8月26日(水) ～シュンのひみつ日記
朝、起きようとしたら、体じゅうがだるくて動けなかった。見にきた母ちゃんがぼくのおでこに手を当てて、「あつっ！」と言った。
かぜを引いてしまった。きのう、暴風雨の外に出たりしたからだ。仕方ないので、ずっとふとんの中にいた。母ちゃんが「ほしいものない？」と言うから、プリンがほしいと言った。こういうときだけワガママが通るので、かぜも悪くない。
寝てる間、ぼんやりといろんな夢を見た。ユイとの思い出ばっかりだった。
あたご神社でけしきを見たこと。双眼鏡をのぞき込むユイの横顔がきれいだった。あそこでユイが変な質問をいっぱいして、それで仲良くなったんだ。
アイランドパークの木の下で、撮ったビデオテープを数えたこと。ユイは「私をハリウッドに連れてって」と言った。いっしょにレッドカーペットを歩く。ぼくらの約束。
目がさめたら、こめかみのところがパリパリになってた。焼きプリンのカラメルみたいに。寝ながら泣いてたのかな。
ハリウッドは世界の中心、と父ちゃんが言った。でも、もうぼくに映画は撮れない。撮る資格がない。
世界の中心はもう、なくなってしまった。自分で壊してしまいました。
どこに行けばいいのか、なんも分からん。
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