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読書ログ - 刑務所のブッククラブ


プリズン・ブック・クラブの読書ログです。
カナダ刑務所内に設立されたブッククラブ活動を通じて、囚人の更生や友情を描いた感動作。
ボランティアの仕事や、刑務所の中や釈放後の生活に興味ある方におすすめの感動できる一冊。



著者はカナダの刑務所ブッククラブの創設者に声をかけられ、刑務所でのブッククラブの役割や意義を一緒に考えながら運営を手伝う機会を得ます。刑務所内で毎月一度開催されるブッククラブは、囚人たちにとって心の支えであり、社会更生の手助けとなっていく。そのストーリーを追うと、心が温かくなります。

刑務所の中や出所後の生活など、自分にとって未知の世界なので非常に興味深かったです。かつてギャング団の一員として逮捕された男性が仮出所された際に、著者が「昔の仲間のギャング団に襲われるかも。。」と怯えながらも一緒に図書館に行く場面など、本を通じて育まれた友情に感動します。

著者と創設者は、ブッククラブが囚人たちの更生に寄与していることを誇りに思っています。しかし、一部のブッククラブメンバーは仮出所後に再犯で刑務所に戻ってしまうといったショッキングな現実もあります。

環境が人を変えることはよく言われますが、刑務所内で向上心や共感力、社会適応力を養うための書籍を選び、ブッククラブを通じて提供することが、非常に有益であることがこの本から伝わってきます。創設者は今では全てのカナダの刑務所に複数のブッククラブを創設するという偉業を成し遂げています。

他の刑務所に移送された囚人が新しい施設でブッククラブを立ち上げる姿や、読書が趣味として確立された囚人がクリスマスプレゼントに読書灯を家族におねだりするエピソードなど、このブッククラブが囚人たちに与えた影響の大きさを感じる感動的な話です。

仕事とは別の課外活動の大切さと、他人と意見を通わせることの素晴らしさに気づかせてくれる本でした。

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