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USJレポ:スーパー・ニンテンドー・ワールドで体験する、ゲームの世界への没入感

【約2,400文字、写真16枚】

 世界的に有名な任天堂。その世界観を体験できるテーマパークが、大阪のUSJ内にある。ゲームの世界に没入させるには、一体どんな仕掛けがあるのか、レポートしたい。

■information
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン
「スーパー・ニンテンドー・ワールド」
住所:大阪府大阪市此花区桜島2丁目1−33
開館時間:9時00分~20時00分ごろ【日によって時間が変わるため要確認】
料金:下の写真を参照
予約:「スーパー・ニンテンドー・ワールド」の入場には「エリア入場確約券/エリア入場整理券」が必要
混み具合:恐ろしいほど混雑している
写真撮影:可能
持ち物:折り畳み傘があると便利
webサイト:https://www.usj.co.jp/web/ja/jp/areas/super-nintendo-world


ニンテンドーの世界に入る

 小5の娘と年長の息子がマリオにハマっている。
 妻が昔遊んだゲーム機「ニンテンドーDS」をみつけ、やってみたらしい。3DSでもなく、Switchでもない。ただのDSだ。
 ソフトは「スーパーマリオブラザーズ」と「マリオカート」。ヒゲのおじさんたちがアクションをしたり車の運転をするゲームだ。
 私は、子どもの頃からゲームをあまりしない。さらに人混みも得意ではない。私の好きなことと言えば、図書館の椅子に座ってぼんやり窓の外を眺めたり、がらんとした美術館のロビーを歩くことだ。
 USJのひどい混雑を伝えたのだが、子どもたちは「ユニバ行きたい!」としか言わない。
 仕方ない。これも社会勉強だと、覚悟をきめた。

オープンの1時間前に到着してこんな感じ(平日)

 USJの入口に並び、園内に入れたからといって油断してはいけない。すぐに「スーパー・ニンテンドー・ワールド」の「エリア入場整理券」をgetせねば、エリアにさえ入れない(チケット購入時に追加料金を支払い「エリア入場確約券付き」を買うこともできる)。
 平日だったこともあり、朝9時に入れた。エリアに入るチェックを受け、100メートルほどアプローチしたろうか。やっとゲートが見えてきた。

 空と、パネルが一体になって見える。背景の山は淡い色だからか、空気遠近法が効いている。まったく山に見えないはずの斜線が、違和感なく見えてくるから不思議だ。
 この先、マリオの世界が広がっている、そんなワクワク感がある。

 土管の中に入ってゲームの世界へワープ。トンネル内が少しカーブしているので、奥行きを感じる。
 効果音の反響もあって、私も自然とテンションが上がってゆく。

縮尺の妙技

 数年前、子どもたちが「マリオやってみたい」といったので、説明書を読んでやり、私も少しプレイした。ヒゲのおじさんが動くだけなのに、いやに面白い。
 パックンフラワーとやらが口を大きく開閉し、クリボーくんは動き回る。ヌリカベのようなドッスンに押しつぶそうになったものだ。
 それが今、目の前、現実世界でも繰り広げられている。

「おおー、パックンフラワーが動いておる」

 ググってみたら、マリオの身長は1m55cmで、スーパーマリオになると3m10cmらしい。エリアを見渡すと、全体的に大きい気がする。
 キノコを食べたマリオに合わせて作ってあるのだろうか。パックンフラワーに勝てる気がしない。

 サイズ感を大きくした理由は何だろうか。
 ゲームは、画面の中の小さな世界だ。それを現実にもってくるには、120%くらいにするのが正解なのだろうか。精密な模型のように、小さくした方がリアリティは増す気がするのだが?

ヨッシー好きの娘(カチューシャ2,600円、パワーアップバンド4,900円)

 私も双眼鏡でのぞかせてもらう。のぞいてスタンプをゲットするアクティビティらしい。コントローラーを回してズームアップすることもできる。
 双眼鏡のなかは現実とゲームをミックスして映し出されていた。小さなゲームの世界に現実が入ったような感覚だ。
 没入させるには、双眼鏡で覗くように、縮小した方がいいのだろう。これは理解できる。

 だが、全体的には大きく作ってある。でもリアルに感じる。
 統一感のない縮尺が気になって仕方ない。
 そして、チラついて離れないカチューシャとパワーアップバンドの値段(息子「おなじものがほしい!」と強固に主張。買うしかなかった)。
 うーむ、なぜだろう。アトラクションには、さらなる秘密があった。

マリオのサイズ色々

 マリオカートの入口。身長の確認などには、生身のスタッフ(クルーと呼ぶらしい)さんが必要だ。世界観を崩さないように、ピットクルーのような格好をされている。これは原寸大だ。
 奥にはリアリティのあるクッパの彫刻に、お屋敷も広がっている。そもそもクッパは大柄なイメージがあるので、大きめのオブジェでもちょうどいい感じにみえる。

 アトラクションが終わるとグッズ売り場を通る。店内の天井に飾られたマリオのサイズは小さい。これまでとは縮尺が逆だ。
 だが、アトラクションでゲームの世界を体験した直後、私の気持ちがマリオになり切っていたからか、違和感はない。

 外に出ると、イベントに登場したマリオとルイージを見かけた。彼らは生身の人間よりやや大きい。それが背景の土管やハテナブロックとマッチしている。
 どういうことだろう。縮尺がまちまちなのに、世界観が崩れていない。
 ふとマリオの横に、現実の木が生えていることに気づいた。本物の木を植えれば、水やりをせねばならず、水をやれば雑草も生えて管理が大変になる。なのに、低木まである。
 私見だが、現実の自然があることで、原寸大であるお客(ゲストと呼ぶらしい)さんたちとの緩衝材になっているのではないだろうか。

 細部までのこだわり、縮尺の妙技。没頭してしまう、これぞボットー体験だった。


朝からランチ

カフェのオープン前にこの列

 実は「スーパー・ニンテンドー・ワールド」に入り、はじめに並んだのがこちら。シェフに扮したキノピオが働く「キノピオ・カフェ」だ。
 入り口のキノコは、一番大きな菌類かもしれない。

 どでかいプレゼントが天井からぶら下がっている。
 ここにはさらに別の縮尺が使われている。キノコになった気持ちにさせるためだろうか。もはや「不思議の国のアリス」を連想させるサイズ感だ。

店内はすでに満席

 細部まで凝った内装。土管は外と似たサイズに見える。だが、柱は異様に太い。縮尺の妙技がまたも発揮されている。

手前「照り焼きチキン&スーパースター・ライス(2,400円)」。右奥「ハテナブロック・ティラミス(950円)」。左奥「スーパーキノコ・ピッツァボウル~マッシュルーム入りトマトソース~(1,700円)」

 私が美味しかったのは、左奥キノコ型のピッツァボウル。さくさくした生地に、トマト風味のマッシュルームやらベーコンが入っていた。

 写ってはいないが、子どもたちはさらにいろいろと注文している。今日だけは値段のことは忘れよう。値札を見ずに、世界観に集中するんだ。私は心の中で何度も唱えた。「今日は世界観を楽しむんだ、混雑と金額は忘れろ、集中だ!」
 言い忘れていたが、私は、USJへ集中力を鍛えるために行ったのである。
 予想を超える荒行だった。

ソース;
*:USJ情報サイト「USJニンテンドーワールド アクティビティの攻略法を紹介」https://usj.opus21.net/attraction/nintendo-activity.html


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