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#598 「数の力」の危険性

 民主主義とは、法律・政策、指導者、国家・その他の主要事業が直接的または間接的に「人民 (people) 」によって決定される政治体系のことです。

 現代の民主主義国家においては、例えば国会議員は、国民による投票を通じて選出され、彼らは人々の意思を代行し、法の下に、様々な業務を遂行します。

 基本的に選挙は、より多くの票を獲得した個人が選出されます。100人が投票権を持って2人の立候補者がいれば、51人の票を獲得すればいいわけです(一票の格差という問題は無視すれば)。

 しばしば、「選挙によって当選したのだから、私のやり方は民意だ」という表現をする人がいますが、これは非常に危険な考え方です。それは、上記であれば、51人は賛成しているけれども49人は反対している可能性が含まれるからです。

 私たちの意識の中に、民主主義というと、どうしても「数の力」のイメージがあるかもしれません。修学旅行で7人で1つの班を作った時に、班員の行きたい場所が4と3に別れたら、4をとって、それがあたかも民主主義的精神であると錯覚するのと同じことです。

 民意には、それぞれの考え方やバランスがあります。たとえ過半数がある人や政策を支持していようとも、必ず反対側の意見はあるわけで、だからこそ、そこの部分をしっかり汲み取って事を成すことが、本来的な民主主義的感覚なのだろうと個人的には思っています。

 民主主義は普通選挙で行われ、その選挙は数によって事柄が決定されるからこそ、民主主義=多数決という構図が出来上がるのかもしれません。しかし、単純に「数」だけで押し切ることは、民主主義の本質とは異なるのではないか。

 そんな事を思う7月最初の水曜日。

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