Rollei(ローライ)の魅力・私のRollei B35
Rollei 35 の廉価版として1969年に発売されたのがRollei B35である。目測で距離を決め、絞り、シャッタースピードも手動で設定するという超アナログなフィルムカメラである。何でもオートマティックに撮ってくれるデジカメオンリーの人には扱いにくさはMaxに違いない。
だが使い慣れたらこれほどシンプルで面白いカメラは他にないと断言できる。サイズは、iPhone8よりも小さいくらいでしょうか。重さは265gと軽量だが、意外なことに手ぶれしにくいのでスナップカメラに最適だ。
レンズは、鏡胴に triotar の表記がある通りトリプレットタイプの三枚玉である。トリプレットは開放で周辺画質が低下する欠点がある。しかし、元々スペックを競うカメラではないので気にする必要はない。撮りたいものを撮って楽しめばいいのだ。
写りは本格派カメラのようなシャープネスはない。尖ったところが程よく削られ、哀愁を感じるような写りである。スティーブン・ショアはそういうRollei 35 の特性を生かし『American Surfaces』をつくりあげたと言われている。
このことは、写真を追求するうえで、最新のカメラが絶対条件ということではないことを示している。むしろ、撮る人の感性とカメラの特性のマッチングが大事であることは多くの人が認めるだろう。
手になじむボディのフィット感、沈胴レンズを引き出す感触、撮る時のシャッター音、優しい扱いを要求する巻き上げレバーなどが融合した、この小さな機械式カメラは長い年月を生き抜き、写真を撮る人を惹きつける大きな魅力を持つにいたった。
次の3枚の写真はすべてRollei B35で撮影したものです。
1枚目:蚤の市での一コマ。通りすがりに撮ったが、プリント後に見ると中央付近にRollei 35らしきカメラがある。国産コンパクトかもしれない。立ち止まってじっくり見ておけばよかったと少し後悔した。
2枚目:これを撮った日はとても寒かった。この後、寒さのせいかわからないが、Rollei B35の巻き上げレバーが空回りするトラブルに見舞われた。カップルは仲良く歩き去って行った。
3枚目:このワンちゃんはヘアーカットしてもらうショップの看板犬。潤んだ瞳とたれ耳がチャーミングなパグだった。カットしてもらう間、膝の上でずっと寝ていて、優しいぬくもりが伝わってきた。だが突然の事故で逝ってしまった。
ピンボケ気味だが、暗い室内でよく撮れたと思う。ローライ35がこの犬の愛らしい性格を写し撮ってくれた。忘れられない写真である。
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