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暴力は多くの歴史上の問題に決着をつけてきた|小説『宇宙の戦士』
元々は、岡田斗司夫さんの動画で知った、この本。
だって。
暴力は、むきだしの力は、ほかのどんな要素と比べても、より多くの歴史上の問題 に決着をつけてきたのであり、 それに反する意見は最悪の希望的観測にすぎない。 この基本的な真理を忘れた種族は、常にみずからの命と自由でその代償を支払うことになったのだ
もう、この時点で「え?」ってなるでしょ。
SF小説ってジャンルなのに、何が起きてるの?って。
ちなみに、この作品は『機動戦士ガンダム』のモビルスーツの構想の元になったパワードスーツが出てくることで有名な作品です。
しかし、ストーリーの基本筋は、一人の青年・ジョニーが、機動歩兵隊という最強部隊に配属され一人前の兵士になっていく物語で、派手な戦闘を繰り返していくものではありません。
戦闘シーンは冒頭と後半くらいで、ストーリーのほとんどは兵士になる為の訓練や、戦争論が綴られています。
危険な武器なんてものはない。 ただ危険な相手がいるだけだ。おまえたちに教えているの は、いかにして危険な存在になるかということだ敵にとってな。 ナイフなしでも危険な 存在だぞ。 片手片足が残っていて、まだ命があるかぎりはずっとだ。
「解放されない千人の捕虜は、戦争を開始あるいは再開するのに充分な理由となるか? ここで忘れてはいけないのは、もしも戦争が開始あるいは再開された場合、何百万人もの罪のない人びとが死ぬかもしれない、というか、ほぼ確実に死ぬだろうということだ」
ぼくはためらわなかった。 「はい、少佐との! 充分すぎる理由になります」
「“充分すぎる” か。けっこう、では解放されていない捕虜がひとりだった場合、戦争を開始あるいは再開するのに充分な理由となるか?」
多くは語れない。
感情移入して読むタイプの方には勧められない本かもしれない。
でも、フィクションと適度に距離感を持って、足元から自分の価値観を揺さぶられるのが楽しいと感じてしまうタイプの方には、楽しめる作品だと思います。
大御所SF作家の名作
作者はロバート・A・ハインライン。
SF界の長老、とも呼ばれるアメリカのSF作家。
本作の他、『ダブル・スター(太陽系帝国の危機)』『異星の客』『月は無慈悲な夜の女王』でヒューゴー賞(SFやファンタジーの作品および関連人物に贈られる賞)を受賞している。
出版社は早川書房。
掲載誌・レーベルはハヤカワ文庫SF。
発売は2015年10月。(新訳版)
戦うしか道はないのか
どうした、エイプども! そんなに命が惜しいのか?
とにかく冒頭から強烈なパンチラインで始まる。
基本的に訓練の描写が主で、ストーリーの中心はそこで語られる軍国主義的な思想である。
相手は人間ではなく、P星の“バグ”という宇宙生物であり、虫のような生態を持つ、話し合いどころか、意思の疎通も現段階では不可能。
相手が向かってくるなら、戦うしかない。
戦うしか、ないんだろうか?
大きな犠牲を払ってまで。
でも、戦わなければ、最も価値のある“自由”を奪われるのである。
しかし、その一方で戦いに身を投じれば、『火垂るの墓』のように、その代償はより、弱き者たちへ向かう。
この作品に対して、今は、答えを出すのではなく、頭の片隅に置いておくことしか出来ないが、本作はその後、1ジャンルを築いた作品だ。少しでも興味が持てたなら、読んで損はない名作だと思う。
https://room.rakuten.co.jp/fantasia.triumph/1700183428590142
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