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地方都市「鳥取」のワーケーションにおける伸び代とは?

2020年11月下旬、鳥取市にワーケーションに関する視察へ旅行会社の阪急交通社さんと伺いました。今回は、その鳥取市の取り組みや視察を通して私自身が鳥取に関して感じたことなどを綴っていきます。

鳥取県鳥取市は、鳥取県東部に位置する県庁所在地で人口約18.7万人(2020年11月現在の推計人口)の街です。全国的に最も有名なのは鳥取砂丘で、日本でも最大規模。

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一方で県庁所在地ではありますが、鳥取県の人口は、約55.1万人(2020年11月現在の推計人口)と47都道府県で最も少なく、数少ない県庁所在地でも自動改札機が未導入など、昔ながらの暮らしが残る街でもあります。

鳥取市は関東圏からは東京羽田空港からANAが1日5往復で約1時間20分の到着(2020年11月現在ダイヤ)、関西圏からは特急スーパーはくとが1日7往復で大阪からは約2時間30分、その他岡山から特急スーパーいなばがあり、名古屋や福岡等からも乗り換えることで簡単にアクセスできます

鳥取市は、空港や駅から、鳥取砂丘や中心市街地が非常に近く、コンパクトな滞在ができるのが大きなポイントです。ワーケーション等の滞在を考えた時に、この点は非常に大きな加点となります。

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日本海に面していることもあり、海鮮を始め、様々な食に恵まれた都市でもあります。

そんな現状の鳥取市は、どのような動きがあるのかを実際の体験を基にまとめてみました。

鳥取市の取り組みとは?

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鳥取市では「サテライトオフィスの適地」という事をアピールし、企業誘致をゴールとしたワーケーションの計画がスタートしました。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、企業においては外出自粛・出勤制限等による働き方の急激な変化を余儀なくされ、オフィスの縮小移転・地方分散等の検討が進められています。
本市では、この流れを受け、余暇を楽しみながらテレワークで仕事をする新しい働き方であるワーケーションをきっかけに、本市へのオフィス移転・新設をご検討いただきたいと考えております。
また試験的に本市内に滞在し、オフィス環境を視察したり鳥取ワークを体験するための経費に対する支援制度もございます。鳥取市への立地を是非ご検討ください!!

引用元

https://www.city.tottori.lg.jp/www/contents/1597884055537/index.html

鳥取市は、(株)宝島社が発行する『田舎暮らしの本』による「住みたい田舎 ベストランキング」で、大きなまちグループ総合部門第2位(2020年)を受賞し、8年連続でトップ10入りを果たしています。

更には「子育て世代が住みたい田舎部門」では見事第1位を受賞するなど、アクセス面、環境面でもポテンシャルが非常に高いのが伺えます。

大規模災害が少ないことも特徴で、SDGsの取り組みも盛ん。そのような背景を基に、人材確保の制度、金銭的な支援・補助制度を作りました。

ただ、そのようなポテンシャルはあるものの、スタートしたばかりで、まずはこの取組の認知度を上げていかなければなりません。

その中で、その前のステップとして掲げているのがワーケーションという位置付けになるのです。制度については下記詳細をご覧ください。

https://www.city.tottori.lg.jp/www/contents/1597884055537/files/satelliteoffice_tottori.pdf

鳥取砂丘のSDGs

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鳥取砂丘は説明不要の鳥取市随一の観光地であり、景勝地です。

しかしそんな鳥取砂丘は、SDGsと言われる前からサステナビリティを意識した取り組みが始まっていました。

鳥取砂丘は、中国山地・河川・沖積平野等の様々な要因があってできています。しかし、人々の暮らしを便利にするために河川の流れを変えたり、砂丘地での住宅地の開発が進みました。戦後の昭和の時代です。

その流れの中で、砂丘の面積が急速に縮小していきました。更に、砂丘の緑化が進みこのままでは消滅も避けられない未来が予想されました。

そこで地元が立ち上がり、サステナビリティな取り組みとして、除草作業等が鳥取砂丘で始まり、少しずつですが緑化面積が減ってきています。

それでも少しずつ砂丘の面積は縮小している事は事実で、次世代に向けてどう残していくのか?こうした背景を学び、課題解決に向けて取り組むことが、鳥取砂丘ではできるのです。

鳥取砂丘ではそのような取り組みがありながら、絶景だけでなくアクティビティも楽しむことができ、更に砂の美術館等の芸術を見ることもできます。

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鳥取砂丘唯一の結婚式場砂丘の家レイガーデンは、式が行われていない時にカフェ利用が可能で、各階にWi-Fiが完備されています。フリーランサーの方はここでゆっくり滞在しながら仕事利用もできます。

砂丘の家レイガーデンでは、地元企業を中心に、既に研修やプロジェクト等で既に貸切利用があります。3階は遠くに砂丘を眺める眺望の中で、1つのプロジェクトを仕上げていく。そのようなタイプのワーケーションを取り組むことも可能です。

中長期的に鳥取砂丘周辺に、滞在可能な場所が増えていく計画があります。

学び、考えながら、時を過ごすことが可能、非常に考えさせられるのが、鳥取砂丘です。

訪れるたびに変わるだろう、鳥取中心市街地

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鳥取駅周辺の中心市街地は、今の多くの日本の地方都市における空洞化の課題に直面しています。そんな中でも、生まれ育った街を元気にしたいと地元の若い層が盛り上がってきている事例も増えてきました。

鳥取市には、鳥取リノベーションまちづくり構想があります。詳しくは下記をご覧ください。

https://www.city.tottori.lg.jp/www/contents/1467284059391/index.html

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株式会社まるにわは、そんな構想の中で、中心市街地でイベントなどを実施してきました。取り組みの中で1棟の空きビルの運営を担うこととなり、2020年7月より、オリジナルDIYを始め、改装しました。

このビルはマーチングビルと名付けられました。3,4階と2階の半分は主にシェアハウスとして運用し、5名の若い層が居住。

1階と2階の半分は現在、利用方法を構想中とのことですが、代表の斎藤さんは「私たちの、暮らし方・働き方にイノベーションを」と仰っています。

そう、この言葉、私達が考えているワーケーションの先の「日本における新しいワーク&ライフスタイルへ」というビジョンと一致しているのです。

利用方法構想中の1階と2階の半分は、そうした鳥取市だけでなく、県外の方々も集まるようなスペースにしていきたいと考えているそうです。

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そのマーチングビルから歩いて3分程の場所に「OFFICE24」というシェアオフィスがあります。

ここも元々家電販売店だった空き家を、現オーナーの本間さんが購入し、鳥取市内に今までになかったシェアオフィスとして開業しました。

稼働を始めて1年、クリエーター等当初の予想をしていた顧客だけでなく、社会人の資格のための勉強など意外な利用方法も生まれているそうです。

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その他、鳥取市役所「麒麟スクエア」(ワーケーション専用者Wi-Fi有)、鳥取大丸「トットリプレイス」なども公共スペースでありながら集中して仕事に取り組める場所がありました。

鳥取の中心市街地は、エリアが広くはないので、非常にコンパクト。

今の鳥取の流れの中で、もうすぐ、より熱い、イノベーションが起きやすくなる場所などができてくると感じます。

まだまだ環境は整備中な場所が多いものの「鳥取にいる人」の面白味があり、砂丘の自然だけでなく「人」の面白さ、課題に対しての向き合う姿勢等も興味深いところです。

地元を守る、深い鹿野

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鹿野は鳥取市西部に位置しており、400年以上前に開けた城下町。その町並みが今でも残り、地元のコミュニティも深く残っています。

しかし、鹿野町としては平成の大合併の時に鳥取市に吸収合併される形となり自治体としては消滅。そんな中で、鹿野を守る取り組みが長年続けられてきました。

今、鹿野と交流するのは非常に深い方々達。単にまちづくりの取り組みを勉強する事ではなく、鹿野の住民とともに、どのような地域課題を解決していきたいのか。

そしてその課題解決を基にして、どのように交流を続けていくのか。熱い人なら年齢層も問わずに深く関わっていく。

地元が求めているレベルは実はかなり高い位置にありますが、今まで数々の苦労の中で取り組んできた、一つの自信を感じました。

2019年、平成の大合併で消滅した基礎自治体・旧鹿野町のエリアは、なんと転入超過を達成しました。実はこうした町にもゲストハウスやコワーキングスペースが静かに運営されています。

しかし今回、私は敢えてここのまとめに鹿野の実態に聞けた具体的な取り組みは記載しません。それは、この方が鹿野のためになり、更にワーケーションを通した更なる相乗効果に繋がると感じたからです。

私のこの記載で鹿野に興味を持った方は、是非ご自身で勉強をしてみましょう。それが鹿野を知る一番の近道です。

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鹿野城下町から車で10分ほど離れた場所には、鹿野温泉があります。山紫苑に滞在して、のんびり過ごしながら、色々と考えながら、仕事もかなり捗りました。

松葉ガニも解禁されていたので、地産地消の食材も味わいながら、次の取り組みに進みます。

鳥取に惚れ込んだ関西人の話

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今回、関西出身で鳥取在住の西尾さん(大阪府出身)、北村さん(奈良県出身)とも一緒に行動しました。

おふたりとも、言葉はバリバリの関西弁で、西尾さんは大阪特有の素早いツッコミも対応できます。

現在、鳥取市で株式会社ASAGIを立ち上げ、動画制作やSNSプロモーションの事業を行っています。

つまり、関西で生まれ、育った方が、鳥取市の街に惚れ込んで、実際に起業をしてしまったのです。

西尾さんは「動画制作やSNSプロモーション」、顧客との打ち合わせを全てZoomで行える今、会社の所在地は正直どこでも良いと思っている、と仰っていました。

まさにその通りで、前回の記事にも書きましたが「これまではオフィスが職場と考えられていましたが、Wi-Fiとディバイスがあればどこでも職場になります」

東京で高い賃料を払う必要性がなく、リモートで顧客と打ち合わせさえできれば、どこででも対応ができます。

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そして、鳥取市の方が良くしてくれ、街も自然も人も良いので、この街で起業する決意をしたとのことです。

鳥取市には独自の支援制度があり、更に鳥取県にも制度があります。鳥取県鳥取市に企業立地をする場合は両方を併用できるという利点があります。

つまり、鳥取市は東京と比べて初期コスト、ランニングコストを抑えて、東京と同じ質の仕事を行うことができるのです。

ワーケーションを通して実際にその地域に惚れ込み、その地域の課題を解決しながら事業を起こしたり、住んだりしていく。

鳥取市のワーケーションの1つの側面をここでも見ることができました。

鳥取の明るい未来に向けて

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鳥取市では、サテライトオフィスの誘致、企業の誘致を目標に、そのステップとしてワーケーションを位置付けて計画を進めています。

既存の施設を活かしながら、民間と連携して動く取り組みは非常に理想的なものです。

勿論、動き出したばかりの計画でもありますので、課題が多いのも事実です。しかし、このような鳥取市の熱い方々が、この課題をどんどんクリアしていくと感じています。

アクセス面での優位性も優れていて、これからの鳥取市のワーケーションにおける、伸び代が楽しみです。

私達、日本ワーケーション協会も、この高い潜在性を持つ鳥取市と一緒に、ワーケーションの普及と地域活性化、そしてその先の新たなワーク&ライフスタイルへの育成に向けて励んでいきます。

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