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私のスローライフ計画が全然うまくいかない|TL小説『えっちなゲームのモブ令嬢に転生したら、絶倫騎士隊長様からトンデモ溺愛されてます!?』


『オープンドローズ─彼女の花園は夜明けに開く─』という18禁乙女ゲームのモブ令嬢・ジュリエッタ・スチート子爵令嬢に転生をした。

ジュリエッタは、悪役令嬢であるディアナ・ヒルデナンツ公爵令嬢の側仕えであり、彼女が国外追放される途中で、山賊に襲われ、ディアナよりも先に山賊に手をかけられる役どころであるが――

「早く来なさい! いくら払ったと思ってんのよ、クソがっ!」

『えっちなゲームのモブ令嬢に転生したら、絶倫騎士隊長様からトンデモ溺愛されてます!?』

伊達に転生者ではない。
最悪のエンディング回避方法として『ヤられる前に殺る』――コツコツ貯めたお金で特級暗殺ギルドと契約していた。
山賊に襲われたら、助けて、とか守って、ではなく消し去ってもらうために。

エンディング回避からの、人生のスタート。

ジュリエッタはディアナを王都から離れた山間部にあるスチート子爵領に匿いながら、新しい生活を始めた。

そんな中、突然、先触れもなく馬車で10日はかかる王都から視察がやってくる。

やって来るのは アンデルレヒト・フロムゼンク侯爵。ゲーム内で3番手のヒーローであり、聖女の護衛をしている見目麗しい神殿騎士団長。
ついでに、数多の女性と浮き名を流した好色男子。

なぜ、ここに? という人選だ。

一方、アンデルレヒトは傷心だった。
初めて愛した女性である聖女は今や皇太子妃となり、他の女性への興味も薄れ、王都にいるのも辛く、各地へ皇太子と聖女の結婚祝いを届ける役を買ってでたのだ。

が、たまたま立ち寄っただけのスチート子爵領が適度に裕福なことに驚いた。

道の整備も、衛生面も、驚くほどしっかりしている。
それでいて、子爵邸は簡素だった。

そのほとんどを手掛けている、“帳簿を管理している娘” ――ディアナ公爵令嬢の側仕えだった娘だ。

何か不正の証拠がないか。

アンデルレヒトが扉を開け、その先にある階段を確認したその時。

「どいて!」という声と本が落ちるような音と共に、階段を飛び下りようとした誰かが声をあげる。

「そんなところでぼさっとしてないでよ!」
「そんな無茶な」
「うちの家人なら、階段下りる音がしたらどくでしょう!」
大声で叫んだ瞬間、ひらりとスカートがまくれ上がり、彼女の下着から生白い足まで全部丸見えでアンデルレヒトに向かって落ちてくる。
「これはこれは……」
思わず眼福だというくらい滅多にない素晴らしい足だった。

『えっちなゲームのモブ令嬢に転生したら、絶倫騎士隊長様からトンデモ溺愛されてます!?』

彼女を抱きとめるような形になったアンデルレヒトは、その触り心地の良さに驚く。

「ねえ、可愛い人。顔を見せて」
「あっ……あんっ ──じゃねえよ、っざけんな!!」 「は?」
およそ女が吐いたと思えぬほど酷い言葉が聞こえた次の瞬間、彼女の額が躊躇いなくアンデルレヒトの顎に当たった。

『えっちなゲームのモブ令嬢に転生したら、絶倫騎士隊長様からトンデモ溺愛されてます!?』

思わず手が弛んだ隙をついて身体を離した彼女は、間髪開けずにアンデルレヒトの股間めがけて足を上げてきた。
すんでのところで、それをかわし、お互いを見た2人は、相手が誰なのかに気がつく。

「あ、アンデルレヒト・フロムゼンク!」
「はい。久しぶりですね、ジュリエッタ・スチート子爵令嬢」
ニコリとそう挨拶すれば、ジュリエッタはまるで地獄を見たかのように青ざめた後、
「ジーザス!」
とアンデルレヒトが聞いたこともない言葉を唱えて、天を仰いだ。

『えっちなゲームのモブ令嬢に転生したら、絶倫騎士隊長様からトンデモ溺愛されてます!?』

※本作はKindleUnlimitedで配信中。(2024-06-24現在)


変わった作風だけど面白い作品を書く作家さん

著者は 榎木ユウ
TL小説、女性向けライトノベルを中心に活躍されてる作家さんです。

私が読んだことがあるのは、TL小説のみですが、『魔女と王子の契約情事』は面白かったけど、もう少し普通のラブストーリーでした。

エノキユウ名義の『御主珍様が見える!』の方が今回の作品に近かったかも(笑)

出版社は 夢中文庫

掲載誌・レーベルは 夢中文庫プランセ

発売は 2023年10月
既刊1巻。完結済。
※本作はKindleUnlimitedで配信中。(2024-06-24現在)


下品×コメディが面白い!

榎木ユウさんのTL小説のイメージってこれしかない(笑)

正に下品×コメディ。

あらすじもかなりオブラートに包んだつもりですが、実際はもっとダイレクトな言葉がバンバン並びます。

だから、結構、好き嫌いが分かれるかも。

そこをクリアできるなら、一途なアンデルレヒトと、キレの良いツッコミをするジュリエッタがとことん面白い。

そして、ジュリエッタ、とことん口が悪い(笑)。

実はベッドシーンばかりの作品なのかな、と思って前半ササーッと読み流して、途中からちゃんと読んだら「あれ? これ面白くない?」と気がついて、最初から読み直しました。

読み終わって、「誰が書いたの?」と調べたら榎木ユウ。あ、他も面白くて読んでたわ! ってなったのが今回の顛末。

間、間に挟まるコメディ部分が楽しい作品でした!


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