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番外編?食堂のおばちゃんの憂鬱

今日は私の担当部署、社員食堂のお話し。

ごはん屋いっぽは本来弁当屋です。でも私は普段地元企業さんのご依頼で少人数の社員食堂を運営しています。だいたい毎日20〜30人の社員さんが利用されます。

作業自体は、夫が作った料理を温めて提供する簡単なもの。3種類のメニューから選んでいただくのですが食券を出してもらうスタイルなのでそれ程高度なコミュニケーションも求められない。あまり人付き合いが得意では無い私としては有り難い仕事です。

ただ、最近悩みが。

実はメニューに関しては企業側から指定のルールが1つ。3種類のうち1種類は豚肉以外の物にする事。鋭い方は分かるかな?

そう、宗教上の理由で豚肉が食べられない社員さんがいらっしゃるのです。今回の場合はインドネシアからの研修生だそうです。

最近ではハラール認証の食品も大きなスーパーなどでは見かける様になりました。私もあまり詳しくは無いのですが、イスラム教を信仰する方たちは本来は調味料も含めて豚肉やアルコールを使っていない以外にも様々なルールをクリアした物でなくては食べられないそうです。今回は、ご配慮頂いたのかそこまで厳密では無いけれど豚肉は食べられないとの事。

ちなみに、別の企業さんですがたまにハラール対応の弁当をご予約いただく事もあります。その時は調味料から揃えます。どこまで対応するかは正直、金額にも寄ります。でも今後の世の中を考えると経験しておいて損は無いので出来る限り対応しています。

話を戻して、社食のメニューですが基本的に私が毎週メニュー表を考えます。指定では1種類は豚肉以外との事ですがなるべく2種類の日も作りたい。
でも、これが以外と難しい。牛肉、海鮮は予算的に量が使えない。若い方達で仕事をした後なので量もしっかり食べさせてあげたいし。どうしても鶏肉に頼りがち。

ネタ切れ感が。毎週頭を悩ませています。オススメあったら教えてください。

そしてメニュー以外にも悩ましいのが『言葉』。有り難い事に研修生の皆さん非常に礼儀正しく日本語もお上手です。簡単な会話は問題なく出来るので提供のルールもバッチリ。じゃあ何が問題なのか。

彼らも、システムを理解して豚肉なしメニューを選んでくれて居ます。でも当たり前ですが自分が食べる物はそれ以外にも知りたい事がありますよね?好き嫌いもあるし何だか分からない物を食べるのは不安です。メインの添えや、副菜はパッと見て素材が分からない事もある。そこで私に聞くわけです。

『これは、なんですか?』

『トリ肉、ブタ肉、さかな、やさい』は伝わります。でも日本の食事は多種多様。例えば、きつねうどんの油揚げ。

私:『油揚げ…ト、トーフフライ…』
客:???『ソレ、いらないです』

素うどんになってしまった…。あと練り物や海藻は難しい。ちくわとかヒジキとか文化としてあるのだろうか。

予想外だったのはコーン。副菜のコーンフライを指して『これ、なんですか?』と聞かれコーンは通じるやろ、と『コーン!』と元気に答えたら怪訝な表情。おぅ、コーン共通じゃ無いんだ。仕方なく『やさい』と伝えました。ごめん。

後で調べたらインドネシア語でトウモロコシは『jagung(ジャグン)』。カケラも似てない。

そんなわけで最近は彼らが来てくれると嬉しいけど『今日はどれを聞かれるのか』と何かドキドキする日々です。

そういえば昔、駅ビルの惣菜屋で働いていた時もよく海外の方の接客をしました。ちなみに私の語学力は小学生(以下かも)レベル。じゃあどうしたかというと単語とジェスチャーで乗り切る。

客:ショーケースの商品を指して『チキン?』
私:『ノー、ポーク!』
鶏肉使用の商品を出して『チキン!』
客:『OK!ディスワン』
私:レジの金額を見せて会計。
客:適当にお金を出す。
私:必要な分を取って残りを返す。
商品を渡し『オーケー、サンキュー!』

ポーク、チキン、ノー、オーケー、サンキュー。ほぼコレで何とかしていた。今思うと良くやってたな。英語が通じる方が多かったのも幸いでした。しかし上には上がいて。

駅ビルの店舗はテナントなのでフロア内には色んな店が隣接しています。私が働いていた店の隣は老舗佃煮屋さん。スタッフさんもベテランの50代60代のお姉様方。

ある日、ふと隣を見ると海外の方2人。どうやら商品の内容を聞いているみたい。ベテランスタッフさん『お・ま・め!』ゆっくり言った。もちろんお客さんはキョトン。でもまぁいいかって感じで購入。スタッフ、商品を手際よく包みながら『れ・い・ぞ・う・こ!ホテルにある?!帰ったらいれてね!』曖昧に頷くお客さん。何事も無かったように定位置に戻るスタッフ。

…すごい。全部日本語で押し切った。目から鱗でした。何がって、お客さんに不満気な様子も無かった事。ちゃんと買ってくれたし。やっぱり経験値と自信の成せる業なのか。拙い英語で不安気に売られるより、お客さんも『何か分からんけど、堂々としてるし変な物じゃ無いだろ』となるのかも?そんなパターンもありなのか。

最近はコンビニなどで逆に店員さんが海外の方だったりしますね。皆さん複雑な作業や会話をスムーズにやっていて尊敬します。私も頑張らないとなぁ。

今は比較的、日本語を勉強して働きに来てくれる外国人が多いです。でも、これからは国籍も多様化するだろうし上司が外国人とか日本人が少数派の職場や店も出て来るかも知れません。個人店だって出店場所に寄ってはお客さんが日本人より外国人が多くなるかも。

そういう時代に、異言語、異文化にどんな風に対応していくか。商売をする身としては少し考えていかないと行けないですね。日本人同士でも人付き合いが苦手な私には不安しかありませんが。取り敢えず、インドネシア語の食材名を覚えるとこから始めようかな。佃煮屋のお姉様方にもちょっと憧れますけどね。





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