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それぞれの花嫁たちの物語|漫画『乙嫁語り』

山を越えてやって来た 美しい花嫁のアミルは20歳。
彼女をめとった花婿は 弱冠12歳の少年カルルク。
8歳の年の差を越えて ふたりは愛を育んでいく……

『乙嫁語り』1巻 帯より

元々はこの紹介文を読んで面白そうだな、と思ったのがきっかけ。

一歩間違うと、全然違うジャンルの作品になりかねないけど、タイトルや雰囲気からして、この設定がどうなるんだろう、と。

現在では人気作品になった『乙嫁語り』ですので、読んだことがない方でも、何となくはご存知かもしれませんが。

舞台は19世紀の中央アジア。
西トルキスタンと言われる地域で現在のカザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンあたり。

現在はそれぞれ独立していますが、『乙嫁語り』の時代はロシアの中央アジア進出前。

歴史的にはその後、ソビエト連邦の一部となり、ソビエト連邦崩壊後独立、という流れになっています。

12歳の少年カルルクの元にやってきた花嫁・アミルは遊牧民の娘。
一方、カルルクは定住民。

それだけでも、色々と文化や慣習が違います。

定住民であるカルルクたちは、家畜等を市で売り、生活に必要なものを手に入れますが、遊牧民であるアミルは馬で獲物を追い、弓で狩ります。

この定住民と遊牧民という違いだけでも、様々な違いがありますが、この作品はカルルクとアミルを中心に、様々な民族の“乙嫁”たちが登場し、主人公を変えながら、個人の事情、民族の事情、国の事情を抱えながら、生きていく様を描いた作品です。


年1冊ペースの長期連載作品

作者は森薫。
この方の作品では、『乙嫁語り』の他に19世紀末の英国を舞台にした身分違いのラブストーリー『エマ』も有名です。

出版社はKADOKAWA。
(元は角川子会社のエンターブレイン。2013年の合併よりKADOKAWA)

掲載誌・レーベルは青騎士コミックス。
(連載当初はフェローズ、ハルタを経て2021年より青騎士に移籍)

連載開始は2008年10月。

既刊14巻。連載中。
最新刊の14巻は最近発売したばかり。


最新刊が面白かった!

以前、ご紹介しましたが、この作品の原画展も行われていました。

14巻を通して、歴史が進んでいる部分もあるのですが、主人公が変わっているので(大体1巻1人くらい)、一貫した明確なストーリーというのはない感じです。

そして、これまでの“乙嫁”たちもそれぞれ面白かったのですが、とにもかくにも、最新刊の14巻が良かった!

アミルの兄、アゼルの結婚なのですが、これがもう良かった!

従兄弟のバイマト、ジョルクのとこにもお嫁さんが来たんだけど、それぞれの話がいい!

女性は自分で相手を選べることはほぼなく、家長である父親か、父親がいなければ親族の男性が決める社会。

一方、男性も財がなければ基本的にはお嫁さんを得ることは出来ない。

現代からみれば、色々とある慣習だけど、その中でも様々なロマンスがあるのが、この作品の楽しいところです。


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