見出し画像

2年前の出来事がきっかけの葛藤を上司に打ち明けた時の話

私には、多嚢胞性卵巣症候群という病気がある。
排卵がしにくい。日常的に付きまとうのは、生理不順と不正出血。その症状が故、そして、過去数年間の治療が功を奏したのか、ある程度安定して生理が来ていたので、周りにもあまり話さずにいた。

2年前の出来事

そんな私の身体が悲鳴を上げたのは、2年前。産休に入る先生の代わりが来ず、仕事量(授業6時間)が増えたことがきっかけだった。授業や担任業が増える他の先生は仕事量の調整(授業2時間増程度)があったのに、私は授業時間が増えるだけで、校務分掌も学年の仕事も何も減らなかった。

仕事納めも終わって正月休みに入った時に不正出血。4〜5日ほどで治まったが、10日も経たずに再び出血。3週間以上止まらなかった。この間、基礎体温計をくわえても身体が拒絶して、吐き出してしまう時もあった。
当時は2年担任で、スキー直前。今病院に行けば、一定期間ホルモン剤を飲んで止血することになる。ホルモン剤を飲めば、吐き気で宿泊に耐えるのは無理。飲み終えたとしても、消退出血で生理と同じような状態になるから、それも煩わしい。それならば、放置の方がいい。そう判断して凌いでいたが、スキー先に着いてから出血量が増え、いよいよ止まらないと思って、終わってから病院ヘ行った。(病院に行くと、やはりホルモン剤を飲むことに。)

検査結果は高プロラクチン血症。プロラクチンの値を下げる薬を飲んで治ったが、この頃から不正出血が決まって何日かあるようになっていた。昨夏、人間ドックで卵巣嚢腫の疑いと診断されたのを機に病院ヘ行くと、「排卵がうまくいっていないのでは」ということで漢方を飲むことになり、定期的な通院が必要な今に至っている。

葛藤

排卵がしにくいということは、妊娠しづらいということ。病院でも、「(自然)妊娠は難しい。(程度はわからないけど)不妊治療が必要」で「それよりも身体を元に戻すことが先」と言われている。

仕事のこと。1年半前、管理職に次年度に向けて、仕事量の調整を相談した時に、「学校が回らないから無理」と言われた挙げ句、仕事量が増えた。学校を回すためだったら、犠牲になるのは仕方ない。そういうことだと思った。そして今年度になり、産休に入った当人が復帰して、同じ学年になった。校内人事上仕方ないのは百も承知だけど、辛い。彼女のカバーをしたことで、どんどん身体的にも妊娠から遠のいている現実を直視するのも辛い。そう思う自分が悪いの?

ライフステージのこと。そういう予定がある訳でないが、寧ろ話せる人でないと将来が考えられないと思うと、前向きにもなれずにいる。でも、人生これでいいの?不妊治療してまで子どもを望む?頑張れる?このままキャリアを積むのがいい?それとも、キャリアを投げ売ってでも、婚活・妊活に励んだ方がいい?葛藤しかなかった。

もう、色々なことに折り合いを付けるの疲れた…。

いつしか、この思いが先行するようになっていた。

今の上司は、当時別の学校で勤務していた。知っているのは、今年度初めて年休を取るとき、定期的に通院が必要になるから説明した、「体調を崩したのがきっかけで持病が悪化して、通院が必要になった」だけ。経緯も葛藤も話して受け止めてもらえるのだろうか、逆に話したらかえって傷が深くなるのか…わからなかった。

話した

意を決して話すと、想像以上に重く受け止められていた。言葉の相槌の応酬で、いろんな話が行きつ戻りつする中で、「言いづらさもだけど、聞いている方も嫌だろうなと思っている」といった旨を話すと、

「いや。話を聞いていて、どうしてあげられるのかなって。同じ職場で働いていて、どうすれば自分らしくいられるように出来るのかなって。」
自分らしく…
もう何年も忘れ去っている感覚だった。自分を押し殺さないとやっていけない。そう思ってきたから、今更言われると思考が止まり、「えっ?」と返すのが精一杯だった。

「1人で対処しようとしていたの?」と聞かれた。言いづらいし、体調のことは自分で解決するしかないと思っていた。だから曖昧な答えを返すと、「言えずにいたのか…」ほぼ呻きだった。
更に話すうちに、周りも言われて困ると思って言えずにいた悩みを話していた。しばらく話すと、時計の針の音だけが随分長く聞こえるほどの沈黙。天を見上げ、深いため息の後、「何て言ったらいいか、わからない」。その姿に動揺したが、この一言が気を効かせて言うアドバイスよりも、向き合ってくれていると感じた。何ができるかわからないけれど、今日聞いたことを踏まえて接していく。また、何かあったら教えて―その日の話は終わった。

その後

上司はいろんなところで気遣ってくれている。けれども、早く帰るようにも、他の人に話すようにも促さず、仕事のやりがいの部分を損なわずにいてくれる。一方で、体調もだが、精神的な部分を考え、全てを打ち明けられる人がいないかを心配している。

今はまだ誰にも全てを打ち明けられない。打ち明けられるほどのエネルギーが無い。同性は同性で、異性は異性で気を遣うし、話し方も考えてしまう。けれども、理解しようとしてくれ、自分に出来ることを考えようとしてくれる人もいる。そういう人達に、少しずつ話せることを話せたら…そう思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?