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CASE4:私のオフィスはオンラインに引っ越しました

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伊東 香(ヤフー(株)サイエンス統括本部 産学連携推進室)

 ヤフーでは,2020年2月より段階的にリモートワークでの勤務に移行し,10月には正式に制度化しました.セキュリティの関係や物理的な問題でオフィスでの業務は一部残っていますが,9割以上の社員がオフィスに出社せず仕事ができる環境が実現しています.
 現在に至るまでにさまざまなオンラインツールを試したり,どこでもオフィス手当と通信費補助で最大月9,000円の補助が受けられたり,会社の組織制度も大きく変化しました.今回はコミュニケーションを活性化するためのちょっとした工夫などをご紹介いたします.

リモートワークへの移行

 ヤフーにはコロナによる緊急事態宣言の6年前である2014年からオフィス以外の好きな場所で働ける「どこでもオフィス」というリモートワークの制度がありました.月に5回までオフィス以外のどこからでも働いてよいという制度です.社員の創造性や働き方の自由度を高めることが目的で大規模アクセスに耐え得るVPN接続の環境構築はこのタイミングで始まっています.

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オンラインへの引っ越し

 「ヤフー株式会社は働く共通の環境をオンラインに引っ越して,オンラインからサービスを提供していきます.」2020年7月にこのようなプレスリリースをいたしました.実際にリモートワークへの全面移行により我々の環境は大きく変化することとなります.
※プレスリリース    https://about.yahoo.co.jp/pr/release/2020/07/15a/

コミュニケーションツールや制度

 社内のコミュニケーションツールはZoomやSlackが主ですが,チームやプロジェクトによりさまざまなツールを利用しています.バーチャル空間でアバターを動かすツールや,オンラインチャット上でアバター同士が吹き出しで会話するようなものなどさまざまなツールが試されています.すべてのコミュニケーションをオンラインに移行することは未知のチャレンジであり,今なお常に新たな工夫や試行錯誤が続いています.一例をご紹介します.

・全社朝礼
 月に一度開催される全社朝礼では自宅等のネットワーク品質がさまざまである状況を踏まえ,さまざまなツールで参加することができます.ストリーミング配信は(映像+音声),(音声のみ)の2種,Slackによるテキスト+資料の実況中継,時間が合わない人向けにアーカイブ動画,資料の共有等がされています.また質問ツールを使ったオンライン質疑応答に対する「いいね!」ボタン,「あんまり」ボタンを実装するなどリアルタイムでの参加感が得られるように工夫されています.

・組織内イベントや開発業務
 先日,私の所属する部門では新入社員による発表会がありましたが,Zoom上でニコニコ動画風のテロップを流し応援して参加するなど双方向感が感じられる工夫がされていました.
 コロナ前からエンジニアによるもくもく会等はZoom上でもSlackでもさまざまなツールで開催されていましたが,Gather.Town等の仮想空間上で集まるものが最近は人気のようです.複数のツールをかけ合わせるなど,さまざまな創意工夫がされています.開発業務の現場でもモブプログラミングを導入し実践したりしています.
※モブプログラミングの導入と実践
https://techblog.yahoo.co.jp/entry/2021083030177162/

・社内懇親会
 社内コミュニケーション促進施策の1つとして社内懇親会が挙げられます.社内のカフェテリアからオンライン懇親会セットを各自宅あてにデリバリーしてもらうことも可能で,参加者が同じものを食べたり飲んだり,同じ時間を共有する仕組みがあります.私のチームではこのZoom懇親会の際は全員が居酒屋風のバーチャル背景でまるで向かい合っているように工夫しています.

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オンラインコミュニケーションの工夫

 オンライン上だとどうしても相手の目線がずれるなど反応が分かりにくく,よく知っている相手でも話が盛り上がらない場合がありますが,相手に目線を合わせて相槌を多く入れることで会話が活性化しより自然に話ができるようになりました.Zoomでオフィシャルな会議をする際には[セルフビューを非表示]にして,自分の画面を消して会議に集中するようにしています.セルフビューがあると知らない間に自分の顔を見てしまうので,実際に会っているように自分の目線をコントロールするための工夫です.ギャラリービューで複数の人たちと会話する際には,一番よく発言している人をギャラリービューで上部に移動させカメラに近い位置に動かして目線を上にしたりしています.オンライン飲み会でもこの小技を使うだけで,コミュニケーションがとりやすくなりました.

今後の働き方

 社内では新たなコミュニケーションツールを開発したり,元々フリーアドレスのオフィス環境もさらに情報交換や交流がしやすいように変更したりしていく計画が進んでいます.コミュニケーションの在り方やオフィスの在り方はこれからもどんどん変化していきます.リモートワークに限らずオフィスワークにおいてもさまざまなコミュニケーション手法や新しい働き方の模索が常に続いています.情報技術と創意工夫でより働きやすい環境を,新たな世界を構築していけると考えています.

※「新しい働き方」に対応できるオフィスとは?
https://about.yahoo.co.jp/info/blog/20210325/yjoffice.html

(2021年9月7日受付)
(2021年11月18日note掲載)

■伊東 香(正会員)
ヤフー(株)サイエンス統括本部産学連携推進室に所属.AI人材の育成と女性エンジニア活躍の場を創出することに奔走中リモートワークが快適すぎて仕事の傍ら野菜作りにはまっています.

★働き方について,もっと考えたい人はこちら→『Info-WorkPlace』note

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