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設計主意; 萩・空き家PJ

萩の人々が当然として見ている、当然であるゆえに見落としているものを引き摺り出す、そのことが街の見方を改め、繋がることで視点を変えることの大事さを知る。それを介して街の肌触りのような、街の手触りできる表面を拾い出していく作業を行って、既存の住宅の一部取り壊し改修・再生作業を住空間の表面に連関させて刷り込んでいく。

かってあったものと変わらぬ既存の再生レベルから、改めての壁、天井等の取り壊しから再生まで、修復の方法の「位階 / 様相」自体をテーマにして、デザインする様にしています。

既存から最も離れている様相は、全き増築としての二畳の小空間といったものにあたります。古い和風の家を撮った写真の様に見えるが、その背景にはデザインのグラデーションが尽くされています。

一部モダンだけれど、何も変わってないと見える様にすることで、持ち家のある萩の人が自分でも空き家にせずに改修して住み続けられる様に促すことを試みたデザインでもあります。

建築家が「空き家再生」を自らのデザイン手法で提示することは、建築デザイン分野では当然のことの様に見えてきたが、萩の市民には異界の事の様で、結局空き家にして他に移り住むか、取り壊して住宅産業の家になってしまう。

萩の空き家は公称5~6000軒、街並みが無くなっています。松下村塾のような象徴的な場所は残っても、道割りは残っていても、街並み自身がなくなってしまう。

「人間生活遺構」の視点が緊急な街と言えます。この点を市と話し合って進めた事業でもあります。


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