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泣いてへんやん

⭐️⭐️⭐️
(星の数でこの記事のオススメ度を
5段階で評価しています)

自分の特技や欠点は
あらかじめハッキリと
把握しておくべきだと
最近よく思うようになった。



僕が小学校2年生くらいの頃、
家でバラエティ番組を見ていると
ある有名な女優さんが出演していた。

おそらくドラマの番宣で
出ていたのだと思うが、

その番組の中で
ドラマのあるシーンが
ピックアップされていた。

その女優さんがお墓の前で
鼻水を垂らしながら
ボロボロ泣き崩れるシーンだ。

幼い僕にとって衝撃的な場面だった。

世の中には演技で
これだけリアルに
迫力のある泣き方をする人がいるのか。


僕もやってみたい

無邪気にそう思った。


あくる日の授業中、
退屈を持て余していた僕は

なんの理由もなく、
泣こうとしてみた。

一度
目にゴミが入った時、母に
まばたきを高速でして涙を出すよう
促されたことがあったのを思い出し、
高速でまばたきをしてみる。

何も起こらない。

あれは目に何か入っているという前提で
成り立つものなのか。

泣くのはやはり難しいものだ。


その後、
1週間から2週間ほど
僕は泣く練習をしてみた。

試行錯誤のすえ、
僕は涙袋の少し下を強く
下方向に引っ張り、
ゆっくりとまばたきをする
という行為を30秒ほど繰り返すことで
涙を出すことが
できるという技術を身につけた。
(なんの役にも立たない)

だがこのままではダメだ。

あの女優さんは
なんのモーションも無しに
泣いていた。

僕も感情だけで
ノーハンドで
時間をかけずに
泣かないといけない
(なんの使命感?)


そして練習を重ね、
1ヶ月ほど経った。

暇な時間は
大体泣く練習をしていた。

そしてついに僕は
ノーハンドで泣くことに成功した。

やったー!

ついにできた。

しかしこの特技には
1つ弱点があった。

泣いた後必ず頭が痛くなるのだ。

脳が追いついていないのだろう。

予期せぬ涙に
キャパオーバーを起こし
頭痛を引き起こすのだ。


更に発表する場がなかった。

僕がもし女の子であれば
効果的に使えたかも知れないが
僕が泣いて
得をする状況などほとんどない。

2ヶ月ほど消費して
あまり使えない特技が
1つ増えた。



逆に自分の弱点や
ダメなところについて
考えてみた。

昔からよく言われることがある。

僕は人に対して
あまりよろしくない事を
言ってしまうらしい。

悪口とかではないのだが
触れて欲しくないところを
指摘してしまうらしい。

らしい
というかある程度、
自覚しているのだが。

最近もよく言われるが

昔、
中学生くらいの頃
それを怒られた
ある出来事が印象に残っている。



その時期は
合唱コンクールが間近に迫った頃だった。

僕が所属していたクラスは
非常にやる気に満ち溢れていて
ある程度、統率が取れていた。

僕も真剣に練習に取り組んでいた。


そんなある日

放課後
皆で教室に残って練習をしていると
ある事件が起こった。

何やら隣のクラスの
合唱の完成度がエグ高いらしい
という噂が出回ってきたのだ。

漏れ聞こえる音に
クラスの誰かが反応したのだろう。

うちのクラスも
もちろん頑張ってはいるのだが
隣のクラスが上手過ぎる。

これはもしかしたら
やばいかもしれない。
勝てないかもしれない。

皆の中に焦りが見え始める。

すると1人の女子が
感極まって泣いてしまった。



なんで泣いているのだろう。

それが第一印象だった。



泣くほどのことか?

ていうか今か?

もっと終わって
結果出た後とかに
泣いた方がええんちゃうの?

まだ負けてないし
はじまってもないのに

僕は別に
合唱の練習をサボっていたわけではない。

クラスで2番目くらいに頑張っていた。

しかし
この練習の途中の段階で
もはや降伏宣言ともとれるような
号泣を見せられ
冷めてしまったのだ。

するとどうだろう

他の女子まで泣いてしまった。



なんで?

僕の頭の中には
疑問符しかなかった。


ただ1人

僕は見つけてしまった。

あれ?
こいつ泣いてないな?

1人の女子が
目を拭いてはいるものの
全く涙が出ていないというか

カラッカラだった。


「いやいや、
お前全然泣いてないやん!」

思わず言ってしまった。

違う

違うのだ。

僕じゃない。

髙橋壱歩の中の
髙橋壱歩が言っただけなのだ。

「デリカシーなぁ!」

クラスで一番気の強い女子が
僕に向かって言った。

僕が人生で聞いた中で
一番強い
「無い」
の強調形
「なぁ!」

だった。

伝わってない人のために
もう一度書くが
「なぁ!」というのは
ちょい関西弁で「無い」という意味だ。

僕は一気に
クラスの悪者になってしまった。

その後
僕の持ち前の真面目さだけで
なんとか信頼を持ち直した。

しかしこれは僕が悪かったんだろうか。

まあ悪いと仮定した上で
僕は何故
こんな事を言ってしまったんだろう。

中学生の時はわからなかったが
今ならわかる。

先ほど書いたが
僕は小学生の時に
自由に泣くという技をあらかじめ
習得してしまっている。

ということは
当たり前に
人は泣けるものだと考えてしまっている。

それが仇になったのだろう。

この女子は
人がこんなに簡単に泣けるにも関わらず
泣いたフリをするなんて
なんて卑怯な人間なんだ

そう思ってしまったのか。

特技というものは自分に
メリットしかないわけではない。

特技によって
人に迷惑をかけたり
嫌悪感を抱かせることもある。


むずかしっ!!!

特技と弱点
それが紙一重だと理解しつつ
うまく活用していくべきだと
今になって気づいた。


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