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お前やっぱ光ちゃうやろ|漫画『光が死んだ夏』


絶え間なく聞こえる蝉の声。
とある田舎。
駄菓子屋の店先で。

幼馴染みの高校生である、よしきと光は並んでアイスを食べていた。

炎天下でマラソンをさせた教師への愚痴。
光のおかしなイントネーションへの指摘。

それら、すべていつもの風景。
そして、話題は半年前の出来事へ

「…お前さー ほんまにあの山で一週間も行方不明 だったん憶えてないんか?」
「おー全然 はぁ… 半年経っても思い出されやんな もうよくね? ほんなんさーいつまで言うとるん」
「いいわけあるか どんだけみんな心配したと思っとるん」

『光が死んだ夏』第1巻

俺がいなくなって寂しかった? と聞く光に、いや、別に、と答えるよしき。

調子にのんなや、と光の頭を押さえつけたまま、よしきは、ずっと思っていたことを口にした。

「なあ 変なこと聞いてもええか?」

『光が死んだ夏』第1巻

光が行方不明になって、帰ってきてから、ずっと気になっていたこと。

「お前やっぱ 光ちゃうやろ」

『光が死んだ夏』第1巻

その言葉に、固まる光。

そして。

その顔が。

緩やかに崩れた。

「完璧に模倣したはずやのに…」

『光が死んだ夏』第1巻

SNS発の作品の書籍化

著者は モクモクれん
本作の1話をモクモクれんさんのX(旧Twitter)で読むことができます。

本作は、著者がSNSに投稿していた漫画の書籍化のようです。
他に配信作品はなく、商業誌デビュー作品のようです。
「このマンガがすごい!大賞2023」オトコ編1位受賞作品。

出版社は KADOKAWA

掲載誌・レーベルは 角川コミックス・エース

発売は 2022年03月
既刊3巻。連載中。
最新刊の4巻は2023年12月4日発売。


何だかわからないのが、恐ろしい

ちゃんとジャンルを確認しないで読み始めたんです。
何か人気だなー、と思いながら買って、実は3巻が出たあともずっと積んでて。

さて、そろそろ今年も終わるから読んでしまおう、と思ったら「ヒャー!」って(笑)

読んでから確認して「ホラーか!」って。

この得体の知れない感が、怖い。
でも、この作品の面白いところは、よしきがそれを怖いながらも受け入れようとしているところです。

それは、光を失いたくないから。

この、「光を失いたくない」もどういう意味でかは、少し悩むところです。
恋愛感情があるようにも見える。
だからこそ、光じゃなくなったことにも気がついたし、光じゃなかったとしても、突き放すことができない。

しかし、光の正体は森に居た“何か”で。
それによって“何か”が変わっていて。
それに気づきはじめた人たちがいる。

ストーリーは、村系というか、ヴィレッジ系っていうか、ホラーによくあるスタイルです。
よくあるスタイルだけど、ホラーの中では1番好き。

ただ、ホラーの難しいところは、スタートは良いけど、この謎が詳らかになってしまうと、段々アクションになってしまうか、広げた風呂敷を畳めなくなってしまうとかして、綺麗に終わるのが難しいところ。

この作品の結末がどうなるのか。
まだまだ楽しめそうですが、最後をどんな風に終わるのかも注目したい作品です。


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