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当たり障りなくから、やってみたいへ

今年度、6年間お世話になった前任校から異動した。あと1年いることは出来たが、所属学年やいろんなタイミングから「ここだ」と決断した。
決断するまでの葛藤や異動に至るまでの出来事を、自分なりの言葉でまとめてみようと思う。

迷ったけど、残留決意

一昨年の秋。いられる年数は最大であと残り2年。卒業生を出すし、ここを一つの区切りにしようかなとおぼろげに考え始めていた頃、校長室でこんな話になった。
「うちの学校何年になるんだっけ?」
「5年です」と返すと、次のように言われた。
「あと2年か。そしたら、1・2、2・3、3・3どれがいい?」
人事個票が配られる2週間前のことだった。はっきりとは決して言われていないが、事実上の残留して欲しい宣言である。
2週間後、人事個票が配られた。11月。3年生を持っていれば、受験校決定の三者面談、進路事務等で最も忙殺される時期だ。忙しさにかまけて、ちゃんと考える余裕が無かった。そして、校長室でのやり取りを思えば、異動希望を出せば悪いように扱われる可能性があると思い(本当にそうなるかはわからないけど)、ぎりぎりまで悩んだ末、残留を決めた。

校内人事発表

昨年3月。校内人事が発表されて、1年生だとわかった。
あぁ、この1年で区切りだな。
覚悟が決まった。
2年生までいれば情が入って別れが辛くなるから、1年で出よう。そして、誰かに間違いなく引き継ぐことになるから、次の人がやりやすいように変な手垢を付けないようにする。2クラスしか無いから、来年のクラス替えで苦労しないよう、学級差もなるべく付けないようにやっていく。そう決意が固まった。

残留の後悔?

学級担任としてはある程度軌道に乗っていたので良かったが、一つ悩みがあった。
育休明けの同期が復帰して同じ学年になった。その時の葛藤はここに書いた。

2年前の出来事がきっかけの葛藤を上司に打ち明けた時の話|いろうた|note

何で自分ばかりこんな思いをしないといけないの?苦しかったし、そう思う自分も嫌になっていた。さっさと出てしまえば良かったのかも…そういう思いがくすぶっていた。

異動希望…どこへ?

人事個票が配られた。異動希望を出す決意は固まっていたが、希望地域は悩んでいた。
キャリアを考えたら、市外に出た方がいい。だけど、市外交流だったら3年でまた異動になる。そうしたら、3年間。結婚は出来たとしても、妊娠・出産の選択肢は持てなくなる。(実際は、もう1年は無理な見込みになる。)
キャリアと自分のライフプラン。結婚の予定がある訳でもないが、天秤にかけた時に、ライフプランが勝った。人生の選択肢を持っていたい。だから、自分なりに納得した上で、市内での異動を希望した。

実はキャリアとかを考えてくれていた教頭

目標申告の面談。訳あって異例の再面談で、「来年どうすんべ?」という話になった。
異動希望を出していると伝えると、「どこに?」考えた経緯、キャリアと自分の人生の両方から考えた結果、市内で出していると伝えた。
他に行った方がいいと思っていた。でも、異動はリセットできるからね。」
それから、県内の各地区の取り組みや実践状況の話、そして自身が他の地区に行った経緯を聞いた。今のままだと、この仕事の楽しさを知らないままになってしまうと気にかけてくれた先輩の先生がいて、他に出ることを勧められたから。それが他の地区へ飛び出したきっかけだったと言う。
そんな風に考えてくれていたんだ…。そして、こんな話をしてくれることがすごく嬉しかった。

この面談を機に、私の働き方は変わった。ガツガツ挽回するかのようにあくせく働いた訳ではない。だけど、1個1個やっていたことが、教科指導、校務分掌、行事、学級(学年)経営と様々な形で発揮されるようになった。

異動決定

前任校の台所事情も加勢し、市内の別の学校へ異動することになった。
異動まであと3日となり、引き継ぎのことで教頭に相談した時にこんな話になった。
「あれからすごい頑張ったよね。格好良かった。」
えっ…。格好良いなんて、初めて言われた。頑張った感じもあまり無いのに。唯々目の前のことを一つひとつ確実に行っただけなのに。
「体調のこともあったのかも知れないけれど、表に出さずにやって、差が出ないようにと後輩の面倒も見ていた。だから、皆気持ちよく協力していたと思う。」
実は、異例の再面談は私の思いを吐露した場だった。校務分掌や学年や教科に対する思いや考え、これまでの経験からの気づき…等々。自分でも、随分いろんなことを考えていたのだと改めて認識した。

力を発揮できることがこんなにも幸せなことだと初めて実感できた。異例の再面談で口にした「当たり障りなく」という思い込みが、自分を抑え込んでいた。自分の考えを伝えたら、それを形にしようと一緒にやってくれる、手助けしてくれる人もいる。だから、力を発揮できる。当たり前のことだけど、この仕事は人あっての仕事。人と人との繋がりに感謝して日々目の前のことに向き合っていきたい。





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