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もう決めたことだ。後戻りはできない|漫画『惑いの鳥籠』



オスマン帝国のような架空の帝国・エルトゥールル帝国。

宮殿の奥の後宮で、主人公の女官・エミーネはただ、耐えるように跪いていた。
皇子に誤って水をかけてしまった女官が、罰を受ける声を聞きながら。

一度入ったら 出ることが 許されない
ただ息を殺して
皇太后様の 怒りにふれぬよう 生きるだけ
救うこともできない 救われることもない
私の世界――

『惑いの鳥籠』

宴の席で、エミーネはラレンデ君侯の子息・バヤジットに声をかけられていた。

2人の出会いは、バヤジットが他の女官を連れ出していたのを目撃し、エミーネが涙ながらに抗議したのがきっかけだったが、それから何かにつけバヤジットはエミーネに絡むようになった。

後宮は 噂ひとつで 命取りになる

『惑いの鳥籠』

かつて、救えなかった人を思い出して。

エミーネが見聞きする全てを拒み、息を殺して生きようとする中で。

密かに水面下では、皇太后の息子である第二皇子・イブラヒムと第一皇子・ジハンギルの皇位争いが行われていた。

そして、宴の最中に、バヤジットはエミーネに皇太后のところに第二宰相が呼ばれていたことを持ち出し、更に驚くべきことを持ちかける。

「――ねえ 君はどうしたら
ふたりが何を話していたか 私に教えてくれる?」

『惑いの鳥籠』

大好きなシリーズのコミカライズ

作画は 望月桜
少女漫画を中心に活動されていて、連載作品も何作もあるベテラン作家さんです。
本シリーズも既に3作目のコミカライズ。
1作目の『囚われの歌姫』(既刊3巻。完結済)はこのシリーズが漫画で読み返せるなんて!って感動でした(で、何故、感想書いてないんだ私……)

2作目はあらすじにも出てきた、兄皇子・ジハンギルのお話である『運命の皇帝』(既刊3巻。完結済。)

原作は 貴嶋啓 
女性向けライトノベルを中心に活動されている作家さんです。
本作は、 エルトゥールル帝国シリーズの1作品。

シリーズは現在、全部で8作品。基本的に1冊完結。
このシリーズの他に、『流離の花嫁』もコミカライズ(作画・梶山ミカ 既刊4巻。 完結済。)されています。これも面白かった!

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出版社は 講談社

掲載誌・レーベルは ホワイトハートコミック

発売は 2023年04月
既刊1巻。連載中。


珍しいオスマン帝国系ヒストリカル作品

もうね。この漫画が単独で好きとかじゃなくて。
エルトゥールル帝国シリーズが好きなんですよ。

ちょっとズレてるんだけど、塩野七生『海の都の物語』とか夢中で読んだりしたからさぁ。

オスマン帝国なんて大帝国なワケですよ。
んで、その大帝国の政変を舞台にロマンスなワケですよ。

そりゃテンションも上がるってものでしょ?

ヨーロッパは元より、中華系の話はよく見るけど、オスマン帝国って結構見かけないのもハマった原因かも。

地理的には、名作『天は赤い河のほとり』とか近いけど

時代違うし。

ガッチリ、オスマン帝国ってワケではないので、ファンタジーな部分もあるとは思うのですが、イスラム圏特有の、女性が異性に簡単には顔を晒さない、ってのもまたドキドキするんですよ。

見ようとしたり、見せないようにしたり、うっかり見ちゃったりで、それだけでも設定として楽しい。

今回の主役はエミーネとバヤジットですが、1作目の『囚われの歌姫』の第五宰相・ラフィークとかも出てきて、単品で読んでも楽しいけど、シリーズで読むともっと楽しい。

コミカライズって、ただストーリーを絵にする、ってだけじゃない。
小説と漫画だと、どうしても漫画の方が尺が短かったり、言葉では説明しない方が伝わるシチュエーションもある。
描き手の方の編集力のセンスってあると思うんですよね。

原作が面白いのは、そうなのですが。このシリーズ、コミカライズも原作のストーリーを忠実に追ってくださっていて。そう思えるのは上手く見せてくれているからだと思うから、原作ファンとしてはとてもありがたいです。

なかなか珍しい、オスマン帝国系ヒストリカル作品、是非、読んでみてください!


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