人は美しいものに正義があると思うもの｜漫画『ブサ猫に変えられた気弱令嬢ですが、最恐の軍人公爵に拾われて気絶寸前です』
吾輩は猫である。
名前はまだ無 ……いや、あった。
私は猫である
名前はシフォンだ
ボールのように丸い顔、吊り上がった細い目、いつも不満があるようなへの字口。
牛のような斑模様、短い手足。
シフォンは、屋敷で「世紀のブサ猫シフォンちゃん」と呼ばれ可愛がられていた。
もっとも、シフォンは生まれた時から猫なのではない。寧ろ最近まで人間だった。
シフォンの正体はマリーという子爵令嬢である。
「お姉様 ごめんなさい わたくしマクシムを愛してしまったの」
時はマリーが人間だった時まで遡る。
美しい異母妹・エミリアにマリーは婚約者を奪われた。
「…そうですよね エミリアと私を比べたら ――誰だってきっとエミリアに惹かれてしまいますよね」
マリーから婚約者を奪ったのはエミリアであったはずだが、マリーは2人の純愛を邪魔した悪役令嬢として瞬く間に社交界に知れ渡った。
この一件から結婚に消極的であったマリー。しかし、貴族の令嬢として結婚をしない人生という選択肢はないのが現実である。
「マリー 朗報だ お前の結婚相手が決まりそうだぞ！」
そう言って父が持ってきた。
縁談の相手はラインハルト・ヴァレリー・メルク公爵。冷酷で無慈悲な人間だと言われている人だった。
公爵は、間もなく任期を終える南の島の提督の後任に名前が上がっているが、伝染病も多いその島の提督という任務は公爵にとってはメリットが少ない。
危険な任地である為、その島の提督は独身男性が選ばれていることから、その任から逃れるため急ごしらえの妻が必要なのだという。
愛のない結婚。
愛されて結婚するエミリアと比較して落ち込み、縁談に乗り切れないマリーではあったが、両家の力の差は大きくマリーの結婚の準備は着々と進んでいた。
そんなある日の夜。
マリーの部屋にエミリアがやってくる。
「冴えない性格に平凡顔でみっともないお姉様」
自分は子爵夫人なのに、公爵夫人になるマリーが許せないと怒鳴るエミリアにマリーはただ混乱することしかできない。
「お母様は旧帝国の呪術師だったのよ」
今は失踪して屋敷にはいない、マリーの継母であり、エミリアの母。
全く状況が読み込めないマリーにエミリアは、マリーの全てを奪ってやる、と言い手を振り上げた。
エミリアの手が怪しく光る。
「お姉様には猫にでもなってもらうわ」
次の瞬間。
身体に違和感を覚えたマリーは。
猫の姿になっていた。
命の危険を感じたマリーは必死でその場から逃げ去り、家を飛び出した。
しかし、猫の姿のままでは、行く宛ても、食事もままならない。
街の道端でただ雨に打たれるばかりのマリーを救ってくれたのは。
縁談相手であった、ラインハルト・ヴァレリー・メルク公爵だった。
オオトリさんの絵が綺麗。
作画は オオトリ
女性向け漫画を中心に活動されている作家さんです。
他作品では、『僕は婚約破棄なんてしませんからね』を読んだことがあります。
原作は 岡達英茉
女性向けライトノベルを中心に活動されている作家さんです。
今回の作品が初読みになります。
出版社は SBクリエイティブ
掲載誌・レーベルは GAコミック
発売は 2023年10月
既刊1巻。連載中。
間もなく2024年4月14日に2巻が発売予定。
期待も込めての「面白い」
まず、設定が面白いな、と。
エミリアの呪術で猫（しかもブサイク）になってしまったマリー。
婚約者のメルク公爵に拾われ、公爵家の飼い猫になります。
冷酷で無慈悲と言われていた公爵はとっても良い人……！ 優しいし。
猫になったことで、人間の時には見ようともしていなかった一面を知って良い雰囲気に ……ならない。
何故なら猫だから。
えー、これどうなるの？！
そもそも公爵はマリーは失踪したと思ってて、目の前のブサ猫がマリーだなんて思ってもいないし。
素敵なカップルになると思うんだけど、どうしたらマリーは人間に戻れるの？！
良い感じになるのはわかっているのに、どうやったら人間に戻るのかわからない！！！
という設定は面白い。
今後、このまま面白くなって欲しい。
まだまだこれからの作品ですので、乗るなら今！是非読んでみてください。
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