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俺は条件のいい男だぞ|漫画『嫁入りのススメ』

通勤電車には。

ドアの窓部分とか、その脇とかに本の広告が貼られていることが多い。

電車通勤じゃない方には「え、あれって見るの?」と思われるかもしれませんが。

意外と見るのよ、アレ。

この『嫁入りのススメ』を知ったのも電車の広告でした。

舞台は架空の大正時代。
蘭子は、沒落した家の元お嬢様だが、現在はカフェの女給さんとして楽しく働いている。

ある日、カフェに男子学生が一人で来ていると同僚たちが浮き足立っていた。

「うちみたいな高級店に学生が一人だなんて
間違いなく良いとこのお坊ちゃんね」

『嫁入りのススメ』1巻

私には関係のない話。
蘭子が彼の元へ注文した料理を運んで行くと、彼は何も言わずに睨んできた。

あら 愛想 悪ッ

『嫁入りのススメ』1巻

心の中で、浮かれていた同僚に「やめといたほうがいいわよ」とつぶやきながら、蘭子が踵を返すと。

彼は突然、彼女の腕を掴んで呼び止め、紙袋を押し付けるように渡し、そのまま去っていった。

あの学生は蘭子狙いだったのか!と騒ぎ出す店内に、蘭子は冷静に「興味ない」と答える。

「あのねぇ千代ちゃん 私はもう24よ
どうせもっと若い女学生でも見つけて結婚よ
遊び相手なんてごめんだし」
「でも蘭子さん美人だし 本気かも」
「女学校には奥様方が嫁探しに来てるんだから
親の決めた家柄の良い相手と結婚するわよ」

『嫁入りのススメ』1巻

家に帰ってから、紙袋を開けてみると、出てきたのは綺麗なハンカチ。

高級デパートじゃなければ買えないような高級品だ。

本当にお坊ちゃんなのね……

と、感心しながら夕食の席につくと。

なんと、父親から蘭子に縁談が来ている、と突然告げられた。

断ってほしい、と頼んでも相手は子爵家でこちらからは断れない。

沒落した我が家に、昔の約束だから、と縁談を持ち込んでくるなんて物好きとしか思えない。

断ることも、逃げることも出来ず、子爵・蝶名橋家を訪れると。

そこには、あの“学生さん”がお見合い相手として現れた!!


人気BL作家の男女のラブストーリー

作者は福嶋ユッカ。
BL作品を多く手掛けている作家さんで、本作を読んだ後に気が付きましたが、私もこの作者さんのBL作品を読んでました。

あまり重苦しくない、少しコメディ調のサラッと読めるBL作品を描く印象の作家さんです。
本作ではコミカルな部分は残っているものの、この作家さんの作品の中ではシリアス寄りの作品になると思います。

出版社はアイプロダクション。
この出版社は小学館クリエイティブの関連会社。
小学館クリエイティブは名前の通り小学館が主要株主なので、大きく捉えれば小学館系列と判断して良さそうです。

女性向けコミックの他には、男性向けアダルトコミック、TL・BLコミックのレーベルだったので基本アダルト系のコミックを多く取り扱う出版社のようです。

掲載誌・レーベルは comic donna
上記のアイプロダクションの女性向けコミックのれ。この出版社でBL作品を描いていて、その流れで女性向けコミックを描いたのかな? と思いましたが、この出版社のBLレーベルには福嶋ユッカさんのBL作品はありませんでした。

既刊2巻。連載中。


お見合い相手・耀一郎さんが可愛い。

無愛想で、ほぼ無口な耀一郎に、蘭子は当初、自分と同様に耀一郎もこの縁談に乗り気ではない、と勘違いしていたけど。

実は色々と不器用なだけで、かなり乗り気な耀一郎が可愛い。

蘭子も大人っぽく小ざっぱりした性格をしているけど、かといって強気な訳でもないので、仕事を続けたかったり、彼の親族と上手くやる自信がなかったりする訳だけど、それが彼女の機転で一発逆転!ではなく、耀一郎と歩み寄ることで徐々にストーリーが進んで行くところがこの作品の良いところ。

素の耀一郎はかなり強引なところも多いものの、蘭子が大事にしている事とかは慣習に関係なく、手助けしてくれようとしているし。

2巻までのストーリーで、良いところまでは来ましたが、まだまだ問題はいっぱい。

今後、どんな展開になるのか楽しみな作品です。


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