日本酒の香味成分のバランスに関わる指標である「精米歩合」を解説
こんにちは、がっきーこと宮垣慶子です。
先日、たくさん飲めない唎酒師である私の視点から日本酒の紹介する記事を公開したところ、たくさんの方に読んでいただき反響をいただきました!
本当にありがとうございます!!!
今回は、その続編として日本酒がより楽しめるようになる専門用語を分かりやすくご紹介していきます!
それでは、解説していきます!
1.前回の内容とその応用編
先日の記事で、下の表の左列にある「本醸造酒、吟醸酒……」を目印に、食事やシーンに合わせて日本酒の選び方をご紹介しました。
それらのキーワードと意味を表にしてみます。
日本酒は基本的に、「米、米麹、水の原材料」を微生物の力で加工したものだ、と頭に入れて、一度目を通してみてください。
いま内容の意味がわからなくて大丈夫です。
忘れたり、確認したくなったらいつでもこの表を振り返りましょう。
この表を参考に、日本酒のラベルに【生酒 大吟醸】と書いてあれば「火入れを一度もしていない、精米歩合50%以下のお米と米麹、水、醸造アルコールで作った日本酒」であることが分かります。
そして、下の図をみると、華やかな香りとスッキリ、フレッシュな風味であることが想像できます。
【純米大吟醸】と書いてあれば「精米歩合50%以下のお米と米麹、水だけで作られた日本酒」であることがわかります。
そして、華やかな香りとうま味を兼ね備えた日本酒であると想像できます。
実際に飲んでみないと想像通りか分かりませんが、手掛かりになります。
2.今回ご紹介するのは「精米歩合」
さて、前置きが長くなりましたが、、、
ここからは、最初の表にでてきた「精米歩合」という用語について解説をしていきます。
いきなり結論ですが、
「精米歩合」は、玄米から表層部を削って残ったお米の割合をパーセント(%)で表したものです。
ちなみに、この反対に、削った部分の割合は「精白率」といいます。
つまり、精米歩合70%と精白率30%は、同じ意味を表しています。
私たちが普段食べている白米は、精米歩合が90~92%。
なので、大吟醸に使うお米は、たくさん削られているということになります。たくさん削るということは、それだけたくさんのお米が必要ということになります。
では、なぜそんなに削る必要があるのでしょうか。
3.なぜ日本酒を造るとき精米するの?
お米って、炭水化物の塊だど思っていませんか?
だいたい正解ですが、他にもタンパク質や脂質などの栄養素が含まれています。
日本酒は、微生物がお米を分解してお酒に変えていきますが、もう少し詳しくみてみると、炭水化物、タンパク質、脂質それぞれを異なる成分に変えています。
それらのバランスが日本酒の味や香りを造っていきます。
そして、これらの栄養分は、お米の中で均一に分布しているのではなく、偏って存在しています。
中心部は主に炭水化物、外側は主にタンパク質、脂質があります。
つまり、お米を削った割合が、日本酒の味や香りを決めるのです。
たくさん削ったお米で作れば(精米歩合が低い)、炭水化物由来の成分が多くなり、爽やかで華やかな香りで透き通ったお味の日本酒になります。
(大吟醸に多い風味になります。)
少しだけ削ったお米で作れば(精米歩合が高い)、炭水化物以外にもタンパク質や脂質由来の成分が多くなり、鼻に抜けるような香りで複雑な風味になります。
(もちろん、香りや味の決め手にはたくさんの要素があります。精米歩合もそのひとつ。なので、少しずつ覚えていきましょう。)
精米歩合が低いお米で作ったお酒の方が美味しいと聞いたことはありませんか?以前は私もそう思っていました。
けれど、必ずしもそうとは限りません。
例えば、純度の高い上白糖と純度が低い黒糖どちらが美味しいかと聞かれると、答えに困ってしまいませんか?
作る料理によって使い分けたいよなぁ....とか、ノーマルな梅酒と黒糖梅酒どちらも美味しいけど、好みはこっちかなぁ....とか。
日本酒の場合も同じことだと思います。
たくさん削る(精米歩合が低い)方が、原材料のお米がたくさん必要になりますし、お米の品種改良や精米技術が必要になるのは事実なので、販売価格に反映されるとは思います。
けれど、どちらにしても、原材料に合わせて微生物をコントロールするには、高い技術が必要なので、本当にリスペクトです。
4.まとめ
「精米歩合」とは、玄米から表層部を削って残ったお米の割合をパーセント(%)で表したもの。
日本酒の香味成分のバランスに関わる指標です。「大吟醸」、「吟醸」の表示、またはそれらの表示がないかということからも分かります。
日本酒を購入するときに、「自分の好みの日本酒はどれかな~」、「この食事に合いそうなのはどれかな~」と、探す時の基準のひとつにしてみてください。
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