8月25日(火) ～シュンのひみつ日記
とうとう今年も台風がやってきた。昼ごろから風が強くなって、雨がガンガン窓にも打ちつけてきた。
風が強いとフェリーが止まるので、父ちゃんも仕事には行かないで家にいた。みんなが家にいると、息がつまる。特に父ちゃんとは、あれからほとんどしゃべってない。
だいたい、何でぼくが全部悪いみたいになってるんだ。急にそんな気持ちになってきた。ぼくが泳げないのはぼくのせいじゃないし、ユイだってどっちみち島からいなくなってた。ぼくが起こした事件のせいじゃない。
むしゃくしゃして、暴風雨のなか外に出た。もうどうにでもなればいい。
体ごと飛ばされそうになりながら、ずぶぬれで浜のほうまで歩いた。空は、きょうふの大まおうでもいるみたいにうずを巻いて、今にも落ちてきそうだった。今なら大声を出しても誰にも気づかれない。
「このバカーっ！ みんなどっか行けーっ！」
大まおうが、悪い力でも貸してくれないかなと思った。
夏休みの最初に、戻してほしい。
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