見出し画像

#555 真社会性昆虫アリ🐜の視点から考える人間の働き方

 先日、TBSアナウンサー安住紳一郎氏がメインパーソナリティを務めるラジオ番組日曜天国のゲストとして、アリ🐜の研究を専門としている岡山理科大学教授の村上貴弘氏が出演していました。

 同氏によれば、アリは社会性のうち高度に分化が進んだもので、集団の中に不妊の階級を持つことを特徴とする「真社会性」に分類されるそう。アリは生まれながらに、自分の役割が遺伝的に決まっていて、その役割に合わせて形質が固定化されるそうです。

 ちなみに、人間は(ポリス的動物であるとアリストテレスは述べましたが)、「亜社会性」に分類され、アリよりも種としての社会性は低いそうです。

 アリの社会は、女王アリの元で、働き蟻が労働資本として搾取されるイメージですが、その実情には様々な形態があるようです。

 あるアリの種は、まさに私たちのイメージ通り。多くの働き蟻があくせく働き地中に巨大なコロニーを形成する。大きなものだと、地下10メートルにまで及ぶものもあるそう。働き蟻は必死に働き、その寿命は約3ヶ月で途絶えてしまう。しかしながら、別の種になると、様相は全く変わってくる。コロニーの構成数はせいぜい50個体。しかも50個の個体のうち、実際にエサなどを取るなどの「労働行為」をするのは2個体ほどで、残りの48個体はほぼほぼ何もしないらしい。しかもその2個体は寿命が尽きかけたご老体。そしてそのご老体の年齢はなんと約7年。3ヶ月で寿命が尽きる種と比べて、おおよそ28倍も長寿です。

 この話を聞いて、私たち人間社会に思いをめぐらす。自分が労働資本となり搾取され、その結果、自分の心身を消費していく私たち。大きなシステムの中に飲まれて、その中で必死に働くことの価値。

 アリ🐜の視点から人間世界をみる、そんな日曜日。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?