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成長企業は「部下がなぜ働くのか」を知っている

私は企業のマネジメントについてコンサルティングを行う機会があります。部長や課長クラスに対して、「あなたの部下はなぜ仕事をしていると思いますか?」と聞くのですが、大企業では大体が答えられません。一方で、ベンチャー企業のマネージャークラスは比較的、この質問に対する回答が得られることが多いと感じています。

部下がなぜ仕事をするのか、そこに組織の成長がある

部下がなぜ仕事をするのか。もちろん、この問に共通の答えはありません。問題は「上司や上長が部下のモチベーションや働く意義について把握しているかどうか」という点です。

当たり前ですが「仕事はお金を稼ぐ手段」だけではありません。最近の2〜30代の若年層ほど、仕事を「自己実現の場」と捉える傾向があります。バブル崩壊からリーマンショック、東日本大震災などを経験してきたこの世代は、いわゆる年功序列的に給与が上がる見込みが薄いと感じていて、お金で得られる価値には生きがいを見出しにくい性質を持っています。優秀な人ほど「仕事で自分の思う価値創造が出来るのか」を強く意識しています。

モチベーションを仕組み化する

あなたの会社では、部下と話す時間を設けていますか?

ベンチャー企業では「1 on 1」という時間を仕組み化して設ける企業が増えています。ワン・オン・ワンと読むのですが、意味は1対1の面談と同じです。単純に「面談」と呼ぶ企業もあります。

実はこの時間で組織力に大きな差が出ます。

社員数が多いほど、会議で各自の業務報告を受けたり、日報などでマネジメントをする会社が多くなります。特に、マネジメントに課題を感じている会社ほど、上司が部下と話す時間が短いことが多々あります。

もしマネジメントに課題を感じていたり、部下のモチベーションが低いと感じる場合は、まずはこの「1 on 1」を設定してみてください。1〜2周間に1回、定例で行うことをおすすめします。また、部下が必要とした場合は自由に設定しても良い、などの配慮も円滑にすすめるコツです。

業務指示ではなく「問い」で動かす

「1 on 1」で重要なことがもう一つあります。それは、上司から一方的に業務支持を行わない、ということです。

様々なマネジメント研究や論文が発表されていますが、「メールは早く返しなさい」のように具体的な指示をされると、ほぼ確実に相手は思考停止してモチベーションが下がります。一方で、良質な「問い」は相手に考えさせ、成長とともにモチベーションの向上をもたらします。

ただし「なぜメールを早く返さないんですか?」というのは問いではなく、ただの問い詰めです。相手は本当のことを説明しても言い訳にしかならず、互いの信頼感を損ねてしまいます。

良質な問いは「どうしたらお客様に早く返信ももらえるだろうか?」のように、本質について考えさせ、行動を自己認識させる問いです。

相手を引き出す7つの質問

話は戻りますが、部下はなぜ仕事をするのか。相手の価値観を引き出す質問が7つあります。これは質問の技術など必要なくテンプレートとして聞くことで、その答えを引き出すことが出来ます。

1.あなたは仕事を通じて何を得たいですか?
2.それはなぜですか?
3.何をもって良い仕事をしたと言えますか?
4.なぜ、今の仕事を選んだんですか?
5.去年と今年の仕事はどのように繋がっていますか?
6.あなたの一番の強みはなんですか?
7.あなたは今どんなサポートが必要ですか?

1 on 1 の技術や、人のモチベーションについて知るには

具体的な1 on 1の手法については下記の書籍がおすすめです。

いきなり本を買うのはちょっとなぁ…、という方は下記の記事を御覧ください。

元リンクアンドモチベーション取締役、現Knowledge Work CEOの麻野耕司さんはモチベーションの4PとしてPhilosophy(方針・理念)、Profession(仕事・成長)、People(風土・仲間)、Privilege(待遇・給与)を掲げています。こちらもご参考ください。


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