USJレポ:スーパー・ニンテンドー・ワールドで体験する、ゲームの世界への没入感
【約2,400文字、写真16枚】
世界的に有名な任天堂。その世界観を体験できるテーマパークが、大阪のUSJ内にある。ゲームの世界に没入させるには、一体どんな仕掛けがあるのか、レポートしたい。
ニンテンドーの世界に入る
小5の娘と年長の息子がマリオにハマっている。
妻が昔遊んだゲーム機「ニンテンドーDS」をみつけ、やってみたらしい。3DSでもなく、Switchでもない。ただのDSだ。
ソフトは「スーパーマリオブラザーズ」と「マリオカート」。ヒゲのおじさんたちがアクションをしたり車の運転をするゲームだ。
私は、子どもの頃からゲームをあまりしない。さらに人混みも得意ではない。私の好きなことと言えば、図書館の椅子に座ってぼんやり窓の外を眺めたり、がらんとした美術館のロビーを歩くことだ。
USJのひどい混雑を伝えたのだが、子どもたちは「ユニバ行きたい!」としか言わない。
仕方ない。これも社会勉強だと、覚悟をきめた。
USJの入口に並び、園内に入れたからといって油断してはいけない。すぐに「スーパー・ニンテンドー・ワールド」の「エリア入場整理券」をgetせねば、エリアにさえ入れない(チケット購入時に追加料金を支払い「エリア入場確約券付き」を買うこともできる)。
平日だったこともあり、朝9時に入れた。エリアに入るチェックを受け、100メートルほどアプローチしたろうか。やっとゲートが見えてきた。
空と、パネルが一体になって見える。背景の山は淡い色だからか、空気遠近法が効いている。まったく山に見えないはずの斜線が、違和感なく見えてくるから不思議だ。
この先、マリオの世界が広がっている、そんなワクワク感がある。
土管の中に入ってゲームの世界へワープ。トンネル内が少しカーブしているので、奥行きを感じる。
効果音の反響もあって、私も自然とテンションが上がってゆく。
縮尺の妙技
数年前、子どもたちが「マリオやってみたい」といったので、説明書を読んでやり、私も少しプレイした。ヒゲのおじさんが動くだけなのに、いやに面白い。
パックンフラワーとやらが口を大きく開閉し、クリボーくんは動き回る。ヌリカベのようなドッスンに押しつぶそうになったものだ。
それが今、目の前、現実世界でも繰り広げられている。
ググってみたら、マリオの身長は1m55cmで、スーパーマリオになると3m10cmらしい。エリアを見渡すと、全体的に大きい気がする。
キノコを食べたマリオに合わせて作ってあるのだろうか。パックンフラワーに勝てる気がしない。
サイズ感を大きくした理由は何だろうか。
ゲームは、画面の中の小さな世界だ。それを現実にもってくるには、120%くらいにするのが正解なのだろうか。精密な模型のように、小さくした方がリアリティは増す気がするのだが?
私も双眼鏡でのぞかせてもらう。のぞいてスタンプをゲットするアクティビティらしい。コントローラーを回してズームアップすることもできる。
双眼鏡のなかは現実とゲームをミックスして映し出されていた。小さなゲームの世界に現実が入ったような感覚だ。
没入させるには、双眼鏡で覗くように、縮小した方がいいのだろう。これは理解できる。
だが、全体的には大きく作ってある。でもリアルに感じる。
統一感のない縮尺が気になって仕方ない。
そして、チラついて離れないカチューシャとパワーアップバンドの値段(息子「おなじものがほしい!」と強固に主張。買うしかなかった)。
うーむ、なぜだろう。アトラクションには、さらなる秘密があった。
マリオのサイズ色々
マリオカートの入口。身長の確認などには、生身のスタッフ(クルーと呼ぶらしい)さんが必要だ。世界観を崩さないように、ピットクルーのような格好をされている。これは原寸大だ。
奥にはリアリティのあるクッパの彫刻に、お屋敷も広がっている。そもそもクッパは大柄なイメージがあるので、大きめのオブジェでもちょうどいい感じにみえる。
アトラクションが終わるとグッズ売り場を通る。店内の天井に飾られたマリオのサイズは小さい。これまでとは縮尺が逆だ。
だが、アトラクションでゲームの世界を体験した直後、私の気持ちがマリオになり切っていたからか、違和感はない。
外に出ると、イベントに登場したマリオとルイージを見かけた。彼らは生身の人間よりやや大きい。それが背景の土管やハテナブロックとマッチしている。
どういうことだろう。縮尺がまちまちなのに、世界観が崩れていない。
ふとマリオの横に、現実の木が生えていることに気づいた。本物の木を植えれば、水やりをせねばならず、水をやれば雑草も生えて管理が大変になる。なのに、低木まである。
私見だが、現実の自然があることで、原寸大であるお客(ゲストと呼ぶらしい)さんたちとの緩衝材になっているのではないだろうか。
細部までのこだわり、縮尺の妙技。没頭してしまう、これぞボットー体験だった。
朝からランチ
実は「スーパー・ニンテンドー・ワールド」に入り、はじめに並んだのがこちら。シェフに扮したキノピオが働く「キノピオ・カフェ」だ。
入り口のキノコは、一番大きな菌類かもしれない。
どでかいプレゼントが天井からぶら下がっている。
ここにはさらに別の縮尺が使われている。キノコになった気持ちにさせるためだろうか。もはや「不思議の国のアリス」を連想させるサイズ感だ。
細部まで凝った内装。土管は外と似たサイズに見える。だが、柱は異様に太い。縮尺の妙技がまたも発揮されている。
私が美味しかったのは、左奥キノコ型のピッツァボウル。さくさくした生地に、トマト風味のマッシュルームやらベーコンが入っていた。
写ってはいないが、子どもたちはさらにいろいろと注文している。今日だけは値段のことは忘れよう。値札を見ずに、世界観に集中するんだ。私は心の中で何度も唱えた。「今日は世界観を楽しむんだ、混雑と金額は忘れろ、集中だ!」
言い忘れていたが、私は、USJへ集中力を鍛えるために行ったのである。
予想を超える荒行だった。
ソース;
*:USJ情報サイト「USJニンテンドーワールド アクティビティの攻略法を紹介」https://usj.opus21.net/attraction/nintendo-activity.html
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