国を滅ぼすたった二つの簡単な方法|漫画『図書館の大魔術師』第8巻
これまでの感想はこちら。
アフツァックの都民館の図書室整備をする為に、街へと来ていた司書見習いのシオ達。
しかし、実際は本の整備よりも、街のお年寄りたちの相手をしている時間の方が長かったのだが。
アヤと昼食をとる為にオシャレなレストランへとやってきたシオ。そこで、薄汚い格好をした仮面をつけた大柄な人物と居合わせる。
店の雰囲気にそぐわないその人物は、店の中でも浮いていて、1人の男が店を出ていくように難癖をつけはじめた。
それを止めに入ろうとするシオとアヤ。
すると、その男の矛先は2人へと向かう。
ジハカとは、アシン教の行為で、お布施を払い許しを請うものだった。
アヤのその言葉に男は
その言葉を言った瞬間。
どこからともなく、男の服が切り刻まれ、下着を残して丸裸になった。
やったのは、騒ぎをおさめる為に、店を出ようとしていた仮面の人物だった。
謎の力で尚も切り刻もうとする仮面の人物。
その時、シオは外から悲鳴が聞こえたことに気がついた。
店の外に出たシオたちが見たのは、巨大な精霊。
逃げ惑う人たち。
その頃、中央図書館では守護室が精霊撃退の為に出動しようとしていた。
いつも、この作品は現実の問題を想起させる
のが、すごいよね。
一体、この作者、どんな頭の中してんだろ。
全くのファンタジーなのにさ。
語っていることは現実の問題にあることばかり。
今回は特に「 国を滅ぼすたった二つの簡単な方法」が印象的でした。
信仰の強制だってさ。現在のイスラエルとかの問題に紐付けることができるじゃん。
信仰を“強制”している状況じゃないけど、根本に、ものすごく狭い場所でお互いの宗教を認めない人たちがひしめき合っているせいで。
争いの連鎖が止まらない。
最早、原因が“信仰”なのか“民族”なのか他のものなのか判別つかないくらい絡まってこじれてしまっているけど。
一方で過度な徴税だって、戦争をするには金がいる。それは争う為に必要な金であって、民に還元される金ではない。
結果、人々は税を払いながら貧しくなっていってしまう。
世界は今、ほとんどの国が(もちろん日本も含めて)その方向に流されているようにも思う。
どれも簡単に解決できるものではなく、個人単位で見れば為す術がないことにも思える。
だけどさ。
それが 国を滅ぼすたった二つの簡単な方法、と言われると。
目が覚める言葉だな、と。
ファンタジーに包みながら、この作品が語りかけてくるのは現実の私たちへの問題定義だ。
この作品のこういうところ、すっごく恐ろしい。
毎回、ゾッとする作品だわ。ホント。
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