見出し画像

脂身戦争

⭐️⭐️⭐️
(星の数でこの記事のオススメ度を
5段階で評価しています)

「食い物の恨みは恐ろしい」

という言葉があるが
本当にそうだと思う。

僕自身あまりグルメではないし
食べ物に執着もこだわりもそこまでないが

ものすごく食べたかった物を
食べられなかった時の絶望感を
抱えて生きている人も
世の中にはいると思う。


僕が小学生の頃、
あれは4年生だったか
それとも5年生だったか

林間学校という行事があった。

皆さんも経験したことがあると思うが
森や緑に囲まれて寝泊りをし、
キャンプファイヤーや
屋外でのカレー作りなどを経て
自然を通して
皆で成長する宿泊行事である。

その時、僕の一番仲が良かった
友達がT君だ。

T君とは出席番号が前後で
(僕もT君だから)

クラス替えをしても
同じクラスになることが多く
よく遊んだりしていた。


林間学校初日

山を登っていたのか
何故歩いていたのか
よく覚えていないが
ハイキング的な行事があった。

その時僕はT君と
些細なことで喧嘩をしてしまった。

理由は全く覚えていない。

しかし周りがちょっと
気をつかうレベルの
喧嘩をしてしまった。


夕食の時間になる。

その日のメニューは焼肉だった。

T君とは同じ班の為
同じテーブルで
他の班員5、6人と
食事を摂る。

しばらく食べ進めた時
T君が言い出した。

「おれ、脂身食べていい?」

その場面での
脂身とは
焼肉などの最初に鉄板に引く牛脂のことで
本来はこれは食べる物ではないと
僕はその時思ったし、
食べたこともなかったし
今後一切食べることもないだろう。

「いいよー」

皆が興味なさそうにそう言った。

何か面白くない。


何故この男は喧嘩中に脂身を食べるのだろう。


喧嘩相手が同席しているのに。

喧嘩のモヤモヤよりも
脂身への食欲の方が勝つのだろうか。

まだT君に腹が立っていた僕は
何も言わずに
脂身を勝手にとり



口に含んだ。



マジで不味かった。

「おい!お前何してんねん!」

T君は激昂した。

何か言い返したいが
脂身が不味すぎて返事できない。

「なんやねんマジで」
T君が泣き出した。



え?泣いてる?

確かに目から涙が溢れ出ている。

普通脂身くらいでそんなに怒るか?


そこから1週間ほど
僕たちは仲直りをすることができなかった。


お互い大人になった今では
仲良く話すこともできるが。

あの時のT君の怒り方は異常だった。


正直あの日から仲直りまでの数日間
僕はこう思っていた。

いやいや、
その怒りの原因
喧嘩あんま関係なくない?
ほとんど脂身だけで怒ってない?


食い物の恨みは恐ろしい

今後もどんどん楽しく面白い記事書けるよう頑張ります! よければサポートお願いします😊