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わたくしは お前たちを許さない|漫画『悪役令嬢の中の人』
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公爵令嬢であるレミリアは、高熱にうなされた後、目覚めると、誰かに身体を乗っ取られていた。
レミリアが叫んでも、その身体を乗っ取った存在はレミリアに気づくことなく、泣きながら家族に謝り続けていた。
「お父さん お母さん お姉ちゃん…… 死んじゃってごめんなさいっ」
その瞬間、レミリアの中に大量の意識、記憶、感情が流れ込んできた。
すべてが流れ込んできた、その後に。
この身体の女の子もどこに行ったんだろう…
大丈夫かな……
その言葉で。
今まで、何とか身体を取り戻そうとしていたレミリアの怒りが、ほどけた。
家族を愛することも、愛されることもなかったレミリアが、初めて自分を顧みられた言葉だった。
レミリアの身体を乗っ取ったのはエミという「ニホン」の「ダイガクセイ」で、エミの知る“レミリア”は“ゲーム”の“悪役令嬢”だった。
でも、エミの存在でレミリアは生まれて初めて寂しくなかった。
レミリアの声がエミに届くことはないが、エミの記憶を自由に覗くことができ、エミがレミリアを愛してくれる。
絶対に 私が レミリアたんのことを 幸せな女の子にしてあげる!
エミは、レミリアの魔力を増幅させ、剣術を学び、シナリオによる運命を変えていった。
すべては、レミリアの幸せの為に。
レミリアの中で。レミリアはその様子を眩しく思いながら見つめていた。
レミリアが幸せになる姿が見たいと
そう言ったエミの気持ちが 今ならわかる
エミの幸せな姿が わたくしは何よりもうれしい
しかし、ヒロインである星の乙女ピナの登場によって幸せな時間は簡単に壊された。
最初は皆、傍若無人に振る舞うピナに距離を置いていたが徐々に何かが狂い始めた。
エミが築き上げてきたレミリアの居場所はピナに奪われ、気がつけばエミの味方はいなくなっていた。
レミリアは必死でエミに、どう対処すべきか叫ぶが、エミにレミリアの声は届かない。
エミが追い詰められていくのを、レミリアはただ見ていることしか出来なかった。
そして、王宮の夜会でピナの殺人未遂という冤罪で断罪され、無実の罪を訴えたエミを「反省なし」と王子が婚約破棄したところで。
エミはすべてに絶望した。
その瞬間。レミリアに変化が起きる。
身体の重みが戻って来る。
エミの意識が消え、レミリアが自分の身体に戻ってきたのだ。
「わたくしは わたくしの名において 犯していない罪を認めるなど 偽りを述べるわけにはまいりません」
エミの存在は感じるが、心が流れてこない。
それが、レミリアにはとても寂しかった。
エミが望んだ「レミリアの幸福」もわたくしが取り戻すわ
婚約破棄を受け入れ、公爵領内の田舎へ幽閉されることを受け入れたレミリア。
裏切り者はもちろん
衆愚のひとりに至るまで
エミを傷つけたすべてに復讐する
何より あの女
お前だけは何があろうと 生きたまま地獄に落とす
わたくしのエミを絶望させたその罪は
死で贖うことすら許さない
エミを取り戻すために。
エミが安心して出てこられる世界を作るために。
レミリアの復讐が始まる。
※1巻はKindleUnlimitedで配信中(2024-03-04現在)
作画は少年漫画出身の方?
著者は 白梅ナズナ
本書は女性向け漫画ですが、配信作品は少年漫画、青年漫画の多い作家さんでした。
講談社の月刊少年シリウスで連載されていたこともあるようです。
原作者は まきぶろ
本作は同名の原作小説がありますが、小説家になろうで発表した作品がそのままコミカライズされている作品もありました。
出版社は 一迅社
掲載誌・レーベルは comic LAKE
発売は 2022年04月
既刊4巻。連載中。1巻はKindleUnlimitedで配信中(2024-03-04現在)。
珍しいスタイルの悪役令嬢ストーリー
エミの知識と、努力で得たスキル、元々悪役令嬢として持っていたチートな能力を最大限に活かして、レミリアはどんどんこの先に起きるシナリオを先に回収していく。
ピナが攻略対象と仲を深める為にあったシナリオも全て先に回収し、世界の危機は起こらず、ピナの立場も曖昧にさせ、彼女が使っていたアイテムの元になっていた魔族も味方に取り込んで供給を絶った。
全てはレミリアが幸せになる為。
でも、このレミリアが幸せになる為、っていうのがさ。
レミリア自身が幸せになりたいんじゃなくて、レミリアが幸せな場所なら、またエミが戻ってくるんじゃないか、ってことなんだよね。
エミとレミリアは直接会ったことも、話したこともない。
でも同じ身体の中にいて、お互いの幸せを願っていた関係。
とても不思議な設定なんだけど、エミを取り戻す為に復讐をしていくレミリアが何だか切ない。
レミリアの望み通りエミが戻ってきたら、レミリアはどうなるんだろう。
エミは絶望して意識を閉じてしまったけど、レミリアもまた、エミが戻ったら身体の中に閉じこもって構わないと思っているんだろう。
その、生きる為じゃない選択が、何とも言えない。
同じ場所で、2人が幸せに生きる道はないんだろうか。
この、何とも言えない切ないストーリーから目が離せません。
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