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7月22日(水) ~シュンの日記

 ずっと雨だったので、家にいました。
 蓮姉の部屋からじゃんじゃかうるさい音楽が聞こえてきました。いつもはフェリーに乗って、福岡タワーの下で友達とダンスの練習をしています。今日は雨だからじしゅ練をしているんだろう。ぼくは優しい弟なので、練習を撮ってやろうと思いました。
「バカ姉、まだまだしゅぎょうがたりんぜ」
 カメラを回しながら部屋に入ったら、蓮姉はすぐダンスをやめて、
「もうバカシュン! なん撮りようとよ!」
 と、カメラを取り上げようとしてきたので、本気で腹が立ちました。
「レンズさわんな! だれが撮るかバカ!」
 蓮姉なんかいなくなればいいのにと思います。

 夕方、テレビをみていたら、博多華丸のこないだのやつが放送されていました。能古島特集でした。どんなことを言っていたかというと、
・能古島はひょうたん島みたいな形で、博多湾のまんなかにぽっかり浮かんでいる
・人口およそ600人
・島のてっぺんにあるアイランドパークには毎年、多くの観光客が訪れる
 確かこんな感じだったかな。ぼくは丸あんきが得意なのです。
 アイランドパークは、島の人間ならタダなので、ぼくもよく遊びに行きます。花がさいて景色がよくて、ウサギとヤギがいる以外は何もないところです。
 そんなことより、ぼくのインタビューが使われていませんでした。こうぎしたいです。大人はどうしてウソばかりつくんですか。

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 晩ご飯のあと、父ちゃんがぼくにビデオ編集の仕方を教えてくれました。カメラとビデオデッキを、赤と白と黄色のケーブルでつなぐと、テレビにテープの中身がひょうじされました。おお! 今まではカメラのファインダーで再生するだけだったので、大きな画面に映るとこうふんしました。
「撮ったそざいの使いたい部分だけ、こっちのデッキで録画すると。そしたら一本のつながった映像になるやろ? これが編集たい」
 ぼくが父ちゃんとみてきた映画も全部、編集がされているらしいです。ぼくは知らなかったです。
「編集をしてはじめて映画になるとぞ。じゃあお前、カメラの再生ボタンば押せ。使いたいとこに来たら合図しろ。おれがデッキの録画ボタンば押すけん。もういいかなって思ったら言えよ。停止するけん」
「うん、分かった」
 ただなんとなく撮った映像が、つないでいくだけでなんかストーリーみたいになるのですよ。すごく楽しかったです。

「じゃあさ、ぼくが東の浜から海に入るところ撮るやん? そんで向こうにフェリーで渡って、ももち浜で海から上がってくるところ撮るやん? その二つの映像つないだら、ぼくが島から泳いできたように見える?」
「そうやそうや、そういうことや! シュンお前、センスあるなあ! それさえ分かっとったら映画だって撮れるばい!」
 ぼくは思い出しました。ルーカスって、映画監督だった。

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明日のにっき

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