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海外での就職はポジショニングが命

こんにちは。アイルランド在住会計士のつぐみです。今日は現地での就職についてお話をしたいと思います。

海外での就職活動はポジショニングが命です。
日本国内でも、自分がどの市場をターゲットとするのか、自分のどの強みを使うのかといった話は重要になってきますが、海外に出ると自分の「日本人としてのスキル」を、どれだけ、どのように、使うのかがとても重要です。

就職活動に必要な英文履歴書(CV・レジュメ)の用意や、面接対策、LinkedIn活用法などは、以前の記事に書きましたが、今回は海外就職の際に、どこに自分のポジションを置くかを3つにカテゴライズしてみました。

実際の就職活動に移る前に、自分がどのカテゴリーで一番強みを活かせそうか、自分のスキルの棚卸をすることをお勧めします。

①日本固有の知識やスキルを使う(日本→現地)

日本語話者であれば、日本語力は当然武器になります。翻訳家はその典型例ですが、言語という意味だけではなく、慣習の違いも説明しなければいけない事が多々あります。

例えば日本人と欧州人との時間感覚は全く違うと思います。
日本人が急いで欲しい案件を、at your earliest convenience (ご都合の良い時間に)なんて丁寧にお願いしようものなら、返信してこない人も多いでしょう。依頼内容が面倒であればなおさらです。

日本人側からしたら、返信がこないことに対し「依頼を無視された」、と捉えるかもしれませんが、受取側からしたら、「都合よければ返信してね」レベルの依頼くらいにしかとらえていません。ミスコミュニケーションの始まりです。
ヨーロピアンとのコミュニケーションには、はっきり期日を言いましょう。至急、早めに、迅速に、、、感覚が違うので、具体的な期日で誤解を防ぎましょう。

このことは、日本人としての慣習と、欧州人としての慣習を双方理解して、初めて言語化できることです。

言語をそのまま翻訳するのではなく、このあたりの感覚・慣習を含めまるごと意味を翻訳するのが、機械には(まだ)できない人間のスキルを使った翻訳です。

また言語だけではなく、日本の文化も特別なスキルだと思います。折り紙、生花、着付けだけでなく、日本の「食育」や「断捨離」など生活に根付いた習慣も立派な文化で、興味ある人が多い分野だと思います。なるべく多くの食材に触れさせ、健康的に子供を育てようとする食育や、世界に比して狭い日本の住宅事情からくる片付けの上手さは、海外では一部の人しか行っていないユニークなスキルです。

このカテゴリーにポジションをとる場合、日本本土からの競合とどう差別化するかが課題となります。例えば、時差が現地と同じなので対応が早いこと、現地事情をより理解していることが、現地在住者の強みになってきます。

②日本のアイテムを現地で売る(日本→現地)

日本食品やお菓子はいつも高額で売られていますが、その他にも日本絡みのアイテムを販売することで面白い商売を展開している人たちはいます。

アイルランドの例を2つ上げます。1つはウォシュレット。日本のウォシュレットってSuper Toiletなどと呼ばれ人気なんですよね。 アイルランドには確かTOTO専属代理工事店があって、アイルランドでウォシュレットを導入したい場合、その業者が設置工事を独占しているとか。(数年前に聞いたので今は増えているかも。)但し日本と違い、水が硬水なので、メンテナンスが大変煩雑であまり普及していないようです。

2つ目、最近アイルランドで面白いなと思ったのが、Yukoというトヨタが展開しているオートマ専用のカーシェアリングサービスです。

そもそもアイルランドだけではなくヨーロッパ全体で、オートマカーの普及率はとても低いのです。レンタカーでも、オートマを借りたいなら早めに予約しないと難しいしやや割高です。

しかし、最近はこちらでもだんだんカーシェアリングが進んできました。従来からの現地サービスは、今まで通りマニュアルカーばかりなのですが、毎日は車を運転しないライトユーザーにはオートマが人気で、Yukoは割と好調のようです。

日本の繊細さや品質の良さがうまく合致する商品は、多少高価でも海外でも売れています。

但しこのカテゴリーはモノ次第になる部分が大きいですね。企業ベースなら選択肢も増えると思いますが、個人でビジネス展開するなら、輸入手続きに加え法的コストも考慮せねばなりません。費用対効果がよいのか検討が必要です。

実は私も一度、日本でしか販売していないコスメ製品を輸入転売する商売をしようと、日本の製造元とプロジェクトを進めようとした事があります。
その際は、現地での品質管理保証をパスするのに必要な法的手続きにコストがかかりすぎるとの理由で断られました。

③日本市場へのアクセスを使う(現地→日本)

今度は逆に現地のサービスやアイテムを、日本への架け橋として持ち込むパターンです。

現地事情に詳しくなればなるほど重宝されるので、現地に溶け込むモチベーションも湧きますし、新しい文化、慣習、ビジネスを学ぶのも興味深いです。

私は今は主にこのパターンで収入を得ています。イギリス・アイルランドの会計税務に対するソリューションを、日本企業に持ち込むという架け橋のサービスです。

このパターンは私のスキルにフィットしているし面白いのですが、問題は市場が狭いことですね。アイルランド×日本というとても狭いターゲットになってしまいます。そんなわけで、私は市場をイギリスにまで広げ、孤軍奮闘している状態です。

もっと市場が広い国、例えばドイツやアメリカなどではこの問題は生じないかもしれませんが、逆に競合が多くなり一層の差別化が必要になってくるかもしれませんね。


まとめ:自分を楽に活かせるポジションを取ろう

以上、海外在住者が「日本人としてのスキル」をどのように使うかカテゴライズしてみました。ノンネイティブが海外移住して日本がらみの就職をするにも、ご自身の職業スキルや語学力によって、色々な選択肢があると思います。単一カテゴリーだけではなく、複数のカテゴリーを組み合わせることも可能だと思います。

日本人が、日本人である強みを活かさずに、現地でローカルと同等に戦うって、かなり難しいです。私は一時期無謀にもトライしましたが、私には無理だと納得しました。

今はローカルと真正面から戦うよりも、ちょっとはみ出た方がメリットが多いなと気づきました。王道を目指し競争し続ける人生よりも、少し脇道を進みそこで一番になる方が私には向いているし、自分を楽に活かせると考えました。

そのため私はグローバルニッチ戦略をとっています。日本というローカルを離れグローバル化したけれど、対象とする市場は「イギリス・アイルランド×日本」に関わるプロジェクトというニッチ市場です。

VACILANDOのメンバーも、様々な場所で素晴らしい強みを使って働いています!そちらも参考にしてみてくださいね。


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