君らしくないな。とてもいい。|漫画『葬送のフリーレン』第12巻
10年の旅の末、魔王を倒した勇者一行。
旅は終わり。
パーティーは解散し、エルフ族のフリーレンは、1人で再び旅に出た。
50年後。約束の流星群を再び見るために仲間の元へ帰ってきたフリーレンは年老いたかつての仲間に再開する。
そして、流星群を見る約束を果たした後、仲間だった勇者ヒンメルはこの世を去った。
彼の葬儀の日。
フリーレンは彼との旅を思い出しながら、人間の寿命が短いとわかっていたのに、何故、もっと知ろうとしなかったのか、と後悔する。
長寿種であるフリーレンにとっては、人間は、長い人生の中で、ほんの少ししか一緒にはいられない存在。
それでも、フリーレンはヒンメルの死をきっかけに人間をもっと知る旅に出た。
これまでの感想はこちら。
マハトを倒し、ヴァイゼを黄金郷から戻したフリーレン一行。
北部高原キーノ峠にて。
入国審査に3週間かかると言われたフリーレンは、以前の旅で解読できなかった女神の石碑のリベンジをしたいとフェルンたちを連れて女神の石碑へと向かう。
久しぶりに訪れた女神の石碑は、崩れてはいたものの、魔力は残っていた。
早速、解析を始めたフリーレン。
何か違和感を感じたものの
そう、背後から声をかけたのはシュタルクとフェルンではなく。
ヒンメルたち ――以前の姿のままの、仲間たちだった。
思い出の中じゃないヒンメルを初めて見た
女神の石碑で、勇者一行が旅立ってから7年後の時間にタイムスリップをしたフリーレン。
帰還方法を調べたいが、軽々しく話してしまっては“未来”が変わってしまう。
しかし、現れた魔族・残影のツァルトを倒す為に、“現在のフリーレン”では有り得ない魔法を使う。
そして、自分が未来から来たことを仲間に話すフリーレンに、仲間たちはフリーレンが未来に帰る方法を探す“寄り道”をすることにした ――っていう、最新刊なんですが。
こう、ね。
フリーレンって、シュタルクとフェルンのパーティーだと、最強な立ち位置じゃないですか。
それが、過去のパーティーだと、こう、対等というか、愛玩的な立ち場になってるのが新鮮でした。
戦い方も“今”のフリーレンは知っているけど
ツァルトと戦うヒンメルの
というモノローグで、私たちの知るフリーレンの戦い方が、ヒンメルたちの知るフリーレンの戦い方ではないというのも解ります。
“今”のフリーレンの戦い方は、ヒンメルたちや、フェルンたちと共にあることで身につけた戦い方だったんだね。
あと、思い出じゃないヒンメルを見るのは(当たり前だけど)初めてで……ヒンメルってやっぱり強かったのね。シュタルクも充分強いんだけど……なんていうの? スマート?
思い出の中のヒンメルは、銅像用にポーズ取ってるのが印象強すぎて……
そして、肝心の“未来”への帰り方ですが。
なかなか見つからない中でアイゼンが
確かに……!
普通だったら、元の世界に戻らないとその時代で一生を過ごすことになるけど、フリーレンならそのまま待つ、という選択肢もあるのか。
“今”にはない魔法でもう一度魔王を倒す旅をすることも出来る。
でも。
それを失いたくない、というフリーレン。
その言葉を聞いたヒンメルが
おっ…男前ー!!
フリーレンが、“未来”である“今”のフェルンとシュタルクとの関係を言葉にしているのも感動したし。
その“未来”を知り得ないヒンメルとハイターが(アイゼンは生きてるけど)、自分たちがいなくなった後もフリーレンが新しい仲間と旅をしていることは嬉しかったんじゃないかな。
しかも、それはハイターとアイゼンが育てた子どもたちで。
自分が直接生きてなくても、縁を繋ぎながら一緒に、旅を続けているということが。
再認識できて、良い巻でした。
最後のアレは……
ヒンメル、そんなこと望んでないんじゃないかなぁ。望んでたらそもそも、こうはなってなかったような……
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