様変わりし始めたインバウンド市場、ホテルの取り組みは?

札幌で観光系スタートアップ企業の代表を務めています、株式会社リアラの伊東と申します。

2023年に入り、東京が観光客で溢れてきました。嬉しい一方で、宿泊業は経営戦略を変えていく必要性があります。

この記事ではあらためてインバウンド、とりわけ中国人観光客についてまとめています。

インバウンドが戻る東京だが、光景は様変わり

インバウンドが戻ってきた東京。渋谷の街を歩いていても、人の多さはコロナ前と変わりないように見える。ただ違うのは、旅行客の属性の違いだ。

2019年に過去最高の3188万人を記録したインバウンド客の内、約4人に1人は中国人だった。街中で中国語が飛び交う環境も記憶に新しい。今は中国人はたまに見かける程度である。

中国人が減った理由は?

中国人と聞くと「爆買い」のイメージを持つ人も多いが、実はこのイメージはもう古い。中国政府は通貨両替を規制し、極端な外貨流出を防いだことから、日本で使える額には限りがあるのだ。それでも約500万円程度と、個人レベルでは大きな額ではある。

結果、超富裕層やビジネス目的の来訪は減り、純粋な観光客だけが増えたとも捉えることが出来る。宿泊業界は潤い、中国人材の採用が急速に進んだ。

一方で、2022年になり、各国は海外渡航の水際対策が段階的に解除され、少しずつ自由に旅行が行えるようになった。しかし中国ではゼロコロナ政策の転換による急激な感染者が増加。これを受けて、日本では水際防止策が強化された。結果、旅行をしたい中国人は日本を避け、東南アジアに観光客が増え始めている。

中国人観光客は戻る?

中国人にとって、日本が魅力の無い国に変化した訳では無い。観光業界では中国人は(勝手に)戻ってくる、という人すら居る。

一方で、この考え方は中長期的には危険だ。この3年で宿泊施設の品質が低下したのは間違いない。人手不足から清掃頻度が減り、十分に清掃が行き届かない施設が増えている。コスト上昇に対応し、食事の質や量も削減。アメニティも少しずつ安いものへと置き換わっていった。場合によっては人手が足りず、予約を制限していることすらある。

コスト上昇はまだしも、人手不足の状況はとりわけ日本が厳しい。観光をよく行う人ほど、品質の変化には敏感で、マクロで見た時に、品質の低下により日本への来訪頻度が減る可能性は高いと考えている。

宿泊業はどうするべきか?

シンプルだが、宿泊業としては品質を維持してブランド力を高める必要がある。

人手が足りないフェーズにおいては、バッグオフィス業務を外注するのが最も有効的だと言われている。正社員が代理店やOTA、お客様への電話対応に使う時間は想定の他多い。また、フロントの自動化も中期的に見てコストメリットが高い為、投資を行えるのであれば取り組む事が重要である。

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