一つの命を大切に、素晴らしい人生を生きてほしい|『墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便』
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1985年8月12日。
羽田発伊丹空港行きの日本航空123便が、群馬県の山間部に墜落。
死者520人。
単独機事故としては世界最多の死者数。
墜落地点が群馬と特定されると
それは、著者・飯塚訓刑事の、520人を家族の元へ帰すための、127日間に及ぶ長い長い戦いの始まり。
著者は群馬県高崎署の刑事官
作者は 飯塚訓
書籍に記載されたプロフィールは下記の通り。
なんか、もの凄い人だと思ったのですが(いや、充分すごいんですけど)、群馬県の刑事さんだったんですね。
選んだわけではないけど、背負ったものの凄さを思うと考えさられます。
事故が運命を変えたのは、亡くなった方、その家族だけではなかったというか。
出版社は 講談社
掲載誌・レーベルは 講談社+α文庫
発売は 2015年6月
印象的だったボランティアの存在
文字だけでは、半分も理解していないのかもしれない。
しかし、文字だけでも、そこにいた人たちの必死さ、無念さ、そして起きた事故の残酷さが痛いほど伝わってくる。
完全な遺体は本当に最初だけで。
すぐに身体の一部分しかない遺体がほとんどになる。
すぐに歯が身元確認の重要な決め手になるだろうと予測してレントゲンを用意する医師。
涙でカメラのピントが合わせられない警察官。
少しでも、綺麗な姿で送ってあげたいと手を尽くす看護師。
その誰もが、自分の役割を超えて、遺体を家族の元に帰してあげたいという気持ちが伝わってくる。
そして、普段、普通の人よりも生死に関わるプロでさえも苦戦するほど大変な状況だったこともよくわかる。
悲しくて、辛い話がずっと続く。
どの話も、読み流すことが出来ない。
しかし、その中でも私が印象的だったのはボランティアの方々の話だ。
身元確認に関わるわけでもないのに、ボランティア? と思っていた。
しかし、ボランティアの方々は、確かに極限状態の医師、看護師、警察官を支えていた。
プロとはいえ、人間なのだ。
そして、ボランティアの方々が支えたのは彼らだけではない。
ボランティアの方々の存在がとても大きかったのがよくわかる。
そして、物事を動かしているのは、技術と知識を持ったプロだけではない、ということも再認識させられる。
何という感想が良いのかわからないくらい、無念とら悲しみと熱意が詰まった本でした。
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