結局みんな家柄と財産で人を見るんだ|漫画『没落令嬢、貧乏騎士のメイドになります』
騎士のベルナールは、職場から帰るところで、門番の衛兵に呼び止められた。
心当たりはなかったものの、彼はその女性を見てすぐに誰か悟る。
ベルナールとアニエスが初めて会ったのは5年前の宮廷舞踏会。
ベルナールは田舎町を領しているオルレリアン子爵家の五男。「熊のように強い男」という意味で付けられた名前は多分5人も男が生まれてネタギレだったから。
そもそも五男では充分な財産分与もなく、小さな屋敷だけを与えられるのみ。そんなベルナールは騎士になり、宮廷舞踏会の参加を許される程にはなった。
一方、その宮廷舞踏会で社交デビューをしていたのはアニエス・レーヴェルジュ伯爵令嬢。
彼女はたくさんの人に囲まれ、その場にいた。
大貴族のご令嬢と、地方貴族の五男坊。
関わることもない身分差。
「アニエスさんに声かけに行こうぜ!」とベルナールの手を引く同僚に、社交辞令で挨拶するくらいは……と思っていたベルナールだが。
ベルナールを待っていたのは、睨みつけるようなアニエスの視線だった。
それから1年。
宰相であるレーヴェルジュ伯爵の汚職によって没落した伯爵家。
その一人娘であったアニエスは行方知れず。
そんなアニエスが、今、目の前にいる。
あの宮廷舞踏会とは打って変わり、貧しいローブを纏って。しかし、着ているものは変わってもアニエスはあの頃と同じように、ベルナールを睨みつけた。
また自分を蔑みに来たのか、と感じたベルナールは、「頼る人も行くあてもない」と言ったアニエスにささやかな仕返しを試みる。
生粋のご令嬢に下働きなど出来るはずもない。
貧乏貴族に情けをかけられるなんて、彼女の自尊心が傷つくだろう。
しかし、ベルナールの予想に反して。
涙ながらに礼を述べるアニエスの姿だった。
※1巻がKindleUnlimitedで配信中(2024-08-04現在)
ぶんか社ってエロ以外もあるのね……
著者は 千世トケイ
本作以外は、女性向けのコミカライズ作品が1つと、ご本人作の読み切り青年漫画作品がありました。
原作は 江本マシメサ
女性向けライトノベルの中心に活動されている作家さんです。
本作は同名小説のコミカライズ化作品。
(おそらく)完結になる、下巻は2024年8月22日に発売予定。
この作家さん原作の『令嬢エリザベスの華麗なる身代わり生活』や『没落令嬢の異国結婚録』も面白かったです。
出版社は ぶんか社
ぶんか社って、普通の作品もあるんですね…(失礼)
掲載誌・レーベルは BKコミックスf
発売は 2022年05月
既刊4巻。連載中。
ベルナールの思い込みから始まるラブストーリーが面白い!
そもそも。
アニエスは元々ベルナールを嫌ってなんかいないんですよね。
というか、初対面の時から好意的で。
でも、ベルナールが自分の身分が低いことを気にしているのと、アニエスが諸事情から睨むように見てしまったところから誤解が生じて。
その誤解から、使用人として家に連れ帰った時に、家族同然で一緒に暮らしている使用人一家から「女っ気がなかったのに、やっと年頃の女性を連れてきたと思ったら使用人ってどうゆうこと?(嫁じゃねーの?)」って視線を送られてるベルナールが面白い。
そして、ずっとアニエスに(身分から)蔑まされていると思っていたベルナールが。
一緒に暮らしていくことで、徐々に「あれ? なんか違うぞ?」ってなっていくのが楽しいです。
最初の印象と違って、積極的なアニエスと奥手なベルナールのやり取りがたまらない。
原作小説は未読なのですが。
下巻が出る、とのことなので結末を早く知りたいから読んじゃおうかなー!
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