8月10日(月) ～シュンのひみつ日記
きのうは遅くに家に帰った。みんな晩ご飯を食べないで待っていた。ぼくがいなくなって心配してたらしい。
晩ご飯のときも、しーんとしていた。いつもの父ちゃんの報告タイムもない。ぼくもまさか「ザコとE.T.ごっこした！」なんて言えるわけないし。
蓮姉はどう思ってるんだろう。ザコ兄が蓮姉のことを好きなのは知ってるのかな。
朝起きてからも、ユイのことが心配だった。ユイがきのうのことに関わっていたのがばれたら、島から追い出されてしまう。犯人のぼくが会いに行くのもまずいし、きょうはずっと部屋にいた。
昼すぎに何か話し声がしたので、部屋から出てみた。うら庭のところで、父ちゃんがケータイで誰かと電話していた。
「はい。ちりょうひ、いしゃりょうは私がどげんことばしても払いますけん」
ザコ兄のことで、誰かと話してるのかなと思った。
「本当に、このたびは、うちの息子がすんませんでした！」
何度もあやまっていた。父ちゃんが人に頭を下げるのなんて、見たことがなかった。ぼくのせいだ。
そのあと、「マツザキさんのこうざ番号を教えてもらえませんか」と言うのが聞こえた。あのひげのマツザキだ！ 何であいつにちりょうひとかを払わないといけないのか。ザコ兄はひげのことを「親同然」って言ってたけど、だからなのかな。あと、いしゃりょうって何だろう。お医者さんに払うのがちりょうひじゃないのか？
どっちにしても、ぼくのせいで父ちゃんが払うことになる。ぼくはお金をかせげないので、どうしようもない。ただでさえびんぼうな家が、よけいびんぼうになる。
どうしたらいいんだろう。
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