を前日に亡くなった自分の息子・ニコラと偽り、匿ってくれた。

こうして、亡国の王女、マルグリットは森で狼の餌食となり亡くなったことになり。

彼女はクリストフの息子・ニコラとして生きていくことになる。

しかし、再び運命の輪は巡り始める。

成長したニコラは、森で助けた金細工見習いのルネと、その乳兄弟・レオとの出会いをきっかけに、徐々に自らの運命と向き合う事になっていく。

一方的にロレンディアに襲われ滅ぼされたはずのルナリアが、ロレンディアではルナリアが戦をしかけたことになっているのは何故か。

息を潜めて、生き延びていたルナリアの民の存在。

ルナリアを陥れた黒幕は誰なのか。

生き残った王女・マルグリットはルナリアの疑いを晴らすことが出来るのか。


作者2作目の長期連載作品

著者は すもももも
少女漫画を中心に活躍している作家。
私は未読ですが、本作の前に連載していた『後宮デイズ』も有名だと思います。

出版社は 秋田書店

掲載誌・レーベルは プリンセス

発売は 2018年12月
既刊12巻。連載中。

Kindle、BookLive、コミックシーモア、honto、楽天kobo、DMMブックス等各電子書籍サービスで2023-10-29まで4巻まで無料配信中。


時間をかけてストーリーを組み立てている作品

基本筋はロレンディアに滅ぼされたルナリア国の王女・マルグリットと、ルナリアを滅ぼしたロレンディアの王子・ルネのラブストーリー。

と、言ってしまうと、なるほどねー、って感じだと思うのですが。

この作品の楽しいところは、この主題に至るまでにじっくりと時間をかけているところ。

最近の作品ではなかなかこんなに時間をかけて語らせてくれるのって珍しいんじゃないかな。

最初のマルグリットが匿われて、王女として公に出てくるまでをサラッとやって、ルネとのラブストーリーへさっさと入っちゃう、ってやり方もあったはず。

ただ、この作品がヒストリカルな部分に(架空だけど)重きを置いているところと、それをやらせてもらえる作家さんの信頼度にあるのかと。

最新刊で、ロレンディアに対して反乱を起こそうとしているルナリアの民に対して、ルナリアの騎士であるジャンが言ったセリフがとても印象的でした。

「小さな爪痕……?
反乱を起こすことが目的になっていないか?
戦のあとも皆の暮らしは続いていく
君たちがいなくなったら この小さなルナリアを誰が支えていくんだ?」

『亡国のマルグリット』第12巻

争いは。勝てる時にしかしちゃいけないと思うのです。
何なら、圧倒的な差で勝てる時にしかしちゃいけないんです。どっちが正しいかは関係ないと思うんです。
私が言ったんじゃありません。孫子の『兵法』に書いてあったんです。

※KindleUnlimitedで読めます。こちらも面白い。おすすめです。

でも、この作品を読んでね。
そうだよな、と。争いの後にも生活は続く。勝てない戦をすれば、失うだけ失って、残された人たちは今よりもひどい状況で生きていくことになる。

相手は間違いなく自分たちを狙っている。
隙を見せれば、陥れようと手をこまねいている。

今、この時を耐え忍んで。
ルナリアは復興するのか。
マルグリットは幸せになれるのか。

この先も、とても楽しみな作品です。


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